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「クラスの半分くらいの子が申し込むらしい」。お子さんからそう聞いて、パンフレットの金額を二度見してしまった経験はありませんか。私立中学に入ってから、学費とは別の出費が思った以上に多いと感じているご家庭も多いのではないでしょうか。
2026年9月26日、マネーメディアのFinasee(フィナシー)に、中学受験を大手塾だけで乗り切り、娘さんが私立中学に合格したご夫婦の後日談が掲載されました。夏休みの約2週間の学校主催の短期留学で、費用は100万円近く。ご夫婦はそれを知って言葉を失い、家族で「わが家の線引き」を決めたそうです。
この記事では、報じられた内容を整理したうえで、文部科学省の統計をもとに「100万円近い短期留学」がどのくらいの重さなのかを見ていきます。申し込むかどうかを家族で話し合うときの視点もまとめました。
ニュースの概要
記事は、作家・教育ジャーナリストの佐野倫子さんによるFinaseeの連載「夫婦で気づかなかった! 中学受験『教育費』のすれ違い」の「節約の中学受験」後編です。前編・後編の内容を表にまとめました。
| 項目 | 記事に書かれている内容 |
|---|---|
| 掲載媒体・日付 | Finasee(2026年9月26日)。dメニューニュースなどにも配信 |
| 登場する家庭 | 埼玉県に住む一人娘のご家庭(名前は仮名)。大手塾代以外の追加の課金なしで第一志望の伝統女子校に合格 |
| 短期留学 | 学校主催、夏休みに約2週間、費用は100万円近く |
| 申込状況 | クラスの半数ほどが申し込むと娘さんから聞いた、と描かれている |
| 家庭の結論 | 今回は見送り。娘さんが将来本当に行きたくなった時期に改めて考える |
留学先の国や地域、学校名、プログラム名、100万円の内訳は記事に書かれていません。また、記事の末尾には「プライバシー保護のため、内容を一部脚色しています」とあります。特定の学校の話ではなく、「私立中学に入った家庭で起こりうる悩み」の例として読むのがよさそうです。
ご夫婦が決めたルールは短期留学だけではありません。友だちとのディズニーは年に何度までと決める、部活の打ち上げは事前に予算を伝えて足りない分はお小遣いから出す、というものです。いずれも「全部ダメ」ではなく、家族で決めた枠の中でなら使ってよい、という考え方ですね。
記事では、私立中学の費用について、授業料などの学費で年間100万円程度、部活・修学旅行・交通費・お小遣いまで含めると年間150万円程度を想定しておくべきだ、とも書かれています。これは筆者の目安で、公的な統計とは集計の範囲が異なる点に注意が必要です。
背景と解説
100万円近い短期留学は、私立中の「1年分の学費」に近い金額
では、100万円近いという金額はどのくらいの重さなのでしょうか。文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」(2024年12月25日公表、2026年1月16日に訂正版を掲載)によると、私立中学校に通う子ども1人あたりの1年間の学習費は次のとおりです。
- 学校教育費: 1,128,061円(授業料や修学旅行費、通学関係費など)
- 学校外活動費: 422,981円(塾や習い事など)
- 学習費総額: 1,560,359円(上の2つに学校給食費9,317円を加えた合計)
図1にまとめました。約2週間で100万円近いという費用は、私立中学校の学校教育費の1年分に近い水準です。つまり、2週間の留学のために「学校にかかるお金をもう1年分」用意するようなもの、ということなんです。

ポイント: 短期留学の費用は、行き先や時期、為替、航空券の価格などで大きく変わります。今回の「100万円近く」はあくまで記事の事例です。お子さんの学校のプログラムについては、必ず学校の案内で総額と内訳を確かめてください。
海外に出る高校生の多くは「3か月未満」
短期の海外プログラムに参加する生徒は決して少なくありません。文部科学省の「高等学校等における国際交流等の状況調査結果(令和5年度)」(2025年3月28日公表)では、令和5年度に3か月未満の外国への研修旅行に参加した高校生等は31,711人、3か月以上の留学は3,174人でした(図2)。

短期の派遣は長期留学のおよそ10倍の人数です。ただし、ここに示した人数は高校生等の集計で、中学生の人数を示すものではありません。また、統計上3か月未満のものは「留学」ではなく「研修旅行」として数えられています。この集計では、3か月未満の研修旅行の参加人数が3か月以上の留学人数を上回っています。家庭の負担額や補助の有無は、個別のプログラムで確認が必要です。
高校段階の支援例:トビタテ!留学JAPAN
留学費用を支える公的な制度として代表的なのが、文部科学省とJASSO(日本学生支援機構)が進める「トビタテ!留学JAPAN 新・日本代表プログラム【高校生等対象】」です。返済不要の奨学金と留学準備金が支給され、2026年度の第11期では、原則としてJASSOの第二種奨学金(予約採用)の家計基準を満たすことが条件でした(基準を超える家庭からも、支援予定人数の約1割を上限に採用)。
対象は高校生などで、本人が計画した探究的な活動を含む留学を支援する制度です。中学校の学校主催プログラムにそのまま使えるものではありません。公式サイトでは、2027年度に向けた第12期の募集要項を2026年10月に掲載する予定とされています。第12期の条件はまだ公表前なので、最新の要項で確かめてください。
保護者への影響と今できる対応
今回の記事で印象的なのは、ご夫婦が「行かせない」と決めたのではなく、「今回は見送り、本人が本当に行きたい時期に考える」と決めた点です。短期留学は、タイミングを変えれば別の形で実現できる選択肢でもあります。
申し込むかどうか迷ったときに家族で確認したい視点を、図3にまとめました。

- 目的を本人の言葉で聞く: 「友だちが行くから」なのか、「英語を使ってみたい」「海外の学校を見てみたい」なのか。目的がはっきりすれば、ほかの手段と比べやすくなります
- 総額と内訳を確認する: 参加費に何が含まれているか。航空券、滞在費、研修費、保険、現地でのお小遣い、事前準備の費用まで含めた総額を見積もりましょう
- 年間の教育費の枠に当てはめる: 学費、部活、修学旅行、塾などを並べ、留学費用がその枠に収まるか、ほかの支出を削る必要があるかを確かめます
- 時期の選択肢を比べる: 中学で短期、高校で長期、大学で交換留学など、段階によって費用や支援制度が変わります
- 「見送る」理由を子どもに伝える: 金額だけでなく、家族としての優先順位を正直に話すことで、お子さん自身の金銭感覚も育ちます
注意: 「クラスの半数ほどが申し込む」という話は、周りの雰囲気に流されやすいポイントです。ほかのご家庭の判断は、それぞれの家計や方針に基づいたもの。わが家の予算と目的に照らして決めることが大切です。
IB(国際バカロレア)校や国際教育に力を入れる学校を検討しているご家庭では、海外研修の機会がさらに多いこともあります。学校選びの段階で、学費だけでなく「任意参加の海外プログラムの費用と参加率」も説明会などで確認しておくと、入学後の戸惑いを減らせるはずです。
そして、海外渡航が決まったら、外務省の海外安全情報配信サービス「たびレジ」への登録もしておきたいところです。学校主催の場合も、現地の安全情報を家族が受け取れる状態にしておくと安心ではないでしょうか。
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まとめ
- 記事の事例: 2026年9月26日のFinasee記事で、学校主催・夏休み約2週間・100万円近い短期留学を「今回は見送る」と決めた家庭の話が紹介されました(内容は一部脚色)
- 費用の重さ: 文部科学省の令和5年度調査で、私立中学校の学校教育費は年1,128,061円。100万円近い留学は、その1年分に近い金額です
- 短期派遣は一般的に: 令和5年度に3か月未満の海外研修旅行に参加した高校生等は31,711人で、3か月以上の留学の3,174人を大きく上回ります
- 高校生等向けの支援制度も確認: トビタテ!留学JAPANの高校生等対象コースは返済不要の支援で、中学の学校主催プログラムにそのまま使えるものではありません
- わが家の線引き: 目的・費用・時期の3つを家族で確認し、「今回は見送る」も前向きな選択肢として考えましょう


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