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「海外の大学に行きたい」とお子さんに言われたとき、まず頭に浮かぶのは学費のことではないでしょうか。AERA DIGITALの記事によると、アメリカの名門私立大学は寮費なども含めると年間1400万円前後かかるそうです。そう聞くと、「うちには無理かも」と感じてしまうご家庭も多いと思います。
その記事は2026年10月17日、地方銀行に勤める父とパート勤務の母、3きょうだいの家庭から、アメリカの名門私立大学に進学した学生の例を紹介しました。年間およそ1千万円の学費が、奨学金と大学の援助、そして大学との交渉で、自己負担は年300万円になったと報じられています。
この記事では、報道の内容を整理したうえで、アメリカの大学の財政援助や日本の給付型奨学金の仕組みを、公式に確認できた情報をもとにお話ししますね。
ニュースの概要
記事は、AERA編集部の井上有紀子さんによるもので、AERA DIGITALに2026年10月17日に掲載され、Yahoo!ニュースにも配信されました。登場する学生は仮名で、進学先の大学名は書かれていません。記事で紹介された内容は次のとおりです。
| 項目 | 記事で紹介された内容(報道) |
|---|---|
| 学生 | アメリカの名門私立大学の2年生。地方の公立高校の出身 |
| 家庭 | 父は地方銀行勤務で年収約1300万円、母は会計事務所でパート勤務 |
| きょうだい | 3人。兄は日本の私立大学に進学して一人暮らし、妹はこれから大学受験 |
| 学費 | 年間およそ1千万円(4年間で4千万円ほど) |
| 自己負担 | JASSOの給付型奨学金約300万円と大学の減免で年400万円に。大学と交渉して年300万円に |
記事によると、合格から渡航までに、予防接種や航空券、物品の準備だけで50万円以上かかったそうです。大学に払う学費には寮費と1日3食分の食費が含まれていて、今は学内で日本語を教えるチューターのアルバイト(時給14米ドル)で、月100〜150米ドルほどの生活費をまかなっていると紹介されています。図1にまとめました。

記事は、2026年に角川ドワンゴ学園N高校・S高校・R高校の計379人、広尾学園の322人、三田国際科学学園の170人が海外大学に合格した(いずれも延べ人数)とも伝えています。海外大学が、以前より身近な進路になってきていることがうかがえますね。
背景と解説
アメリカの大学の「必要額に応じた援助」
今回のポイントは、アメリカの一部の私立大学が行っている財政援助です。家庭の収入や資産を大学が審査して「この家庭が払える金額」を出し、足りない分を返済不要の援助で補う仕組みです。つまり、学費の「定価」と、実際に家庭が払う金額は大きく違うことがある、ということなんです。
たとえばハーバード大学の公式サイトでは、2026-27年度の授業料・諸費用・寮費・食費の請求額の合計は9万1,634米ドルです。一方で、2025-26年度からは、年収10万米ドル以下の家庭は授業料・寮費・食費などの費用が無料、年収20万米ドル以下の家庭は授業料が無料になるとしています。ただし、この基準は標準的な資産と、アメリカの標準的な生活費・税負担を前提にした目安です。公式FAQには、資産がある家庭や、生活費・税負担が低い家庭は負担額が増えると書かれています。日本に住む家庭に同じ年収基準で無料化が保証されるわけではなく、実際の援助額は家庭ごとの審査で決まります。
ハーバード大学、MIT、イェール大学、プリンストン大学、アマースト大学、ダートマス大学は、留学生についても支払い能力を合否の判断に使わず(need-blind)、大学が算定した必要額を満たす方針を公式に示しています。
ポイント:記事では、ベネッセコーポレーションが運営する海外大学進学塾「Route H」の篠塚伸夫さんが「柳井正財団や笹川平和財団などの全額給付型奨学金に受からなかったからといって、海外大進学を諦める必要はありません」と話しています。複数の大学から援助額の提示を受けた場合、再審査を頼んで増額が認められるケースもあると紹介されています。
日本の給付型奨学金も広がっている
日本から応募できる返済不要の奨学金も増えています。主な仕組みを図2にまとめました。

- 柳井正財団:アメリカの大学に進む場合、原則年11万5,000米ドルを上限に4年間支給。予約型と合格型をあわせて年40名程度。家計支持者の所得は2,700万円以下が条件です
- JASSO(日本学生支援機構)の海外留学支援制度(学部学位取得型):2026年度の給付は月額13万9,000円〜35万2,000円(国・地域で異なる)で、原則4年。2026年度は408人が応募し、140人が採用されました。2021年度の採用は45人でした
- 東京都の都立高校等海外大学進学支援制度:2026年5月29日に発表。2027年度に海外大学へ進学する都立高校等の生徒が対象で、10名程度。留学先大学に払う授業料等から130万円(国内私立大学の年間授業料等相当額)を引いた「算定基礎額」に、世帯所得の区分に応じた補助率をかけて支援します。区分1は2分の1で年400万円まで、区分2は10分の10で年800万円までです。寮費や保険料などは対象外で、授業料等に充てる他の返済不要の奨学金を受ける場合は、その額が算定基礎額から差し引かれます
IBで学ぶご家庭に知っておいてほしいのが、柳井正財団の予約型の応募条件です。語学と学力の基準の一つとして「IB 38(予測スコア)」が挙げられています。ただし、基準に届かなくても、在籍校が学力や資質を認めれば応募できる場合があると書かれています。
JASSOの制度は、年度によって給付の中身が変わっています。2021年度は月額に加えて授業料の実費(各年度250万円が上限)が給付されていましたが、2026年度の発表には授業料の給付は書かれていません。記事の学生が受けた「約300万円」は、採用された年度の条件によるものとみられます。
保護者への影響と今できる対応
今回の例は、年収だけで「無理」と決めつけず、大学の援助と奨学金を組み合わせて考える大切さを教えてくれます。とはいえ、記事の家庭も年300万円の自己負担があり、父親が若いころから貯めてきたお金も使うと紹介されています。誰でも同じ結果になるわけではない点は、心に留めておきたいですね。
注意:JASSOの2027年度募集は、エントリーが2026年9月24日、書類提出が10月1日に締め切られました。東京都の2027年度進学者向けの募集も終わっています。JASSOは、2028年度募集への応募を考えている人に、2027年度の募集要項を参考に準備するよう案内しています。
海外大学を視野に入れているご家庭は、次の点を早めに確認しておくと安心です。
- 志望する大学の公式サイトで、留学生への財政援助の方針(need-blindか、必要額を満たすか)を確認する
- 家庭の収入や資産を示す書類を、早めにそろえておく
- JASSO・民間財団・自治体の奨学金は、出願前に申し込むものもあるので、締め切りを一覧にしておく
- 奨学金どうしの併給ルールを確認する(柳井正財団は国や自治体の奨学金、海外の給付型奨学金との併給を認めていますが、国内の他の給付型奨学金を受けている人は応募できません)
- 援助額が足りなかったときに備えて、記事の助言のように日本の大学にも出願しておく
- 渡航前の費用や円安による生活費の目減りも、予算に入れておく
記事では、大学が合格後に提出した親の給与証明書などをもとに金額を出したと紹介されていて、学生は「必要な学費が分かったのは、結構、直前になってからでした」と話しています。最終的な金額が見えるまで時間がかかる前提で、複数の選択肢を残しておくことが大切ではないでしょうか。
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まとめ
- 報道された例: 年間およそ1千万円の学費が、JASSOの給付型奨学金と大学の減免、交渉によって、自己負担は年300万円になったと報じられています
- 大学の財政援助: ハーバード大学など一部の大学は、留学生にも家庭の状況に応じた援助を行っています。援助額は家庭ごとの審査で決まります
- 日本の給付型奨学金: 柳井正財団、JASSO、東京都などの制度がありますが、対象・上限・人数はそれぞれ違い、狭き門です
- 早めの準備: 奨学金の募集は出願より前に締め切られるものもあります。最新の募集要項で日程を確認しましょう
出典・参考リンク
- AERA DIGITAL: 年収1300万円世帯から年間学費1千万円のアメリカ名門大へ 父は地銀、母はパート勤務、3きょうだいでも海外進学できたワケ(2026年10月17日)
- Harvard College: What is Harvard’s financial aid expansion for the 25-26 school year?(2026年10月17日確認)
- Harvard College: How Aid Works(2026年10月17日確認)
- 柳井正財団: 応募要項(2026年10月17日確認)
- 日本学生支援機構: 2026年度海外留学支援制度(学部学位取得型)選考結果について(2026年3月9日)
- 日本学生支援機構: 2021年度海外留学支援制度(学部学位取得型)選考結果について(2021年3月10日)
- 日本学生支援機構: 2027年度海外留学支援制度(学部学位取得型)(2026年10月17日確認)
- 東京都: 都立高校等海外大学進学支援制度(給付型奨学金)が始まります!(2026年5月29日)
- 東京都教育委員会: 都立高校等海外大学進学支援制度(給付型奨学金)募集要項(令和9年度)(2026年10月17日確認)


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