「中学受験をやめて英検」は広がっている?数字で見る小学生の英検と受験の実像

首都圏の私立・国立中学校の受験者総数(2023年から2026年)と、2024年度に英検を受けた小学生の人数を並べた図 IB最新ニュース

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「周りのお友だちが塾に通い始めたけれど、うちの子に中学受験は合っているのかしら」「受験をしないなら、せめて英検は取らせておいたほうがいいの?」。そんなふうに迷っているご家庭も多いのではないでしょうか。

東洋経済オンラインが2026年10月13日、「中学受験はやめて英検取得」という動きを取り上げた記事を公開しました(Yahoo!ファイナンスにも配信されています)。見出しには「中学受験ブーム終焉の兆し」という強い言葉が並んでいますが、もとになった統計を見ると、少し違う景色が見えてきます。

この記事では、報道で語られている「現場の実感」と、公表されている統計を分けて整理します。英検と中学受験のどちらを優先するか考えるときの材料にしてくださいね。

ニュースの概要

記事を書いたのは、一般財団法人ドラゴン桜財団代表理事の西岡壱誠氏です。連載「生まれつきの才能は不要 東大『逆転合格』の作法」の1本で、小学生向けに英語資格の取得などを支援するキンダーラボ株式会社の代表、相佐優斗氏へのインタビューが中心になっています。

相佐氏は、自身の教室では中学受験から離れて英語学習に軸足を移す家庭が「かなり増えています」と話しています。これは英語資格の取得を支援する事業者としての現場の実感で、家庭の数を調べた統計ではありません。記事はあわせて、次の2つの数字を紹介しています。

項目 内容
媒体・公開日 東洋経済オンライン(2026年10月13日)。Yahoo!ファイナンスにも配信
著者 西岡壱誠氏(一般財団法人ドラゴン桜財団代表理事・ドラゴン桜2編集担当)
取材先 キンダーラボ株式会社代表 相佐優斗氏
中学受験の数字 首都圏の私立・国立中学校の受験者総数(ONETES推定)は、2023年の52,600人から2026年は52,050人に
英検の数字 2024年度に英検を受けた小学生は375,991人で、2014年度の約1.5倍(日本英語検定協会)

大事なのは、記事そのものが2つの数字のつながりを断定していない点です。冒頭では「この二つに因果関係があるとまではいえません」と書かれ、結びでも、中学受験から英検への大移動が始まったと結論づけることはできない、とまとめられています。2つの数字を図1に並べました。

首都圏の私立・国立中学校の受験者総数(2023年から2026年)と、2024年度に英検を受けた小学生の人数を並べた図
図1:中学受験の受験者数と小学生の英検受験者数。ONETES(2026年2月19日)、日本英語検定協会コラム(2025年8月15日)より作成

背景と解説

中学受験は「終わった」のでしょうか

中学受験の数字の出どころは、中学受験の公開テストを運営するONETES(旧・首都圏模試センター)が2026年2月19日に公表した推定値です。2026年の首都圏の私立・国立中学校の受験者総数は52,050人で、前年より250人少なく、前年比は99.5%でした。過去最多だった2023年の52,600人から、2024年は52,400人、2025年は52,300人と、3年続けて少しずつ減っています。

ただ、3年間の減少は合わせて550人で、割合にすると1%ほどです。ONETESは2026年の受験者数を「過去40年で4番目」の多さ、受験率18.06%を「過去3番目の高さ」と説明し、少子化で小学校の卒業生が減るなかでも今年も中学受験ブームが続いた、という見方を示しています。受験率は2023年が17.86%でしたから、受験する子の割合はむしろ当時より高いんです。

つまり、統計が示しているのは「中学受験をする家庭が急に減った」ということではなく、「子どもの数が減るなかで、受験者数がわずかに減った」ということです。「ブーム終焉」は見出しの表現で、統計を出した側の見方とは違う点を押さえておきましょう。

小学生の英検はどのくらい増えたのか

英検の数字は、日本英語検定協会が2025年8月15日に公開したコラムによるものです。2024年度に英検を受けた小学生は375,991人で、2014年度の約1.5倍になりました。級ごとに見ると、4級が約1.6倍、3級が約1.9倍、準2級が約2倍です。

協会が示す各級の推奨目安では、4級は「中学中級程度」、3級は「中学卒業程度」、準2級は「高校中級程度」とされています。中学校や高校で学ぶ内容にあたる級に挑戦する小学生が増えている、ということですね。図2に級と目安の対応をまとめました。

英検5級から準1級までの推奨目安と、小学生の受験者数の伸びが示されている4級・3級・準2級を階段状に示した図
図2:英検の級と推奨目安。準2級プラスは2025年度に新設。日本英語検定協会「各級の目安」、同コラム(2025年8月15日)より作成

参考までに、文部科学省の令和7年度「英語教育実施状況調査」(2026年6月公表)では、CEFR A1レベル相当以上、つまり英検3級相当以上の英語力がある中学3年生は54.6%でした。国の目標は6割以上です。この調査は公立学校などが対象で、資格を取った生徒に加え、相当の英語力があると教師が判断した生徒も含んだ割合です。小学生のうちに3級を受けるのは、かなりの先取りにあたるといえそうです。

数字を読むときの注意:英検の375,991人は「小学生」の受験者数、中学受験の52,050人は首都圏の私立・国立中学校の受験者総数(推定)で、対象の範囲がそもそも違います。2つを並べて「受験をやめた子が英検に移った」と読むことはできません。

英語を生かせる中学入試は「増えたあと横ばい」

東洋経済オンラインの記事は、英語を生かせる中学入試の入口が広がっていることにもふれています。ONETESの集計では、帰国生入試を除く一般入試で「英語(選択)入試」を実施した首都圏の私立・国立中学校は、2014年の15校から2022年には146校まで増えました。ONETESは当時の記事で、小学校で2020年度から英語が5年生から教科になったことにもふれ、2022年入試を実質的な「英語入試解禁元年」と位置づけていました。

その後は2023年141校、2024年142校、2025年140校、2026年140校と、140校前後で横ばいです(図3)。長い目で見れば大きく増えましたが、今も増え続けているわけではありません。また、この校数は「英語(選択)入試」の集計で、英検の優遇を設ける学校すべての数ではない点にも気をつけたいですね。

英語(選択)入試を実施する首都圏の私立・国立中学校数の推移。2014年15校から2022年146校に増え、2026年は140校
図3:「英語(選択)入試」実施校数の推移(首都圏、一般入試)。ONETESの2022年6月6日の記事と2023〜2026年入試の導入校一覧より作成

保護者への影響と今できる対応

今回の記事が関係するのは、中学受験をするかどうか迷っているご家庭や、英語を続けてきて受験との両立に悩んでいるご家庭です。記事の結びは、中学受験か英検かの二者択一ではなく、限られた小学生時代の時間をどこに配分するかを親子で考えることが大切だ、という内容でした。どちらが正しいかを決める話ではないんですよね。

記事から読み取れる道は、大きく3つあります。4教科で中学受験に挑む道、英語を強みにして中学受験の組み立てを変える道、そして中学受験からいったん離れて高校・大学入試を見据えて英語の土台をつくる道です。相佐氏は、高校・大学入試でも英語資格を出願要件や得点換算、加点に使う学校や大学があると説明しています。実際の扱いは学校ごとに違うので、個別に要項を確かめる必要があります。

相佐氏が挙げた2つの心がまえ:1つ目は、資格を「ゴール」ではなく「選択肢を広げるための出発点」と捉えること。2つ目は、どんなときに楽しそうか、将来どんな世界を見てみたいかを親子で話し、少し遠い未来から逆算してみることです。

そのうえで、ご家庭で確認しておきたい点を整理しました。

  • お子さんの様子:競争や長時間の座学が合っているか、ほかに強い関心を持っていることはないか
  • 英検の位置づけ:級を取ること自体が目的になっていないか。合格のあとに何につなげるか
  • 志望校の募集要項:英語入試の方式は、英語単独、国語・算数との組み合わせ、英語資格の得点換算など学校ごとに異なる。最新の要項で確認する
  • 国語と算数の基礎:英語を強みにする場合でも、おろそかにしない
  • 時間の配分:塾、英語、習いごと、体験のどこに時間を使うかを親子で話す

相佐氏自身も、「英語入試なら楽に受かる」という意味ではないと念を押しています。英語を強みにすることと、入試がやさしくなることは別の話です。

英検に切り替えれば安心、ではありません:記事は、英検が新しい「唯一の正解」になってしまえば、レールを一本から別の一本へ乗り換えただけになる、とも書いています。中学受験が合うお子さんも、両立するお子さんもいます。

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まとめ

  • 報道の内容: 東洋経済オンラインが2026年10月13日、中学受験から英語学習に軸足を移す家庭が増えているという事業者の実感を紹介しました
  • 中学受験の数字: 首都圏の受験者総数(推定)は3年続けて微減ですが、2026年も52,050人、受験率18.06%と高い水準です
  • 英検の数字: 2024年度に英検を受けた小学生は375,991人で、2014年度の約1.5倍。3級は約1.9倍、準2級は約2倍です
  • 因果関係: 2つの数字のつながりは記事自身も断定していません。「ブーム終焉」は見出しの表現です
  • 家庭での考え方: 二者択一ではなく、お子さんの関心や得意に合わせて時間の使い方を話し合い、志望校の最新の要項を確認しましょう

出典・参考リンク

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