文科省の2027年度概算要求は過去最大8兆7,750億円 留学・IB・英語教育はどう変わる?

文部科学省の2027年度概算要求の総額8兆7,750億円と前年度予算額の比較、文教関係・科学技術関係・投資枠の内訳 IB最新ニュース

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「文部科学省の予算が過去最大に」というニュース、目にされた方も多いのではないでしょうか。金額が大きすぎてピンとこない一方で、「それで、うちの子の学校や留学の話に何か関係あるの?」というのが正直なところですよね。

2026年8月28日、松本洋平文部科学大臣(会見時)が記者会見で、2027年度(令和9年度)の文部科学省の概算要求を総額8兆7,750億円と説明しました。前年度より2兆8,941億円多く、大臣自身も「過去最大」と述べています。

この記事では、膨大な要求項目の中から、留学・国際バカロレア(IB)・英語教育・海外の日本人学校など、国際教育に関心のあるご家庭に関わる部分を中心に整理しました。あわせて、高校の授業料支援など身近な項目にも触れていきます。

ニュースの概要

教育業界ニュースサイトのリセマム(ReseEd)が2026年8月31日に報じたもので、元になっているのは文部科学省の大臣記者会見です。会見録と文科省の公表資料で確認できた基本情報をまとめると、次のとおりです。

項目 内容
発表主体・日付 文部科学省(松本洋平大臣の記者会見、2026年8月28日)
要求・要望の総額 8兆7,750億円(前年度比2兆8,941億円増)
主な区分 文教関係 5兆7,360億円+事項要求(前年度4兆5,981億円)/科学技術関係 2兆4,453億円+事項要求(前年度9,863億円)
「強く豊かな日本」投資枠 2兆1,830億円
大臣が挙げた主な柱 「高等学校教育改革交付金(仮称)」等の創設、国立大学法人運営費交付金・科研費の大幅拡充、新たな研究大学群の形成など

会見では、国力の基盤は「人材力」であり、文科省の政策はいずれも「未来への投資」だと説明されました。これまで補正予算に頼っていた分も、必要な予算は当初予算に計上するという方針が示されています。総額と前年度との比較は図1にまとめました。

文部科学省の2027年度概算要求の総額8兆7,750億円と前年度予算額の比較、文教関係・科学技術関係・投資枠の内訳
図1:2027年度概算要求の総額と主な区分(文部科学省 大臣記者会見録(2026年8月28日)・「令和9年度文部科学関係概算要求のポイント」より作成)

背景と解説

そもそも「概算要求」とは

概算要求とは、各省庁が「来年度はこれだけの予算が必要です」と財務省に出す最初の要望のことです。つまり、この金額がそのまま決まったわけではないということなんです。この後の予算編成で精査され、政府予算案として閣議決定され、国会で成立して初めて確定します。

また「事項要求」という言葉も出てきます。これは金額を示さずに「この項目の予算が必要」とだけ要求する方法で、中身は予算編成の過程で詰められます。

注意:ここで紹介する金額はすべて「要求額」です。最終的な予算額は今後の予算編成で変わる可能性があり、新しい事業が予定どおり始まるかどうかも公式発表待ちです。

国際教育に関わる主な要求

文科省の「概算要求のポイント」では、「戦略的なグローバル人材育成の推進」として1,629億円(前年度735億円)が要求され、うち805億円が投資枠です。中身を見ると、次のような事業が並んでいます(図2)。

  • 大学等の海外留学支援制度:102億円(前年度97億円)
  • 初等中等教育段階からの国際交流促進事業:5億円(前年度1億円)
  • 知的修羅場体験事業:165億円(新規)。海外留学の支援者数を2026年度の2.2万人から2031年度に10万人へ広げる目標が示されています
  • 在外教育施設の戦略的な機能の強化:222億円(前年度192億円)。海外の日本人学校などが対象です
  • 外国人留学生奨学金制度:217億円(前年度と同額)

これらの事業のくくりとして、資料には「高校段階からの留学」を含め留学へ挑戦する学生数を拡大する方針が書かれています。「トビタテ!留学JAPAN」については、第2ステージを引き続き推進すると明記されています。ただし、トビタテ単独の要求額は今回の資料からは確認できませんでした。

英語教育では、「小・中・高等学校を通じた英語教育強化事業」が6億円(前年度2億円)への拡充として要求されています。英語を使う機会の少なさや学ぶ動機付けの弱さといった課題を挙げ、AIの活用などで英語教育を抜本的に強化するモデルをつくる、という内容です。

海外留学支援、英語教育、在外教育施設、国際バカロレアなど国際教育に関わる事業の前年度予算額と2027年度要求額の比較
図2:国際教育に関わる主な事業の要求額(文部科学省「令和9年度文部科学関係概算要求のポイント」・大臣官房国際課「令和9年度概算要求 主要事項の概要」より作成)

国際バカロレアの予算は「ほぼ横ばい」

IBに関心のある方がいちばん気になるところですよね。文科省大臣官房国際課の資料によると、「国際バカロレアの推進」は8,700万円(前年度8,500万円)の要求です。内訳は、IBの教育効果の調査研究や「文部科学省IB教育推進コンソーシアム」を通じた情報発信などの「国内推進体制の整備」が5,900万円(前年度5,700万円)、「国際バカロレア機構との協力」が2,700万円(前年度同額)です。資料の金額は百万円単位で表示されているため、内訳を足した額(8,600万円)と総額(8,700万円)が一致しないのは、百万円未満の端数処理によるものとみられます。

後者は、DP(高校段階のディプロマ・プログラム)の一部科目を日本語で授業・受験できるようにするための協力です。つまり、「日本語DP」を支える仕組みが引き続き維持される見込みということですね。同じ資料では、国内のIB認定校等が2026年3月現在で265校となり、政府が掲げてきた200校以上という目標は2023年に達成されたと説明されています。

ポイント:過去最大の要求の中で、IB関連は大きく増えたわけではありません。留学支援や在外教育施設では増額が要求されています。また、高校改革では金額未定の新しい交付金の創設が提案されています。

高校改革の新しい交付金

大臣が特に力を入れた施策として挙げたのが「高等学校教育改革交付金(仮称)」等の創設です。資料では「N-E.X.T.(ネクスト)ハイスクール構想」と名付けられ、都道府県が策定する実行計画に基づく高校教育改革を、国が交付金で支援する仕組みとして示されています。要求は事項要求で、具体的な金額や対象は予算編成の過程で検討されるとされています。

保護者への影響と今できる対応

身近な負担軽減の項目

国際教育以外で、保護者の家計に関わる項目も確認しておきましょう。高等学校等就学支援金等は5,817億円(前年度5,824億円)の要求です。2026年度からの新制度では所得制限がなく、支給上限額は公立11万8,800円、私立45万7,200円(私立の通信制は33万7,200円)と資料に示されています。高校生等奨学給付金は322億円+事項要求、学校給食費の抜本的な負担軽減(いわゆる給食無償化)は1,656億円(前年度1,649億円)です。公立小学校段階の給食の食材費を、自治体を通じて月額の基準額まで軽減する仕組みで、完全に無料になるとは限らない点に注意が必要です。

海外から帰国予定・外国籍のご家庭へ:就学支援金の新制度には、在学する学校の種類や、国籍・在留資格に関する対象者の条件があります。ご家庭が対象になるかは、文科省の資料や通う予定の学校で必ず確認してください。

ご家庭のタイプ別チェックポイント

  • 中高生の留学を考えているご家庭:高校段階からの留学促進や大学生の海外留学支援は増額要求です。ただし、どの制度がいつから、どんな条件で募集されるかは今後の発表を待ちましょう
  • IB校を検討中のご家庭:国のIB推進予算はほぼ横ばいで、日本語DPを支える協力も継続の見込みです。学校選びは各校の公式情報を中心に進めて大丈夫です
  • 海外赴任予定のご家庭:在外教育施設の機能強化(教師派遣等)が増額要求されています。赴任先の日本人学校・補習授業校の体制は、最新の情報で確認を
  • 公立高校への進学を考えるご家庭:新しい交付金で都道府県ごとの高校改革が進む可能性があります。お住まいの都道府県の高校改革の計画に注目しておくと安心です

予算が決まるまでの流れは図3にまとめました。「概算要求で出たから来年から始まる」とは限らない点は、頭の片隅に置いておいてくださいね。

概算要求から予算編成、政府予算案、国会での成立までの流れと保護者が押さえておきたい点
図3:概算要求から予算成立までの流れ(文部科学省 大臣記者会見録(2026年8月28日)・「令和9年度文部科学関係概算要求のポイント」より作成)

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まとめ

  • 過去最大の要求: 文科省の2027年度概算要求は総額8兆7,750億円で、前年度比2兆8,941億円増。ただし金額はまだ確定していません
  • 留学支援は増額要求: 大学等の海外留学支援制度が102億円、初等中等教育段階からの国際交流促進事業が5億円、新規の知的修羅場体験事業が165億円と、留学関連に厚みを持たせる内容です
  • IB推進はほぼ横ばい: 国際バカロレアの推進は8,700万円(前年度8,500万円)。国内のIB認定校等は2026年3月現在で265校です
  • 英語教育と在外教育施設も拡充: 英語教育強化事業は6億円、在外教育施設の機能強化は222億円の要求です
  • 高校改革の交付金は今後の焦点: 「高等学校教育改革交付金(仮称)」は事項要求で、中身は予算編成の過程で固まります

出典・参考リンク

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