はじめに:同志社グループが開拓する新たな国際教育
同志社国際学院初等部は、2011年に開校した京都府の私立小学校として、日本の国際教育界に新たな潮流を築いています。
「良心教育」の伝統を受け継ぎながら「西日本初のIB PYP認定校」として歩む道──この革新的な取り組みにより、2019年にIB(国際バカロレア)PYP認定を取得し、真のバイリンガル教育を実現しています。
本記事では、140年以上の歴史を持つ同志社グループの新たな挑戦と、国際的視野を持つ人材育成への取り組みについて詳しく解説します。
学校概要:同志社グループの国際教育拠点
基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
正式名称 | 同志社国際学院初等部 |
英語名称 | Doshisha International Academy Elementary School (DIAES) |
所在地 | 〒619-0225 京都府木津川市木津川台7丁目31−1 |
設立年 | 2011年 |
学校種別 | 私立小学校(一条校) |
電話番号 | 0774-71-0810 |
公式サイト | https://www.dia.doshisha.ac.jp/ |
設立の背景と歴史的意義
同志社国際学院初等部は、2011年に同志社グループ初の小学校として開校しました。同年、同じキャンパス内にDoshisha International School, Kyoto (DISK)も設立され、日本初の小学校(一条校)とインターナショナルスクールの併設という画期的なモデルを実現しました。
この革新的な取り組みは、創立者・新島襄が掲げた「国際主義」の精神を現代に継承し、グローバル社会で活躍する人材育成の新たな拠点となっています。
立地環境と特色
関西学研都市の中核:京都・大阪・奈良の3府県にまたがる「けいはんな丘陵」に位置し、関西学研都市(けいはんな学研都市)の学術研究環境に恵まれています。
交通アクセス:
- JR学研都市線「木津川台駅」から徒歩8分
- 近鉄京都線「高の原駅」からスクールバス15分
- 京阪奈道路「田辺西IC」から車で10分
科学技術と国際教育が融合する理想的な教育環境です。
国際バカロレアPYP認定校としての意義
西日本初のPYP認定校
同志社国際学院初等部は、2019年1月にIB(国際バカロレア)PYP(初等教育プログラム)の認定を取得し、一条校として西日本で初めてPYP認定校となった歴史的意義を持ちます。
認定項目 | 詳細 | 意義 |
---|---|---|
PYP認定年 | 2019年1月 | 西日本初の一条校PYP認定 |
対象年齢 | 3歳~12歳(小学校1~6年生) | 探究型学習の基礎構築 |
認定機関 | 国際バカロレア機構(IBO) | 世界標準の教育品質保証 |
PYP(初等教育プログラム)の特色
PYPは以下の要素から構成される包括的教育プログラムです:
6つの教科群
- 言語(Language):母国語と第二言語の体系的学習
- 算数(Mathematics):数学的思考と問題解決能力
- 理科(Science):科学的探究と批判的思考
- 社会(Social Studies):地域から世界への理解
- 芸術(Arts):創造性と表現力の育成
- 体育(Physical Education):心身の健康と協調性
探究の単元(UOI: Units of Inquiry)
PYPの中核は探究の単元(UOI)です。これは:
- 各教科を横断的に統合する学習
- 6つの「大きなアイデア」をテーマとした探究
- 学習者が主体的に問いを立て、調査・検証する過程
- 現実世界の課題解決につながる実践的学習
学習者プロファイル(IB Learner Profile)
IBプログラムでは、10の学習者像を目指して人格形成を行います:
- 探究する人(Inquirers):好奇心を持ち続け、探究する姿勢
- 知識のある人(Knowledgeable):幅広く深い知識の習得
- 考える人(Thinkers):批判的・創造的思考力
- コミュニケーションができる人(Communicators):効果的な意思疎通能力
- 信念のある人(Principled):誠実さと公正さを持つ人格
- 心を開く人(Open-minded):多様性を尊重する態度
- 思いやりのある人(Caring):共感性と奉仕の精神
- 挑戦する人(Risk-takers):新しいことに挑戦する勇気
- バランスのとれた人(Balanced):心身の調和
- 振り返りができる人(Reflective):自己反省と成長
教育理念と同志社精神の継承
キリスト教教育に基づく「良心教育」
同志社国際学院初等部は、創立者・新島襄が掲げた「良心教育」を根幹とした教育を展開しています:
建学の精神
- キリスト教主義:愛と奉仕の精神
- 自由主義:自主性と創造性の尊重
- 国際主義:グローバルな視野と理解
良心教育の実践
「良心教育」は以下の具体的活動を通じて実践されます:
- 日々の礼拝:心の静寂と内省の時間
- チャペルタイム:キリスト教的価値観の学び
- 奉仕活動:地域社会への貢献
- 国際理解教育:異文化への理解と尊重
「真の国際人として生きる」教育目標
同校が目指す人材像は、「真の国際人として生きる」ことができる子どもたちです:
- 異文化理解力:多様な文化・価値観への深い理解
- 言語運用能力:日本語・英語の高度なバイリンガル能力
- 問題解決力:グローバル課題に取り組む思考力
- コミュニケーション力:国際的な場面での効果的な意思疎通
- リーダーシップ:多様な人々と協働できる指導力
革新的バイリンガル教育システム
授業の半分以上を英語で実施
同志社国際学院初等部の最大の特色は、授業の半分以上が英語で行われる本格的なバイリンガル教育です:
言語 | 使用比率 | 主な教科 |
---|---|---|
英語 | 55%以上 | 算数、理科、社会、芸術、体育、UOI |
日本語 | 45%未満 | 国語、道徳、特別活動 |
習熟度別クラス編成
入学時の英語力に配慮した柔軟な指導体制を構築しています:
入学時英語力測定
- 英語習熟度テスト:入学前に実施
- 個別面談:英語学習歴の詳細把握
- 習熟度別クラス分け:適切なレベルでの学習開始
段階的英語力向上
「入学時まで全く英語が分からなかったお子さんが、入学してから1、2年後には、英語で授業を受けられるほどにまで成長する」事例が数多く報告されています。
- ESL支援:英語を第二言語とする児童への特別指導
- 段階的移行:日本語サポートから英語授業への自然な移行
- 個別フォロー:一人ひとりの進度に応じた支援
言語学習の理論的基盤
同校のバイリンガル教育は、最新の言語習得理論に基づいています:
- CLIL(Content and Language Integrated Learning):内容と言語の統合学習
- イマージョン教育:英語環境での教科学習
- トランスランゲージング:複数言語を柔軟に活用する能力
- 母語保持教育:日本語力の維持・向上
入学試験制度と選考方法
2026年度新1年生入試概要
同志社国際学院初等部では、公正で包括的な選考方法により、多様な背景を持つ児童を受け入れています:
選考項目 | 内容 | 評価観点 |
---|---|---|
ペーパー試験 | 基礎的な認知能力測定 | 論理的思考力、理解力 |
行動観察(集団) | グループ活動での観察 | 協調性、コミュニケーション力 |
面接 | 児童・保護者面談 | 志望動機、教育方針理解 |
地域枠制度
地域枠の条件:出願年の4月1日時点から出願時まで継続して木津川市に在住していることが必要です。
この制度により、地域コミュニティとの密接な連携を図り、地域に根ざした国際教育を推進しています。
求める児童像
同志社国際学院初等部が求める児童像は以下の通りです:
- 好奇心旺盛:様々なことに興味・関心を持つ子ども
- 積極性:新しいことに挑戦する意欲のある子ども
- 協調性:友だちと仲良く協力できる子ども
- 国際性:異文化に対する開放的な態度を持つ子ども
- 持続性:困難があっても諦めずに努力する子ども
同志社グループへの内部進学制度
4つの系列中学・高等学校への道
同志社国際学院初等部の大きな魅力の一つは、同志社グループの4つの中学・高等学校への内部進学制度です:
学校名 | 所在地 | 特色 |
---|---|---|
同志社中学・高等学校 | 京都市左京区 | 伝統的リベラルアーツ教育 |
同志社女子中学校・高等学校 | 京都市上京区 | 女子教育の伝統校 |
同志社香里中学校・高等学校 | 大阪府寝屋川市 | 関西圏の中核校 |
同志社国際中学校・高等学校 | 京都府京田辺市 | 帰国生・国際生教育 |
同志社国際中学校・高等学校への推薦進学
最も親和性の高い進学先として、同志社国際中学校・高等学校への進学が期待されます:
教育連携の強み
- PYP→MYP/DP:IBプログラムの継続性
- バイリンガル教育:英語力のさらなる向上
- 国際理解教育:グローバル人材育成の継続
- 帰国生受け入れ:多様性に富んだ学習環境
同志社大学・同志社女子大学への推薦制度
各系列高等学校からは、同志社大学・同志社女子大学への内部推薦制度があります:
- 同志社国際高等学校:卒業生の約9割が同志社大学に進学
- 推薦枠の確保:一定の成績基準を満たせば推薦可能
- 学部選択の自由:幅広い学部から進路選択
- 国際系学部:グローバル・コミュニケーション学部等
施設・設備と学習環境
最先端の教育施設
同志社国際学院初等部は、21世紀の教育ニーズに対応した最新の教育施設を完備しています:
学習空間
- オープンスペース:探究活動に適した柔軟な学習環境
- 専科教室:理科・音楽・図工・家庭科の専用教室
- 図書館:和書・洋書を豊富に蔵書
- ICT環境:全教室にプロジェクター・Wi-Fi完備
国際教育施設
- ランゲージセンター:語学学習専用施設
- カルチャールーム:異文化交流スペース
- プレゼンテーションホール:発表・討論の場
宗教・精神教育施設
- チャペル:礼拝・静思の神聖な空間
- 祈りの部屋:個人的な内省の場
自然豊かなキャンパス環境
関西学研都市の丘陵地帯に位置する広大なキャンパスは、子どもたちの心身の健全な成長を支えています:
- 緑豊かな校庭:四季の変化を感じられる自然環境
- 体育館・グラウンド:充実したスポーツ施設
- 野外活動エリア:自然体験学習の場
- ガーデニング区域:生物学習と環境教育
国際交流プログラムと特別活動
グローバル体験学習
同志社国際学院初等部では、校内外での多彩な国際交流活動を展開しています:
校内国際交流
- 外国人教員との日常交流:ネイティブスピーカーとの自然な英語環境
- 文化祭・国際デー:世界各国の文化紹介
- 留学生との交流:同志社大学留学生との交流プログラム
- 多文化理解授業:異文化への理解を深める特別授業
海外交流プログラム
- 姉妹校交流:海外IB校との相互訪問
- 短期研修:英語圏での語学・文化研修
- バーチャル交流:ICTを活用した国際クラス交流
- 家族海外研修:保護者も参加する文化体験プログラム
PYP Exhibition(探究発表会)
6年生が取り組むPYP Exhibitionは、PYP教育の集大成となる重要な行事です:
- 自主的探究:児童が関心のあるテーマを深く探究
- 問題解決:現実の課題に対する解決策の提案
- 発表・討論:英語・日本語での効果的なプレゼンテーション
- 社会貢献:学習成果を地域社会に還元
学費と経済支援制度
学費構造
同志社国際学院初等部の学費は、私立小学校として標準的な設定となっています:
費用項目 | 金額(年額) | 備考 |
---|---|---|
入学金 | 詳細は学校にお問い合わせください | 初年度のみ |
授業料 | 詳細は学校にお問い合わせください | 年額 |
施設費・その他 | 詳細は学校にお問い合わせください | 教材費、活動費等 |
※最新の学費については、学校公式サイトまたは直接お問い合わせください。
教育支援募金制度
同志社国際学院初等部では、「教育支援および施設・設備整備資金募金」を実施しています:
- 教育環境充実:最新の教育機器・設備の導入
- 国際プログラム拡充:海外交流活動の充実
- 奨学金制度:経済的困難な家庭への支援
- 施設整備:学習環境の継続的改善
経済的配慮
同志社グループとして、教育機会の平等を重視し、以下の配慮を行っています:
- 分割納入制度:学費の分割払い対応
- 兄弟姉妹減免:同志社グループ在籍者への配慮
- 特別奨学金:成績優秀者・経済困窮者への支援
教育課程特例校としての革新性
文部科学省認定の教育課程特例校
同志社国際学院初等部は、文部科学省から指定を受けている「教育課程特例校」として、特別な教育課程を実施しています:
特例内容
- 英語授業時数の大幅増加:通常の小学校を大きく上回る英語学習時間
- 教科横断型学習:UOI(探究の単元)による統合学習
- 国際理解教育の拡充:多文化共生教育の推進
- 評価方法の革新:ポートフォリオ評価の導入
学習指導要領との両立
特例校でありながら、日本の学習指導要領の要求水準も確実に満たしています:
- 基礎学力の保証:国語・算数等の基盤的学習の確保
- 日本文化理解:日本の伝統・文化教育の充実
- 社会性の育成:日本社会への適応力の養成
- 進学準備:中学校進学に必要な学力の定着
卒業生の特色と成果
多様な進路選択
同志社国際学院初等部の卒業生は、以下のような多様な進路を選択しています:
同志社グループ内進学
- 同志社国際中学校:IBプログラム継続を希望する生徒
- 同志社中学校:伝統的リベラルアーツ教育を志向する生徒
- 同志社女子中学校:女子教育の伝統を重視する生徒
- 同志社香里中学校:関西圏での学習を希望する生徒
外部受験
- 国立・公立中学校:京都教育大学附属中学校等
- 私立中学校:関西圏の難関私立中学校
- インターナショナルスクール:IBプログラム継続校
身につく能力と特質
6年間のPYP教育により、卒業生は以下の能力・特質を身につけています:
- 高度なバイリンガル能力:学術的レベルでの英語運用能力
- 探究的思考力:自ら問いを立て、調査・検証する能力
- 国際的な視野:グローバル課題への関心と理解
- 協働的問題解決力:多様な人々との効果的な協力
- リーダーシップ:集団をまとめ、目標達成に導く力
- 倫理観・道徳性:良心に基づく判断力
よくある質問(FAQ)
Q1. 入学時に英語力は必要ですか?
A: 入学時点で高い英語力は必須ではありません。習熟度別クラス編成により、英語初心者から帰国子女まで、それぞれのレベルに応じた指導を行います。「入学時まで全く英語が分からなかったお子さんが、1、2年後には英語で授業を受けられるほどに成長する」事例が数多くあります。
Q2. 同志社国際中学校への内部進学は確約されていますか?
A: 内部進学制度はありますが、自動的に進学できるわけではありません。一定の成績基準と適性評価により、進学先が決定されます。ただし、同志社グループ4校への進学可能性があり、多様な選択肢が用意されています。
Q3. PYPプログラムと日本の学習指導要領の両立は可能ですか?
A: はい、可能です。文部科学省認定の教育課程特例校として、PYPの探究型学習と日本の学習指導要領を効果的に統合したカリキュラムを実施しています。国語・算数等の基礎学力も確実に身につきます。
Q4. 地域枠以外の受験は可能ですか?
A: はい、可能です。地域枠は一部の制度であり、木津川市外からも多くの児童が受験・入学しています。全国から志願者を受け入れており、多様な背景を持つ児童が学んでいます。
Q5. 卒業後、海外の中学校への進学は可能ですか?
A: PYP認定校としての修了資格により、海外のIBプログラム実施校やインターナショナルスクールへの進学も可能です。IBのグローバルネットワークを活用した進路選択ができます。
Q6. 宗教教育はどの程度行われますか?
A: キリスト教主義に基づく「良心教育」を行いますが、特定の宗教への入信を強制するものではありません。道徳的価値観や倫理観の育成が主目的で、多様な宗教的背景を持つ児童を受け入れています。
Q7. 保護者の英語力は必要ですか?
A: 保護者の英語力は必須ではありません。学校からの重要な連絡は日本語でも提供され、保護者向けの英語サポートプログラムも用意されています。ただし、お子様の学習を支援するため、家庭での英語環境作りへの理解と協力は期待されます。
まとめ:同志社精神が創る新時代の国際教育
同志社国際学院初等部の価値
同志社国際学院初等部は、140年以上の同志社の伝統と21世紀の国際教育を融合させた、まさに次世代教育のモデル校です:
1. 教育の革新性
- 西日本初のPYP認定校としての先駆性
- 文部科学省認定教育課程特例校としての柔軟性
- バイリンガル教育の高度な実践
- 探究型学習による主体的学習者の育成
2. 同志社ブランドの安心感
- 新島襄の建学精神に基づく一貫した教育理念
- 同志社グループ4校への内部進学制度
- 同志社大学・同志社女子大学への推薦制度
- 卒業生ネットワークによる将来への安心
3. 国際性と日本らしさの両立
- 世界標準のIB教育による国際的通用性
- 日本の文化・伝統への深い理解
- 良心教育による倫理観・道徳性の育成
- 多様性を尊重する包容力
お子様の未来への投資
同志社国際学院初等部での6年間は、お子様の人生にとってかけがえのない基盤となります:
- 真のバイリンガル能力:生涯にわたって活用できる言語運用力
- 探究心と創造力:変化する社会で必要な適応力
- 国際的な視野:グローバル社会でのリーダーシップ
- 豊かな人間性:良心に基づく判断力と行動力
- 確かな学力:将来の学習への強固な基盤
入学をお考えの保護者の皆様へ
同志社国際学院初等部は、「真の国際人として生きる」ことのできる人材を育成する学校として、お子様の無限の可能性を最大限に引き出します。
西日本初のPYP認定校として、また同志社グループの伝統を受け継ぐ学校として、お子様が世界のどこでも、どのような文化的背景を持つ人々とも、深い理解と友情を築いていける人間に成長されることを心から願っています。
「良心手腕を以て天下に雄飛せん」──創立者・新島襄のこの言葉のように、お子様が良心に基づく確かな実力を身につけ、世界に羽ばたいていかれることを、私たちも応援しています。
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※本記事の情報は2025年6月時点のものです。最新情報については、必ず学校公式サイト(https://www.dia.doshisha.ac.jp/)をご確認ください。
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