「うちの子、英語は学校の授業だけで大丈夫なのかな」「習い事や留学にお金をかけられる家庭との差が開いてしまわないかしら」――そんなモヤモヤを抱えている保護者の方、多いのではないでしょうか。
2026年9月27日、日本経済新聞の配信(リンク先は日経ウーマン)として「『英語ができるかどうか』で子どもたちの『可能性の格差』も広がる」という記事が掲載されました。子育て中の編集者とライターが、わが子の英語学習を振り返りながら語り合った座談会です。見出しの言葉にドキッとした方もいらっしゃるかもしれませんね。
この記事では、座談会で語られたポイントを整理したうえで、文部科学省の最新データから「日本の子どもの英語力はいまどのくらいなのか」「海外に出る機会はどうなっているのか」を確認し、ご家庭でできる学習環境づくりを考えていきます。
ニュースの概要
今回の記事は、英語コーチの石井麻由子さんによる日経ウーマンの連載『英語を武器にできる子の育て方』が書籍化されたことを受けて掲載された「編集後記」シリーズの4回目です。連載と書籍づくりに関わった3人が、つくり手であり読者でもある立場から、気づいたことを話し合っています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掲載媒体・日付 | RSS上の配信元:日本経済新聞/リンク先:日経ウーマン、2026年9月27日 |
| 記事の形式 | 書籍『英語を武器にできる子の育て方』の編集後記【4】(座談会) |
| 参加者 | 片岡麻衣子さん(ライター)、青木真理さん(日経ウーマン編集記者)、蓬莱明子さん(日経ウーマン副編集長) |
| 関連書籍 | 石井麻由子著『中学受験・高校受験・大学受験がぐっと楽になる 英語を武器にできる子の育て方』日経BP、定価2,200円(税込み) |
座談会では、書籍で触れられている韓国や中国などアジアの人たちの英語熱が話題になりました。片岡さんは、アジアの高校生が集まって議論するイベントの運営に関わった経験から、各国から選ばれた高校生が英語力に加えてディベート力やリーダーシップを持ち、国際政治や貧困、サステナビリティーといったテーマを高い視座で議論していたことに驚いた、と振り返っています。
そのうえで、英語でコミュニケーションが取れる日本の高校生はそうした場で刺激を受けて世界が広がっていく一方、その感覚に触れる機会がまったくない子もいることから、「英語ができるかどうかで可能性の格差が広がっていく」と感じた、と語っています。編集記者の青木さんも、広い視野を持つには英語で情報を得られることが大切で、英語力は「前提条件」だと応じています。
ポイント:この記事は新しい制度や調査結果の発表ではなく、子育て中の編集者たちの実感をもとにした座談会です。「英語ができる」ことはゴールではなくスタートラインで、その先に議論する力や視野の広さが求められる、というのが大きなメッセージです。
背景と解説
日本の中高生の英語力はいまどのくらい?
「可能性の格差」という言葉を、データの面からも確かめておきましょう。文部科学省は毎年、公立の中学校・高校を対象に「英語教育実施状況調査」を行っています。2026年に公表された令和7年度調査(調査基準日は2026年2月1日)の結果は次のとおりです。
- 中学3年生:CEFR A1レベル相当以上の英語力がある生徒は54.6%(令和6年度は52.4%)
- 高校3年生:CEFR A2レベル相当以上の英語力がある生徒は52.4%(令和6年度は51.6%)
- 国の目標:第4期教育振興基本計画(令和5〜9年度)で、どちらも6割以上
CEFR(セファール)というのは、語学力をA1からC2までの6段階で表す国際的な物差しのことです。つまり、国が目標とする英語力の水準に達した生徒の割合は、どちらも半数を少し超えたところ(目標は6割以上)、ということですね。

図1にまとめたように、調査が始まった平成25年度(中3で32.2%、高3で31.0%)から見ると、着実に伸びています。ただし、この数値には英検などの資格を持つ生徒に加え、校内テストなどをもとに先生が「相当する」と判断した生徒も含まれている点には注意が必要です。
地域による違いもあります。中学生の割合が50%を超えた自治体(都道府県と政令指定都市)は、令和5年度の28から令和7年度は39に増えましたが、全67自治体のうち、まだ届いていない自治体も少なくありません。英語力の目標水準に達した生徒の割合には地域差があります。ただし、この集計だけでは、その差の要因は分かりません。
海外に出る機会はコロナ前に戻りきっていない
座談会で語られた「国際的な場で刺激を受ける機会」についても、データがあります。文部科学省が2025年3月28日に公表した調査によると、令和5年度に海外へ研修旅行(3か月未満)に出た高校生は延べ31,711人、3か月以上の留学をした高校生は3,174人でした。

図2のとおり、コロナ禍の令和3年度から大きく回復したものの、平成29年度(研修旅行42,793人、留学4,076人)の水準にはまだ届いていません。令和5年度の研修旅行と留学の合計は34,885人です。ただし、研修旅行は延べ人数で、同じ生徒が複数の国・地域に研修旅行した場合はそれぞれに数えられるため、この合計も実際に海外経験をした生徒の人数(実人数)ではありません。なお、文部科学省は、この2区分の合計34,885人を、2033年に12万人とする政府目標に対応する留学生数として示しています。海外で学ぶ経験は、まだ一部の高校生に限られているといえそうです。
注意:文部科学省のデータは地域別・年度別の傾向を示すもので、家庭の収入と英語力の関係を直接示したものではありません。「お金をかけないと英語はできない」と結論づけられるデータではない点は、落ち着いて受け止めたいところです。
保護者への影響と今できる対応
「格差」という言葉を聞くと焦ってしまいますが、記事の参加者紹介の中で、副編集長の蓬莱さんが「無料・低価格のデジタル教材で学び放題」の今の環境を生かしたい、と書いているのが印象的です。高額な習い事や留学だけが選択肢ではない、ということなんです。
ご家庭で考えたいのは、「英語に触れる」「英語を使う」「英語で考える・議論する」という段階を、お子さんがどこまで経験できているかです。図3に、家庭で点検したい5つの視点をまとめました。

- 今の力を外部の物差しで確かめる:学校の成績だけでなく、英検などで現在地を知ると、次の目標が立てやすくなります
- 毎日少しでも触れる時間をつくる:英語の絵本や動画、デジタル教材など、無理なく続けられる方法を親子で探してみましょう
- 「使う」場を用意する:オンライン英会話や地域の英語イベントなど、話す機会を少しずつ増やしていきます
- 考える力とセットで育てる:座談会でも、ディベート力や批判的思考、多面的に物事を見る力が必要だと語られていました。日本語でニュースについて話し合うことも、立派な土台づくりです
- 学校選びの視点に加える:中学・高校を選ぶ段階なら、英語教育や海外研修、探究学習に力を入れている学校も比較してみてはいかがでしょうか
国際バカロレア(IB)のように、授業そのものが「調べる・議論する・発表する」ことを中心に組み立てられているプログラムもあります。英語力だけでなく、座談会で挙がった議論する力や視野の広さを育てる環境として、選択肢の一つに入れて調べてみるのもよいですよね。
海外駐在中のご家庭では、現地で英語に触れる機会がある一方、帰国後にその力をどう保ち、伸ばしていくかが気になるところだと思います。帰国後の学校で英語を使う場があるか、という視点も持っておくと安心です。
ポイント:大切なのは、ほかの家庭と比べて焦ることではなく、わが子が「英語で世界とつながる感覚」に触れる機会を少しずつ増やしていくことです。親が完璧に教える必要はなく、きっかけづくりと伴走が役割です。
まとめ
- 座談会のメッセージ: 日経ウーマン(2026年9月27日)の座談会で、英語ができるかどうかで子どもの「可能性の格差」が広がると語られました
- 英語はスタートライン: 英語力は前提条件で、その先にディベート力や批判的思考、視野の広さが求められるという問題提起です
- データで見る現状: 令和7年度の調査では、国の目標水準に届く生徒は中3で54.6%、高3で52.4%。目標の6割にはまだ届いていません
- 海外経験は回復途上: 令和5年度の高校生の海外研修・留学は計34,885人(研修旅行は延べ人数)で、コロナ前の水準にはまだ届いていません
- 家庭でできること: 無料・低価格の教材も活用しながら、「触れる・使う・考える」機会を段階的に増やし、学校選びの視点にも加えてみましょう


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