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「子どもが海外の大学に興味を持ち始めたけれど、アメリカとイギリス、どちらが向いているのかしら」「留学生が多い国のほうが安心なのでは?」――海外進学を考え始めると、各国の学校制度や留学生の様子を比べたくなりますよね。でも、ネットで調べるほど情報がばらばらで、どれを信じればよいのか迷ってしまうというご家庭も多いのではないでしょうか。
そんなときに役立ちそうな資料を、文部科学省が公表しました。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、中国、韓国の6か国の教育制度や学生データをまとめた「諸外国の教育情報」令和8(2026)年版です。今回から、各国で学ぶ留学生の出身国・地域別のデータが新たに加わりました。
この記事では、資料の中身を整理したうえで、留学先を比べるときにどう使えばよいか、どこに気をつければよいかを一緒に見ていきます。
ニュースの概要
教育情報サイトのリセマム(ReseEd)は2026年11月4日、文部科学省が10月30日に「諸外国の教育情報」令和8(2026)年版を公表したと報じました。文部科学省の公式ページでは、この資料を「諸外国の教育統計」の後継資料と位置づけ、6か国の教育状況を統計データなどで示したものと説明しています。担当は総合教育政策局参事官(調査企画担当)付です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 資料名 | 「諸外国の教育情報」令和8(2026)年版(「諸外国の教育統計」の後継資料) |
| 公表 | 文部科学省。公表日は2026年10月30日と報じられています |
| 対象国 | アメリカ合衆国、イギリス、フランス、ドイツ、中国、韓国の6か国 |
| 形式 | 国ごとに1つのExcelファイル |
| 掲載項目(9項目) | 学校系統図、学校統計、私立学校の割合、学級編成基準、大学の学生納付金、政府機関奨学金制度、大学の収入の構成、高等教育教職員の構成、国・地域別留学者数(上位10か国) |
前年度の「諸外国の教育統計」令和7(2025)年版からの主な変更点として、文部科学省は次の3つを挙げています。
- 国別に1つのファイルにまとめ、使いやすくした
- OECDの「図表でみる教育(Education at a Glance)」で取得できる「高等教育在学者の専門分野別構成」「学位取得者の専攻分野別構成」を削除した
- 各国の公表資料に基づく「留学生の国別/地域別内訳」のデータを追加した
なお、令和7(2025)年版は日本を含む7か国を扱っていましたが、今回は外国6か国のデータになっています。
背景と解説
新しく加わった「留学生データ」の中身
今回いちばんの注目は、各国のExcelファイルに入った「国・地域別留学者数」の表です。各国でどの国・地域から来た学生が多いのかが、上位10か国(中国は地域別・課程別)で示されています。各ファイルの数値を図1にまとめました。

| 国 | 年 | 総数 | 出身国・地域の上位 |
|---|---|---|---|
| アメリカ | 2022年(2022/23学年度とみられます) | 1,057,188人 | 中国、インド、韓国の順。日本は8位(16,054人) |
| イギリス | 2023年 | 733,930人 | インド、中国、ナイジェリアの順 |
| フランス | 2023年 | 419,694人 | モロッコ、アルジェリア、中国の順 |
| ドイツ | 2023年 | 379,939人 | DAAD/DZHWの2023/24冬学期資料ではインド、中国、トルコの順。文科省の表とは順位が一致せず、原因は未確認 |
| 韓国 | 2024年 | 208,962人 | 中国、ベトナム、モンゴルの順。日本は7位(5,250人) |
| 中国 | 2023年 | 194,327人 | 地域別ではアジアが132,417人で最多 |
アメリカの表は、学士課程・大学院・非学位取得課程・OPT(F-1学生が許可を受けて専攻に関連する実務訓練を行う制度。在学中と修了後の区分があります)の内訳まで載っています。日本からの留学生16,054人のうち、学士課程は7,191人、大学院は3,516人、非学位取得課程は3,926人です。つまり、日本からアメリカに渡る学生は、交換留学や語学プログラムなど学位を取らない課程の割合が比較的大きい、ということが読み取れます。
「数え方」が国ごとに違うことに注意
ここで大切なのが、数字の数え方です。文部科学省は、各国政府が公表しているデータを「標準化せずに」掲載していると明記し、国ごとに統計の範囲や手法、教育システムが違う点に留意するよう求めています。実際、各国の注記を見ると、たとえば次のような違いがあります。
- アメリカ:IIE(国際教育研究所)の「Open Doors」のデータ。OPTで実務訓練中の人も含む
- イギリス:学部・大学院のフルタイムとパートタイムの合計
- フランス:高等教育機関に在籍する外国籍の学生の数
- ドイツ:外国籍の学生のうち、大学入学資格をドイツ国外などで取得した人の数。出身国の順位は、ドイツの別の統計とは異なる可能性があるため、原典の年と定義を確かめるのが安心です
- 中国:正規の高等教育課程の在籍者。正規課程以外の研修などに参加している留学者は別に5万9,692人
調査年もアメリカは2022年、韓国は2024年と揃っていません。図1の棒の長さを見て「アメリカはイギリスより何割多い」と単純に比べるのは、避けたほうがよさそうです。
ポイント:この資料は「一つの国を深く知る」のに向いています。国どうしを同じ物差しで比べたいときは、文部科学省自身が案内しているとおり、OECDの「図表でみる教育(Education at a Glance)」を併せて見るのがおすすめです。
保護者への影響と今できる対応
海外大学への進学を考えているご家庭、国際バカロレア(IB)のディプロマ・プログラム(DP)などで海外大学も視野に入れているご家庭、そして海外駐在中で現地や第三国の大学を検討しているご家庭にとって、留学先の基本情報を公的な資料で確かめられるのは心強いことですよね。図2に、この資料の使い方の流れをまとめました。

こんな使い方ができます
- 学校系統図で「何歳でどこに進むか」をつかむ:日本の6・3・3・4制とどう違うのかを最初に確認すると、入学時期や必要な学年の見当がつきます
- 学生納付金・奨学金の項目で費用の考え方を知る:国ごとに学費の仕組みや公的な奨学金の制度が整理されています。ただし実際の金額は大学や年度で変わるため、最終的には志望大学の公式サイトで確認しましょう
- 留学者数の表で「どんな仲間と学ぶか」を想像する:出身国の顔ぶれは国ごとにかなり違います。日本人が多い国・少ない国、アジア系が中心の国など、キャンパスの雰囲気を考える手がかりになります
- 私立学校の割合で、現地の学校事情を知る:駐在中のご家庭が現地校を考えるときの参考にもなります
確認したいチェックリスト
- 見ている数値は何年のものか(表の右上に年が書かれています)
- 表の下の「注」に、何を数えた数値かが書かれているか
- 短期留学・語学研修・交換留学が含まれているか
- 費用・入学条件は、志望大学の最新の公式情報で確かめたか
注意:「留学生が多い国=日本人にとって入りやすい国」とは限りません。入学条件や英語力の基準、学費は大学ごとに異なります。この資料は全体像をつかむ地図として使い、出願の判断は大学の公式情報をもとに行いましょう。
お子さまと一緒にExcelを開いてみるのも一案です。「この国では日本からの留学生は何人くらい?」「どの国の人が多いんだろう?」と話しながら見ると、留学がぐっと身近に感じられるかもしれません。数字の注記を読む習慣は、IBなどで求められる資料を批判的に読む力にもつながります。
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まとめ
- 何が公表されたか: 文部科学省が「諸外国の教育情報」令和8(2026)年版を公表。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、中国、韓国の6か国を国別Excelで掲載しています
- 新しく加わったデータ: 各国で学ぶ留学生の国・地域別内訳(上位10か国など)。アメリカでは日本が8位(16,054人、2022年)、韓国では7位(5,250人、2024年)です
- 使うときの注意: 各国の公表値を標準化せずに載せているため、調査年や数え方が国ごとに違います。国どうしの単純比較は避けましょう
- 上手な使い方: 一つの国の制度・費用の仕組み・留学生の顔ぶれを知る資料として活用し、国際比較はOECDの「図表でみる教育」、出願の判断は大学の公式情報で確認するのが安心です

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