渋谷区「シブヤ未来科」で不登校の子が午後だけ登校?探究と登校支援を保護者目線で解説

渋谷区のシブヤ科・シブヤ未来科の年間時数の推移(令和4年度15〜20時間、令和5年度70時間、令和6年度約130〜155時間) IB最新ニュース

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「最近、うちの子が学校に行きたがらなくて……」「探究学習って、受験勉強の時間を削ってまでやる意味があるの?」。そんなふうに気になっているお母さま・お父さまも多いのではないでしょうか。

朝日新聞EduAが2026年10月14日と15日の2回にわたり、東京都渋谷区の区立学校で午後の時間を主に探究学習にあてる「シブヤ未来科」と、それを支える保護者たちの団体「一般社団法人シブタン」を紹介しました。下編の見出しは「不登校の子も『午後は探究の時間だから』と登校」。探究の時間が、学校に足を向けるきっかけになっている例があると、関係者が語っています。

この記事では、報道の内容と渋谷区・文部科学省の公式情報を分けながら、「探究は登校のきっかけになるの?」を一緒に考えていきますね。

ニュースの概要

朝日新聞EduAの連載「新しい教育のカタチを考える」で、ライターの大塚玲子さんがシブタンの立ち上げにかかわった3人の保護者に話を聞いた記事です。

項目 内容
掲載 朝日新聞EduA「シブヤ未来科とシブタン」(上)2026年10月14日、(下)2026年10月15日
話を聞いた人 山田裕介さん(シブタン代表理事、神宮前小PTA会長を6年)、佐々木健介さん(理事、広尾小PTAの元代表)、北村俊生さん(理事、千駄谷小PTAの元会長)
取り組み 探究「シブヤ未来科」(渋谷区立の小・中学校。2024年度から拡充)
支える団体 一般社団法人シブタン(2024年9月設立。区立学校のPTAなどの有志で構成)

上編によると、教育委員会が構想を説明した2023年度の小学校PTA連合会の理事会では「炎上」と言っていいくらいの反応だったそうです。渋谷区は私立中学を受験する子が多く、「勉強時間を削ってまで探究学習をするのか」という声が多かったとのこと。その後、山田さんたちは教育委員会と話し合いを重ね、応援する側に回ったと語っています。

上編の冒頭では、いまは多くの子どもたちが探究の時間を楽しみにしていて、不登校だった児童が「午後だけは登校できる」ケースも増えているという、と紹介されています。下編では見出しで、不登校の子の登校に加えて「発表力が格段に向上する効果」も挙げています。下編の具体的なエピソードは会員向けの部分にあるため、ここでは確認できた範囲だけをご紹介します。

ここは区別しておきたいポイントです:「不登校の子が午後に登校するようになった」という話は、シブタンの関係者が取材で語った内容として報じられているものです。探究の時間が不登校の減少や登校につながったことを示す数値は、今回確認した渋谷区の公式資料には見当たりませんでした。

背景と解説

「シブヤ未来科」はどんな仕組み?

渋谷区の公式ページによると、区は令和6年度(2024年度)から文部科学省の「授業時数特例校制度」を活用し、探究「シブヤ未来科」の核となる「総合的な学習の時間」を全区立小・中学校で充実させています。区の教育委員会の報告書では、総合的な学習の時間の中で行う取り組みとして、令和4年度は「シブヤ科」で年間15〜20時間、令和5年度は「シブヤ未来科」で年間70時間、令和6年度は年間約130〜155時間(計画)と、時間数が増えてきた経過が示されています(図1)。

渋谷区のシブヤ科・シブヤ未来科の年間時数の推移(令和4年度15〜20時間、令和5年度70時間、令和6年度約130〜155時間)
図1:シブヤ科からシブヤ未来科へ、年間時数の移り変わり(渋谷区教育委員会「令和6年度 点検及び評価報告書」より作成。令和6年度は計画値)

授業時数特例校制度とは、各教科の標準授業時数の1割を上限に、その分をほかの教科などに回せる国の制度です。渋谷区は国語や算数・数学など各教科の授業時数の一部(1割)を総合的な学習の時間に上乗せしています。つまり「教科の時間を少し減らして探究に回すけれど、学ぶ内容は変えない」ということです。区は、学習指導要領で定められた各教科で学ぶ内容は「変わりません(減りません)」と説明しています。

区の広報紙が示す令和6年度の例では、月曜から金曜まで、午前の1〜4校時は教科を中心とした授業、午後の5〜6校時は主に「シブヤ未来科」の時間です。小学6年生の例では、年間155時間程度のうち、地域や企業などによる体験を含む探究基礎が50時間程度、共通テーマによる探究が70時間程度、自分で問いを立てる「My探究」が35時間程度とされています(図2)。報道では「午後の授業時間をすべて探究」と表現されていますが、区の資料では午後に生活科や道徳、特別活動なども含まれ、中学校は時間講師の関係で午後の探究時間に変更もあると注記されています。

シブヤ未来科の1日の流れと小学6年生の年間155時間の内訳
図2:午前は教科、午後は主に探究という1日の流れと、小学6年生の1年間の探究の内訳の例(渋谷区教育委員会「渋谷の教育」No.132より作成)

シブタンは何をしている団体?

渋谷区の2025年2月7日の報道発表によると、渋谷区教育委員会とシブタンは、令和6年12月27日に探究「シブヤ未来科」の充実に向けた連携協定を結びました。シブタンの役割は、学校と地域・企業とのコーディネート、連携先の発掘、企業が提供する学習プログラムの調整、学習発表会の企画と実施の支援です。教員の負担を軽くしながら、学校の外の力をつなぐ役割なんです。

年に一度の発表の場「探究フェス」も開かれています。上編では、シブタンと教育委員会が共催した2025年のフェスに3500人もの関係者が訪れたと紹介されています。シブタン公式のnoteでは、2025年12月17日に開いた「シブヤ未来科探究フェス2025」の参加者を3,000人以上と報告しています。

不登校の現状と国の方針

文部科学省の令和6年度の調査では、小・中学校の不登校の児童生徒は計353,970人(小学校137,704人、中学校216,266人)で、過去最多でした。一方、増加率は小・中学校全体で2.2%と、前年度より低くなっています。国は2023年3月31日に「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」をまとめ、校内教育支援センターなど、学びたいと思ったときに学べる場を整える方針を示しています。

IBの「探究」との共通点

IB(国際バカロレア)の初等教育プログラム(PYP)は3〜12歳を対象に、教科の枠を超えた6つのテーマで探究を進め、最終学年には自分にとって大切な課題を探究して発表する「エキシビション」に取り組みます。シブヤ未来科はIBのプログラムではありませんが、自分で問いを立てて調べ、人に伝えるという考え方には共通する部分がありますよね。

保護者への影響と今できる対応

関係が深いのは、渋谷区の区立小・中学校に通うご家庭、行き渋りや不登校で悩んでいるご家庭、海外のIB校などで探究型の学びを経験し、帰国後の学校選びを考えているご家庭です。

「好きなことを調べられる時間があるなら行ってみようかな」と感じる子がいる一方で、すべての子に当てはまるわけではありません。探究の時間を「登校のきっかけ」の一つとして考えつつ、無理をさせない形を学校と一緒に探すのが大切なのではないでしょうか。

確認しておきたいことを、チェックリストにまとめました。

  • わが子の学校では、探究(総合的な学習の時間)がいつ・どのくらいあるか
  • テーマを子ども自身が選べる個人探究があるか
  • 発表会や地域・企業との連携など、教室の外とつながる機会があるか
  • 行き渋りがあるとき、一部の時間だけ参加するといった相談に学校が応じてくれるか
  • 教育委員会の教育支援センターや校内の支援教室など、学校以外の学びの場

渋谷区にお住まいの方へ:区の教育センターには「不登校相談ダイヤル」(03-3463-3518、月〜金曜と第3日曜の9時〜17時。休日・祝日、年末年始を除く)があります。登校が難しい子の居場所「けやき教室」は、週1回・午前中のみなど、その子に合わせたペースで通えると案内されています。

中学受験との両立が気になる方も多いですよね。区は教科の内容は減らないと説明していますが、受験準備との時間の配分は家庭ごとに違います。お子さんの様子を見ながら話し合ってみてください。

ほかの地域にお住まいの方へ:探究の時間の長さや進め方は、自治体や学校によって違います。お住まいの学校の時間割や年間計画で、探究がどう位置づけられているかを確かめてみてくださいね。

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まとめ

  • 報道の内容: 朝日新聞EduAが2026年10月14日・15日に、渋谷区の「シブヤ未来科」と、PTA会長の有志らがつくった一般社団法人シブタンを紹介しました
  • 不登校との関係: 不登校だった子が「午後だけは登校できる」ケースも増えていると関係者が語っていますが、区の公式資料で効果を示す数値は確認できませんでした
  • 仕組み: 2024年度から授業時数特例校制度で各教科の時数の一部(1割)を探究に回し、教科の内容は減らないと区は説明しています
  • 今できること: わが子の学校の探究の時間や、一部だけ参加する相談ができるかを確かめ、教育センターなど学校以外の相談先も知っておきましょう

出典・参考リンク

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