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「部活に打ち込んでいるうちの子、海外の大学で競技を続けるという道もあるのかしら」。そんなふうに考えたことのある保護者の方も、いらっしゃるのではないでしょうか。でも、英語の授業についていけるのか、費用はどれくらいかかるのか、気になることも多いですよね。
2026年10月16日、陸上男子800メートルのクレイ・アーロン竜波選手(24歳)がニューバランスと契約し、東京で会見したと報じられました。クレイ選手は高校3年で日本選手権を制したあと、米国の大学へ進み、つらい時期も乗り越えてきたそうです。
この記事では、ニュースの内容を整理したうえで、米国の大学で競技を続ける進路を「学業」「費用」「支援の仕組み」の3つの面から見ていきますね。NCAA(全米大学体育協会)やJASSO(日本学生支援機構)など、公式の情報で確認できたことをもとにお話しします。
ニュースの概要
スポーツメディアのTHE ANSWERが2026年10月16日に配信した記事(Yahoo!ニュースにも掲載)によると、クレイ選手は同日、ニューバランスと契約を結び、東京・MUFGスタジアム(国立競技場)で会見しました。会見には女子中長距離の田中希実選手(豊田自動織機)も同席し、海外選手の勢いに負けない「自信、マイペースを見つけていくことが大事」と語ったと報じられています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 出身高校 | 相洋高等学校(神奈川県・学校法人明徳学園) |
| 高校時代の実績 | 2019年6月の日本選手権男子800mで優勝(1分46秒59、当時の日本高校記録) |
| 最初の進学先 | 2020年3月に高校を卒業し、テキサスA&M大学へ進学。ファイナンスの学位を取得して卒業 |
| その後 | ペンシルベニア州立大学(Penn State)。2025-26シーズンは大学院生として登録 |
| 2026年の動き(報道) | 3月の世界室内選手権で6位、7月に日本歴代2位の1分44秒32。10月1日にJALへ入社し、拠点は今後も米国 |
記事によると、クレイ選手は渡米後、高い壁や慣れない環境に向き合う中で「陸上を辞めそうになった」時もあったそうです。米国では「タイムというより勝つという意識が強かった」と振り返り、背の高い選手やストライドの大きな選手にもまれた経験が「自分の中で自信になった」と話したと伝えられています。
高校時代の歩みは、小田原市の紹介ページで確認できます。テキサスA&M大学を選んだ理由として、クレイ選手は中距離に強い大学で「このような環境に飛び込むことで自分が成長できると思い選んだ」と話しています。ペンシルベニア州立大学の公式プロフィールには、同大学で企業のイノベーションと起業(corporate innovation and entrepreneurship)の学位を目指していることや、学校と陸上部の両方で支えてくれる環境を選んだ理由に挙げていることも書かれています。図1にまとめました。

背景と解説
学業:入学前から「成績」が条件になる
米国の大学スポーツを統括する代表的な団体がNCAAです(ほかにNAIAなどの団体もあります)。NCAAの大学はディビジョンI・II・IIIの3つに分かれていて、ルールがそれぞれ違うんです。
NCAAの国際生向けの案内では、ディビジョンIでプレーするには、NCAAが認めたコア科目(英語または母語・数学・理科・社会などの主要科目)を16単位終えていて、コア科目の成績平均(GPA)が2.3以上であることが必要です。ディビジョンIIはGPA2.2以上、ディビジョンIIIは各大学が独自に基準を決めます。ここでいう単位やGPAは、日本の高校の単位数や評定とは別のもので、NCAAが国や教育制度ごとの基準で認定・換算したものです。審査するのはNCAA Eligibility Center(資格の認定窓口)で、第9学年以降の母国語の正式な成績証明書、認証を受けた逐語の英訳(一行ずつ対応した英訳)、卒業の証明などを学校から提出します。日本の教育制度に対応して何が必要になるかは、NCAAの国別の案内で確認しておきたいですね。つまり、日本で学んできた日々の成績が、NCAAの基準で換算されたうえで、競技を続けられるかどうかの条件になるということです。
ポイント:大学に入ってからも、授業と練習・遠征の両立は続きます。クレイ選手のように、競技を続けながら学位を取って卒業する道があることは、保護者として心強い材料ではないでしょうか。
費用:奨学金は「全額」とは限らない
College Boardの集計では、2025-26年度の米国の4年制大学の授業料・諸費用(年額の平均)は、公立の州外生向けが31,880米ドル、私立非営利が45,000米ドルです(図3)。これには寮費や食費は含まれていません。
競技奨学金については、NCAAは「多くの選手は全額ではなく一部の支給」と説明しています。奨学金を決めるのはNCAAではなく各大学の監督で、1年ごとの支給が一般的、更新も保証されていません。ディビジョンIIIは競技奨学金を出さず、学業や家計の状況に応じた援助が中心です(図2)。


支援の仕組み:ルールは今も変わっている
NCAAは2025年6月23日、大学スポーツをめぐる集団訴訟の和解(House和解)を受けた規則の変更を発表し、7月1日から実施しました。和解に参加したディビジョンIの大学では、競技ごとの奨学金の人数上限がなくなり、代わりに部員数の上限が設けられています。同じ発表では、部員数の調整や競技成績、けがを理由に登録から外れても、本人が転校を選ばない限り奨学金は取り消されないと説明されています。
また、ディビジョンIの大学は、競技を終えたあとに学士や修士の学位を取り終えるための費用を負担できる場合があるとされています。奨学金を減らしたり更新しなかったりする場合は、7月1日までに書面で通知し、本人は不服を申し立てられます。
保護者への影響と今できる対応
対象になるのは、高校で競技に打ち込みながら、海外の大学も選択肢に入れているご家庭です。米国務省のEducationUSAは、競技奨学金を探すなら入学予定の約18〜24か月前から調べ始めるよう案内しています。たとえば今の高校2年生(2028年3月卒業予定)が2028年秋に入学するなら、おおむね2026年夏から2027年春にかけてが調べ始める目安です。
日本の奨学金では、JASSOの「海外留学支援制度(学部学位取得型)」が、海外の大学で学士の学位を目指す人に給付しています。2027年度募集(2027年4月〜2028年3月に支援を開始する人が対象)は、2026年7月16日に書類が公開され、書類の提出は10月1日に締め切られました。今の高校2年生が対象になる次の募集の日程はまだ発表されていません。JASSOの制度紹介ページでは、募集要項は7月下旬〜8月頃に公開、10月上旬に締め切りと案内されています。実際の日程は年度ごとに前後するので、高校3年の夏前から公式ページを確認しておくと安心です。
注意:大学独自の奨学金とJASSOの給付は別の制度で、それぞれに条件があります。また、在学中のアルバイトやNIL(選手の名前や肖像を使った報酬つきの活動)は、ビザの規則にかかわる可能性があります。フロリダ大学の留学生向け案内も、契約の前に大学の留学生担当へ相談するよう求めています。
今からできる準備を、チェックリストにまとめました。
- 競技の記録や大会の映像、指導者の推薦状を整理しておく
- 高校の主要科目の成績を落とさない(NCAAのコア科目の審査に使われます)
- 第9学年以降の成績証明書・逐語の英訳・卒業の証明の準備、NCAA Eligibility Centerへの登録手順を確認する
- 志望校のディビジョンと、奨学金の条件(全額か一部か、何年分か)を書面で確かめる
- 授業料のほか、寮費・食費・保険・渡航費も含めて家計の計画を立てる
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まとめ
- ニュースの要点: 高校3年で日本選手権を制したクレイ選手は、米国の2つの大学で競技と学業を続け、2026年10月にニューバランスとの契約を発表しました
- 学業: NCAAのディビジョンIは、コア科目16単位とGPA2.3以上(NCAAの基準で認定・換算)が条件。日々の成績が出発点です
- 費用: 2025-26年度の平均は公立の州外生向けで31,880米ドル、私立で45,000米ドル。競技奨学金は一部支給が多いとされています
- 支援: 2025年7月から、和解に参加したディビジョンIの大学で奨学金のルールが変わりました。奨学金を守る仕組みもあります
- 準備: 入学の18〜24か月前から調べ始め、JASSOの給付の日程も早めに確認しましょう
出典・参考リンク
- THE ANSWER: クレイ・アーロン竜波がニューバランスと新契約 田中希実から金言…米国挑戦で掴んだ自信と「マイペース」(2026年10月16日)
- Yahoo!ニュース(THE ANSWER配信): 高3で陸上日本一→米大学へ進学 壁にぶつかるも…海外の強豪に揉まれ「自信に」(2026年10月16日)
- 小田原市: 小田原市ゆかりのアスリート クレイ・アーロン竜波選手(陸上競技)(2021年10月1日更新)
- ペンシルベニア州立大学 体育局公式サイト: Allon Clay 2025-26シーズンの選手プロフィール(2026年10月16日確認)
- NCAA: Becoming an NCAA Student-Athlete as an International Student(2026年10月16日確認)
- NCAA: Scholarships and Financial Aid(2026年10月16日確認)
- NCAA: DI Board of Directors formally adopts changes to roster limits(2025年6月23日)
- College Board: Trends in College Pricing Highlights(2025-26年度データ、2026年10月16日確認)
- EducationUSA(米国務省): Athletic Scholarships(2026年10月16日確認)
- JASSO: 海外留学支援制度(学部学位取得型)(2026年10月16日確認)
- JASSO: 2027年度海外留学支援制度(学部学位取得型)(2026年10月16日確認)
- University of Florida International Center: NCAA – Frequently Asked Questions(2026年10月16日確認)


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