「Show & Tell」ってなに?
Show & Tell(ショー・アンド・テル) は、子どもが「お気に入りの物・写真・作品などを持ち寄り、その背景や思いをクラスの仲間に語る」活動です。PYP(Primary Years Programme/3〜12 歳対象)の学校では、言語運用能力・探究心・自己表現力 を育てる定番アクティビティとして週1回〜隔週で実施されることが多いです。IB が重視する「学習者像(Learner Profile)」のうち Communicator(よく伝え合う人) や Risk-taker(挑戦する人) を育む格好の機会でもあります。(ibo.org, ecolint.ch)
1 | どんな流れで行うの?
ステージ | 具体的な活動 | 子どもが身に付ける力 |
---|---|---|
① 事前準備 | 家庭で「見せたい物」を選び、背景や思い出を家族と話し合う | 主体的に選択する力、情報整理 |
② リハーサル | 家族相手に2〜3分で発表練習。ポスターやスライドを作る場合も | プレゼン構成・時間配分 |
③ クラス発表 | *自己紹介・モノ紹介・理由説明 *質疑応答 | スピーキング、リスニング、即興で考える力 |
④ フィードバック | 友達や先生が「良かった点・もっと聞きたい点」をコメント | 建設的な評価を受け止める姿勢 |
⑤ 振り返り | 学習ジャーナルに感想を書いたり、録画を見直したり | メタ認知・自己改善 |
(幼児部では①②を簡略化し、玩具や絵本を見せるだけの短時間版など柔軟に運用します。)(gspdx.org)
2 | 学びのねらいをもう少し深掘り
- 言語スキル
- 語彙を増やし、順序立てて話す力を伸ばす。
- 概念理解
- PYP の6つの教科横断テーマ(「私たちはどのように自分を表現するか」など)と関連づけ、物の「機能」「由来」「文化的背景」を探究する。(ibconsortium.mext.go.jp)
- ATL(Approaches to Learning)スキル
- コミュニケーション・リサーチ・自己管理などを総合的に鍛える。
- 国際理解と多様性
- 各家庭の文化や価値観を共有し、相互理解を促進。
3 | お母さん・お父さんができる5つのサポート
サポート方法 | ポイント | 家庭での声かけ例 |
---|---|---|
① アイテム選びを見守る | 子どもが「なぜそれを選んだか」を言葉にできることを重視。 | 「どうしてその写真を選んだの? 思い出を教えてくれる?」 |
② “ストーリー仕立て” を手助け | ①導入(何を見せる?)→②本題(特徴・思い出)→③締め(学んだこと) の3部構成で練習。 | 「最初にタイトルを言って、次に3つポイントを話してみようか」 |
③ 質問リストを一緒に作る | 友達から聞かれそうな質問を予想し、答えを準備。 | 「触るとどんな感触?どこで手に入れたの?って聞かれそうだね」 |
④ タイムキープ係 | 家でストップウォッチを使い、2分以内で話しきれるかチェック。 | 「あと30秒!まとめの言葉を入れてみよう」 |
⑤ 成功体験を言語化して褒める | 発表後は内容より“努力”を具体的に承認。 | 「昨日より声がはっきりしていたね」「質問にも落ち着いて答えられたね」 |
4 | シャイなお子さん・日本語力がまだ伸び途中のお子さんへの工夫
- 写真・イラスト・短いキャプションを貼った「ミニポスター」に頼る
- 動画撮影した発表を先に流し、その後で質疑応答だけライブで行う
- 発表を ペアや小グループ で実施し、心理的負担を下げる
- 母語+英語/国語のバイリンガル発表を許可して徐々に英語比率を上げる
5 | 家庭での “学びを広げる” アイデア
- 家族版 Show & Tell
- 夕食前に家族1人ずつ「今日のトピック」を持ち寄り3分発表。
- “職業 Show & Tell”
- 親が自分の仕事道具や名刺を見せ、仕事内容を子どもの言葉で説明。
- 博物館や科学館を訪れて “フィールド Show & Tell”
- 写真を撮り、学んだことを次回クラスで共有。
- 録画 → 再生 → フィードバックごっこ
- 家族が観客役になり、IB Learner Profile を使って良さを指摘し合う。
まとめ
- Show & Tell は「モノ紹介」以上の価値:言語・思考・態度を総合的に伸ばす探究活動。
- 親は 「選ぶ→構成→練習→振り返り」 の4ステップを伴走し、成功体験を具体的に称賛することが鍵。
- 家庭でも気軽にミニ版を取り入れると、子どもの自己表現がさらに豊かに!
これらを意識すれば、「うちの子、人前で話せるかな?」という不安もチャンスに変わります。ぜひ親子で Show & Tell を楽しみ、PYP ならではの学びを深めてください。
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