IB PYP(初等教育プログラム)完全ガイド:3歳〜12歳の探究型学習とは【2026年版】

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「うちの子にIB教育を受けさせたいけれど、小学校からって早すぎないかしら?」「PYPって聞いたことはあるけど、具体的にどんな教育なの?」そんな疑問をお持ちの保護者の方、多いのではないでしょうか。

IB PYP(Primary Years Programme=初等教育プログラム)は、3歳から12歳のお子さまを対象とした、国際バカロレア機構(IBO)が開発した探究型学習プログラムです。IBOの資料ではPYP校・生徒は109カ国に広がり、2023年9月時点では2,275校が127カ国超にあるとされています(IBO「Who is the PYP for?」、IBO「Key facts about the PYP」)。日本でも認定校があります。

この記事では、PYPとはどんなプログラムなのか、カリキュラムの中身、日本の認定校情報、そしてお子さまに向いているかどうかの判断材料まで、保護者目線でわかりやすくお伝えしていきますね。

  1. PYPとは何か? ― IBの初等教育プログラムを理解しよう
  2. PYPの6つの教科横断テーマ ― 子どもたちは何を探究するの?
    1. 1. 私たちは誰なのか(Who We Are)
    2. 2. 私たちはどのような場所と時代にいるのか(Where We Are in Place and Time)
    3. 3. 私たちはどのように自分を表現するか(How We Express Ourselves)
    4. 4. 世界はどのような仕組みになっているのか(How the World Works)
    5. 5. 私たちは自分たちをどう組織しているのか(How We Organize Ourselves)
    6. 6. この地球を共有するということ(Sharing the Planet)
  3. PYPのカリキュラム構成 ― 6つの教科領域
  4. 探究の単元(Units of Inquiry)とは ― PYPの学びの核心
  5. PYPの評価方法 ― ペーパーテストだけじゃない
    1. ポートフォリオ評価
    2. 形成的評価(Formative Assessment)
    3. 総括的評価(Summative Assessment)
    4. PYPエキシビション(Exhibition)
  6. 日本のPYP認定校一覧と特徴
    1. 一条校(学校教育法第1条に規定される学校)のPYP校
    2. インターナショナルスクールのPYP認定校
    3. 一条校 vs インターナショナルスクール ― どちらを選ぶ?
  7. PYPに向いている子どもの特徴
  8. よくある質問(FAQ)
    1. Q. PYPを受けるのに英語力は必要ですか?
    2. Q. PYPの途中から編入できますか?
    3. Q. PYPを卒業した後、普通の中学校に進学できますか?
    4. Q. PYPと通常の教育課程の違いは何ですか?
    5. Q. PYPの学費はどのくらいかかりますか?
    6. Q. PYPで身につく力は将来どう役立ちますか?
  9. まとめ ― PYPは子どもの「学びたい」を育てる教育

PYPとは何か? ― IBの初等教育プログラムを理解しよう

PYPは、International Baccalaureate Organisation(国際バカロレア機構、本部ジュネーブ)が1997年に開発した、3歳から12歳の子どもを対象とする教育プログラムです。日本の学校制度でいえば、幼稚園年少から小学6年生に該当する年齢層ですね。

PYPの最大の特徴は、「探究型学習」を軸にしていることです。先生が一方的に知識を教えるのではなく、子どもたち自身が疑問を持ち、調べ、考え、発表するというプロセスを大切にしています。「なぜ?」「どうして?」というお子さまの好奇心を、学びのエンジンに変えていく教育と言えるでしょう。

もう一つ大切なポイントは、PYPが「教科横断型」であること。算数は算数だけ、理科は理科だけと分けるのではなく、テーマに沿って複数の教科を横断しながら学びます。たとえば「水」をテーマにした探究では、理科的な実験だけでなく、水資源の社会問題(社会)、水に関する物語の創作(言語)、水の量の計算(算数)と、自然に複数の教科にまたがる学びが生まれるのです。

「それって、ちゃんと基礎学力は身につくの?」と心配になる方もいらっしゃるかもしれません。ご安心ください。PYPでは基礎的な読み書き・計算もしっかりと学びます。ただ、その学び方が従来の暗記中心ではなく、実際に使いながら身につけるスタイルということなんです。

PYPの6つの教科横断テーマ ― 子どもたちは何を探究するの?

PYPのカリキュラムの中心にあるのが、6つの教科横断テーマ(Transdisciplinary Themes)です。このテーマは世界中のPYP校で共通しており、子どもたちが「自分」「社会」「世界」について深く考える機会を提供します。

1. 私たちは誰なのか(Who We Are)

自分自身の本質、信条、価値観、健康について探究します。「わたしってどんな人?」「家族や友だちとの関係は?」といった、アイデンティティに関わる深いテーマです。自己理解を深めることで、他者への共感力も育まれます。

2. 私たちはどのような場所と時代にいるのか(Where We Are in Place and Time)

場所と時間における自分たちの位置づけ、歴史、地理、発見について探究します。「昔の人はどんな暮らしをしていたの?」「世界にはどんな場所があるの?」といった問いから、空間的・時間的な視野を広げていきます。

3. 私たちはどのように自分を表現するか(How We Express Ourselves)

考え、感情、文化、信条、価値観を発見し表現する方法について探究します。芸術、言語、創造的な活動を通じて、自分の思いを表現する力を育てます。

4. 世界はどのような仕組みになっているのか(How the World Works)

自然界とその法則について探究します。科学的な思考力を養いながら、身の回りの現象を「なぜ?」と問い続ける姿勢を大切にします。

5. 私たちは自分たちをどう組織しているのか(How We Organize Ourselves)

人間が作ったシステムやコミュニティとのつながりについて探究します。社会の仕組み、経済、組織について、子どもの発達段階に合わせて学んでいきます。

6. この地球を共有するということ(Sharing the Planet)

他の人々や他の生物と限りある資源を共有しながら生きることについて探究します。環境問題や持続可能性について、小さな頃から意識を育てるテーマです。

これら6つのテーマは、学年が上がるごとに扱う深さや複雑さが増していきます。たとえば「私たちは誰なのか」というテーマでも、年少さんなら「自分の好きなもの」について、小学5年生なら「文化的アイデンティティと偏見」について探究するというように、同じテーマを螺旋状に深めていく設計になっているんですよ。

PYPのカリキュラム構成 ― 6つの教科領域

探究テーマを学ぶための土台として、PYPでは以下の6つの教科領域が設定されています。

教科領域 内容 日本の教科との対応
言語(Language) 母語と第二言語の読み書き・会話力 国語・英語
社会(Social Studies) 歴史・地理・公民的な内容 社会
算数(Mathematics) 数の概念・計算・データ処理・図形 算数
芸術(Arts) 音楽・美術・演劇・ダンス 図工・音楽
理科(Science) 生物・物理・化学・地学的な内容 理科・生活
体育(Physical Education) 身体活動・健康教育 体育・保健

大切なのは、これらの教科は独立して教えられるのではなく、先ほどの6つの探究テーマと組み合わせて学ぶということです。「探究の単元(Unit of Inquiry)」の中で、複数の教科の知識やスキルを自然に使いながら学んでいきます。

「でも、算数の計算練習とか、漢字の書き取りはどうなるの?」と気になりますよね。もちろん、基礎スキルの練習時間もしっかり確保されています。学校によって「スタンドアローン」と呼ばれる教科単独の時間を設けていたり、探究の中に基礎練習を組み込んだりと、バランスを取る工夫がされています。

探究の単元(Units of Inquiry)とは ― PYPの学びの核心

PYPの授業で特徴的なのが、「探究の単元(UOI:Units of Inquiry)」です。Programme of Inquiryは各校が共同開発するため、単元数や期間は学校ごとに異なります。具体的な単元の数や期間は、IBの要件と各校の計画に基づいて決まります(IBO「How the PYP works」)。

探究の単元は、以下のような流れで進みます。

導入(Tuning In):テーマに対する子どもたちの既存知識や興味を引き出します。「みんなは〇〇について何を知っている?」「どんなことが気になる?」と問いかけ、学びの出発点を確認します。

調査(Finding Out):本や実験、フィールドワーク、インタビューなど、さまざまな方法で情報を集めます。先生が答えを教えるのではなく、子ども自身が調べるプロセスを重視します。

整理・分析(Sorting Out):集めた情報を分類し、パターンを見つけ、自分なりの理解を深めていきます。

深掘り(Going Further):新たな疑問を追究し、より深い理解を目指します。

まとめと行動(Making Conclusions / Taking Action):学んだことを振り返り、自分たちにできる行動を考え、実行します。PYPでは「学んだことを行動に移す」ことを非常に大切にしています。

たとえば、「この地球を共有するということ」というテーマで「水」について探究する場合、子どもたちは学校の水の使用量を調査し(算数・理科)、世界の水不足の現状を学び(社会)、節水ポスターを制作し(芸術・言語)、実際に学校での節水活動を企画する(行動)といった流れで学びを深めていきます。

お子さまが目を輝かせながら「今日、学校でこんなことを調べたんだよ!」と話してくれる――PYPの探究学習では、そんな場面がよく見られるんですよ。

PYPの評価方法 ― ペーパーテストだけじゃない

「探究型学習って、どうやって成績をつけるの?」これは保護者の方からよくいただく質問です。

IBOは、PYPではformal assessment(正式評価)を提供しないと説明しています。評価は学習過程へのフィードバックを主な目的とし、自己評価や振り返りも重視します。具体的な評価方法は学校によって異なります(IBO「About assessment」)。

ポートフォリオ評価

作品やレポートなどをポートフォリオにまとめる方法を取り入れる学校もあります。これは学校ごとの評価実践の一例で、PYP共通の評価の中心と決まっているわけではありません(IBOのPYP校における評価実践の研究)。

形成的評価(Formative Assessment)

学校によっては、日々の授業で子どもの理解を継続的に確認し、指導に反映させる評価を行います。観察や対話など方法はさまざまで、実践の内容は学校ごとに異なります(IBOのPYP校における評価実践の研究)。

総括的評価(Summative Assessment)

学校によっては、単元の終わりに学んだことを確認する評価を行うことがあります。プレゼンテーションや作品制作など、方法は学校ごとに異なります(IBOのPYP校における評価実践の研究)。

PYPエキシビション(Exhibition)

PYPの集大成ともいえるのが、最終学年(通常は小学5年生または6年生)で行われる「PYPエキシビション」です。子どもたちが自分でテーマを選び、数か月かけて探究を行い、その成果を保護者や地域の方々の前で発表します。

エキシビションは単なる発表会ではありません。テーマ選定、リサーチ計画、情報収集、分析、プレゼンテーション準備、そして発表まで、プロジェクト全体を自分で管理する力が問われます。「うちの子がこんな立派な発表をするなんて!」と、涙ぐむ保護者の方もいらっしゃるほど、子どもたちの成長を実感できる機会なんですよ。

日本のPYP認定校一覧と特徴

日本のPYP校は、学校教育法第1条に規定される一条校と、それ以外の学校・施設に分けて考えられます。非一条校には各種学校、認定こども園、認可・認可外施設など複数の法的種別があります。「インターナショナルスクール」は法的な学校分類ではありません(文部科学省IB教育推進コンソーシアム「IB認定校」、文部科学省「インターナショナルスクール等」)。

一条校(学校教育法第1条に規定される学校)のPYP校

一条校では、学習指導要領とIBカリキュラムの双方を満たすよう教育課程を編成します。具体的な教科、教育言語、時間配分は学校によって異なります。進学についても、希望する学校の募集要項や受け入れ条件を確認しましょう(文部科学省IB教育推進コンソーシアム「IB認定校」)。

  • 聖ヨゼフ学園小学校(神奈川県横浜市):2018年1月9日に日本の小学校として初めてIB PYP校に認定
  • 開智望小学校(茨城県守谷市):PYP認定校

ぐんま国際アカデミーはPYP校ではなく、MYP・DP校です。

インターナショナルスクールのPYP認定校

非一条校にもPYP認定校があります。教育言語や英語支援、学校の制度はそれぞれ異なるため、希望校の教育課程や募集要項で確認しましょう。

  • 東京インターナショナルスクール(東京都港区)
  • 横浜インターナショナルスクール(神奈川県横浜市)
  • 名古屋インターナショナルスクール(愛知県名古屋市)
  • Osaka International School of Kwansei Gakuin(大阪府箕面市)
  • カナディアン・インターナショナルスクール東京(東京都品川区)
  • アオバジャパン・インターナショナルスクール(東京都練馬区・目黒区)

一条校 vs インターナショナルスクール ― どちらを選ぶ?

比較項目 一条校PYP 非一条校PYP
教育言語 学校ごとに異なります。各校の教育課程・募集要項をご確認ください。
学費の例 ここでは費用例を掲載していません。 Tokyo International Schoolの2026–27年度の年間総額:K〜G2は330万円、G3〜G5は340万円。入学時一時金の合計は143万円です(学校公式の学費案内)。
日本の教育課程 学習指導要領とIBカリキュラムの双方を満たすよう編成 学校ごとに教育課程を確認
中学進学 進学先の受け入れ条件や必要な手続きは、学校ごとに確認しましょう。
英語力・英語支援 入学要件や支援の内容は学校ごとに異なります。
学校の環境 児童の構成や学校の環境は学校ごとに異なります。

「英語力を重視するか」「日本の教育課程との両立を重視するか」「ご家庭の教育方針と予算」これらのバランスで選ぶのがよいでしょう。どちらが優れているということではなく、お子さまとご家庭に合った選択をすることが一番大切です。

PYPに向いている子どもの特徴

「うちの子にPYPは合うのかしら?」と迷われている保護者の方へ、ここでは適性を決めつけるのではなく、PYPの学びや学校・家庭との相性を考えるための観点をご紹介します。

  • 好奇心や問いを持つ機会:PYPでは、子どもの好奇心や問いを学びにつなげることを目指します
  • 自分で考える活動:探究活動や、子どもが考えを深める時間があるか確認してみましょう
  • 表現する方法:絵や言葉、発表など、学校でどのような表現の機会があるか見てみましょう
  • 協働の機会:グループ活動の進め方や、子どもへの支援について学校に尋ねてみましょう
  • 試行錯誤への支援:子どもが挑戦したり、考え直したりするときにどのような支援があるか確認しましょう

IBOは好奇心、自律性、協働性などをPYPの育成目標として示しています。これらは特定の子どもの適性や将来の成果を保証するものではありません(IBO「Strengths of the PYP」)。

ここに挙げた観点に当てはまるかどうかだけで、PYPが合うかを決めることはできません。学校の授業や支援の内容を確認し、お子さまとご家庭に合うかを考えてみてください。

一方で、以下のようなケースでは慎重な検討をおすすめします。

  • 中学受験を予定している場合(PYPの学習内容や学校生活と受験準備の両立について、希望校の進路情報も確認しましょう)
  • お子さまが安心して学べる進め方や環境について、学校と相談したい場合
  • 家庭での学びへの関わり方も含め、学校が家庭に期待することを確認したい場合

よくある質問(FAQ)

Q. PYPを受けるのに英語力は必要ですか?

入学時の英語要件や英語支援の内容は、学校ごとに異なります。一条校か非一条校かだけでは判断できないため、希望校の募集要項や入学試験、EAL/ESLなどの支援内容を確認してください。

Q. PYPの途中から編入できますか?

編入制度、空席、受け入れ学年、試験や面接の有無は学校ごとに異なります。希望校の募集要項を確認し、必要に応じて学校へお問い合わせください。

Q. PYPを卒業した後、普通の中学校に進学できますか?

一条校のPYP卒業生は、日本の教育課程を修了しているため、公立・私立問わず日本の中学校に進学できます。インターナショナルスクールの場合は、日本の小学校の卒業資格が認められないケースがあるため、進学先の確認が必要です。MYP(中等教育プログラム)を持つ学校への進学も選択肢の一つです。

Q. PYPと通常の教育課程の違いは何ですか?

学び方には、教科を横断した探究などPYPの特徴があります。一条校では、学習指導要領とIBカリキュラムの双方を満たすよう教育課程を編成します。具体的な教科、言語、時間配分は学校ごとに異なるため、各校の教育課程を確認してください(文部科学省IB教育推進コンソーシアム「IB認定校」)。

Q. PYPの学費はどのくらいかかりますか?

学費は学校ごとに異なり、授業料のほかに施設費、入学金、教材費、給食費などがかかる場合があります。費用の項目や金額、適用年度を各校の公式募集要項や学費案内で確認しましょう。上の表には、学校公式資料で確認できる費用例を掲載しています。

Q. PYPで身につく力は将来どう役立ちますか?

PYPでは、自ら問いを立てること、複数の視点から考えること、調べて伝えること、協働することなどを学びの目標として扱います。こうした力が将来どのように役立つかは、本人の経験や環境によって異なります。ここでは、PYPの学びを考える際の一つの見方としてご紹介します。

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まとめ ― PYPは子どもの「学びたい」を育てる教育

IB PYPは、お子さまの自然な好奇心を学びにつなげ、知識だけでなく「学び方」そのものを育むことを目指す教育プログラムです。

探究型学習と聞くと「自由すぎて心配」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし実際には、6つの教科横断テーマと6つの教科領域という明確な枠組みの中で、計画的かつ体系的にカリキュラムが組まれています。自由と規律のバランスがしっかりと取れた教育プログラムなんです。

PYPを選ぶかどうかは、お子さまの個性やご家庭の教育方針、将来の進路計画など、さまざまな要素を考慮して決める大切な選択です。ぜひ気になる学校のオープンキャンパスや説明会に足を運んで、実際の雰囲気を感じてみてください。お子さまが目を輝かせて探究する姿を見れば、きっとPYPの魅力を実感していただけるはずです。

当サイトでは、日本全国のIB認定校の詳細情報を掲載しています。PYP認定校の個別記事もございますので、ぜひ学校選びの参考にしてくださいね。

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