私大連加盟校の海外派遣が2024年度に減少へ:留学の時期と費用を見直すヒント

私大連加盟校の日本人学生の海外派遣数の推移を示す棒グラフ(2019年度から2024年度) IB最新ニュース

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「大学に入ったら、一度は留学を経験させたい」。そう考えているご家庭にとって、少し気になる数字が出てきました。日本私立大学連盟(私大連)がまとめた調査で、加盟する私立大学から海外へ派遣された日本人学生の数が、2021年度から続いていた増加から、2024年度に減少へ転じたんです。

円安で留学費用が上がっているという話はよく耳にしますから、「やっぱり留学は難しくなっているの?」と不安になりますよね。ただ、数字を一つずつ見ていくと、「留学そのものが下火になった」とは言い切れない面も見えてきます。

この記事では、私大連の報告書と日本学生支援機構(JASSO)などの公式資料で確認できた内容をもとに、何が起きたのか、そして留学の時期や費用の選択肢をどう見直せばよいかを順番にお話ししますね。

ニュースの概要

私大連の国際連携委員会は、加盟大学の留学生の受け入れと派遣の動きをまとめた「国際教育・交流調査2025」を取りまとめ、公式サイトに2026年9月9日付で掲載しました。その後、2026年10月9日にプレスリリースが出され、2026年10月13日にリセマム(掲載サイトの表記は教育業界ニュース「ReseEd(リシード)」)が報じています。

項目 内容
調査名 国際教育・交流調査2025
取りまとめ 一般社団法人 日本私立大学連盟 国際連携委員会
対象 私大連の加盟大学115校
方法 JASSO「令和7年度留学生調査」の結果提供を受けて集計
海外派遣のデータ 2024年度の実績(2024年4月1日〜2025年3月31日)
受け入れのデータ 2025年5月1日現在

報告書によると、2024年度に海外へ派遣された日本人学生は、留学先での学びが大学の単位になる「単位認定あり」が30,705人で、前年度の31,551人から846人減りました(報告書:受入及び海外派遣(単位認定あり))。「単位認定なし」は4,101人で、前年度の4,712人から611人の減少です(報告書:海外派遣(単位認定なし))。

2つを合わせると34,806人。前年度の36,263人から1,457人、約4.0%の減少です。コロナ禍前の2019年度は合計43,157人でしたから、およそ8割の水準にとどまっていることになります。年度ごとの動きを図1にまとめました。

私大連加盟校の日本人学生の海外派遣数の推移を示す棒グラフ(2019年度から2024年度)
図1:私大連加盟校の日本人学生の海外派遣数(単位認定あり・なしの合計)。日本私立大学連盟「国際教育・交流調査2025」報告書(2026年9月9日掲載)より作成

数字の読み方に注意:プレスリリースと報道では、減少の内訳が「単位認定あり611人・なし846人」と書かれています。報告書の本体では「あり846人減・なし611人減」となっているため、この記事では報告書の数字でご紹介しています。合計の1,457人減はどちらでも同じです。

一方、加盟校が受け入れている外国人留学生は、2025年5月1日現在で51,242人。前年度より2,242人増えました。なお、政府が2033年までに掲げている外国人留学生の受入目標は、全国で40万人です。JASSOによる2025年5月1日現在の全国集計は408,069人で、政府目標の40万人を上回っています。私大連のプレスリリースは「政府目標の前倒し達成」に触れていますが、どの統計を指しているのかは明示していません。加盟校だけの51,242人で40万人に達したわけではない点には注意してください。送り出しとは対照的な動きになっています。

背景と解説

私大連は「円安の影響」とみています

減った理由について、報告書は、2022年度以降に急速に進んだ円安の影響が表れ始めたとの見方を示しています。参考として挙げられているのが、IMFの年間平均のドル円レートです。2019年が109円、2022年が131円、2024年が151円と紹介されています。

プレスリリースでは、根強い円安に加えて、先行きの見えにくい国際情勢にも触れ、派遣数に「影響を及ぼしている可能性」という表現を使っています。つまり、原因がはっきり特定されたわけではなく、あくまで私大連の見立てだということです。

全国の集計では微増。対象の違いに気をつけて

ここで押さえておきたいのが、全国の数字です。JASSOが2026年5月29日に公表した「2024(令和6)年度日本人学生留学状況調査」では、2024年度に留学を始めた日本人学生は91,054人。2023年度の89,179人から1,875人(2.1%)増えています。コロナ禍前の2018年度(115,146人)にはまだ届いていません。

私大連の調査もJASSOのデータ提供を受けたものですが、対象は加盟115校に限られます。「加盟校では減ったけれど、加盟校以外の大学等も含めた全国の集計では少し増えた」というのが、今回確認できた事実なんです。「日本人の留学が全体として減った」という話ではない点に気をつけたいですね。

なお政府は、2033年までに日本人学生の海外留学者数を50万人にする目標を掲げています(文部科学省:第6回教育未来創造会議)。この目標は高校生の留学も含む数字です。

期間は「1か月未満」が約6割、行き先は北米以外にも

中身をもう少し見てみましょう。2024年度の単位認定ありの派遣では、期間不明の25人を除いた30,680人のうち、1か月未満が19,061人(62.1%)でいちばん多くなっています。6か月以上1年未満は3,686人(12.0%)、1年以上は978人(3.2%)です(図2)。

2024年度の海外派遣の留学期間別の割合と行き先上位5か国
図2:2024年度・単位認定ありの海外派遣の期間別割合と行き先上位5か国。日本私立大学連盟「国際教育・交流調査2025」報告書(2026年9月9日掲載)より作成

行き先の上位は、アメリカ4,786人(15.6%)、カナダ3,014人(9.8%)、オーストラリア2,884人(9.4%)、韓国2,595人(8.5%)、英国2,166人(7.1%)の順です。報告書には2019年度を100とした指数も載っていて、アメリカは66.8、韓国は131.5、単位認定あり全体では83.3でした。行き先によって回復の度合いに差があることが読み取れます。

「大学からの派遣」と「海外大学への進学」は別の話

今回の調査は、日本の大学に在籍する学生の海外派遣を集計したものです。高校を卒業して海外の大学へ直接進学するケースを数えた調査ではありません。IB(国際バカロレア)のDPなどを経て海外大学への出願を考えているご家庭は、この数字をそのまま自分たちの進路に当てはめないようにしてくださいね。

保護者への影響と今できる対応

今回のニュースが関係するのは、国内の大学に進んだうえで在学中の留学を考えているご家庭です。「国内大学+留学」と「海外大学への進学」で迷っているご家庭にも、考える材料になるのではないでしょうか。

時期と期間の選択肢を広げて考える

「留学=1年間」と思い込むと、費用の大きさに身構えてしまいます。でも実際には、加盟校の単位認定ありの派遣の約6割が1か月未満でした。まず短期で経験し、手応えを見てから学期単位の留学を考える、という段階的な進め方もあります。単位が認められるかどうかは卒業の時期にも関わりますので、志望大学のプログラムで確認しておくと安心です。

費用を支える公的な制度を知っておく

公的な支援も確認しておきましょう。JASSOの海外留学支援制度(協定派遣)は、大学等が協定に基づいて8日以上1年以内の期間で学生を派遣するプログラムが対象です。奨学金は留学先の地区によって月額8万円、9万円、11万円、12万円のいずれかで、一定の家計基準を満たす場合は渡航支援金16万円もあります。

官民協働の「トビタテ!留学JAPAN 新・日本代表プログラム」は、大学生等対象の第18期(2026年度)募集要項で、28日以上1年以内の留学計画を対象にしていました。奨学金は家計基準内の場合、留学先によって月額16万円または12万円、家計基準外は月額6万円です。留学準備金はアジア地域15万円、その他の地域25万円で、円安や物価高騰を踏まえてそれぞれ6万円、10万円が上乗せされています。授業料として30万円の支給もありますが、条件が付きます。第18期の募集はすでに終了していますので、次回の内容は公式サイトで確認してください。

海外の大学で学位を取りたい場合には、JASSOの海外留学支援制度(学部学位取得型)があります。2027年度分の通常応募は、事前のエントリーが2026年9月24日13時、応募書類の提出が10月1日13時(いずれも日本時間)に締め切られました。エントリーの期限を過ぎると応募は受け付けられない決まりです。2026年度の募集要項には、2025年度の実績として月額139,000円〜352,000円(国・地域で異なる)と書かれています。支援を受ける年度の前年の秋に締め切られる日程でしたから、早めの準備が欠かせませんよね。

ポイント:奨学金の金額や条件、募集の時期は年度ごとに変わります。ここでご紹介した数字はそれぞれの年度の要項のものですので、応募するときは必ず最新の要項を確認してください。

家庭で話し合っておきたいこと

  • 留学の目的は何か。語学や異文化体験が中心なら短期、専門科目を学ぶなら学期単位や1年が候補になります
  • 志望大学にどんな協定派遣プログラムがあり、単位は認められるか
  • 行き先を北米に限らず、アジアや大洋州も含めて比べてみたか
  • 授業料、滞在費、渡航費、保険を分けて見積もり、為替が動いたときの余裕を見ているか
  • 使えそうな奨学金の応募時期と条件を、入学前から調べているか

見直しの視点を図3に整理しました。お子さんと話すきっかけにしてみてください。

留学の時期と費用を見直す5つの視点のチェックリスト
図3:留学の時期と費用を見直す5つの視点。日本私立大学連盟の調査、JASSO海外留学支援制度(協定派遣)、トビタテ!留学JAPAN第18期募集要項より作成

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まとめ

  • 加盟校の派遣数が減少: 私大連加盟115校が対象の調査で、2024年度の海外派遣は34,806人。前年度から1,457人(約4.0%)減りました。2021年度から続いた増加が、2024年度に減少へ転じた形です
  • 私大連は円安の影響とみている: 国際情勢の影響の可能性にも触れていますが、原因が特定されたわけではありません
  • 全国の集計は微増: JASSOの調査では2024年度の留学開始者は91,054人で、前年度より1,875人増えています
  • 短期が中心: 単位認定ありの派遣の62.1%が1か月未満。期間や行き先を広げて考える余地があります
  • 支援制度は早めに確認: 奨学金は年度ごとに条件が変わります。最新の要項を公式サイトで確かめましょう

出典・参考リンク

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