四国の幼児教育施設で初のIB認定、高松の幼稚園が実践する「なぜ」から始まる探究

市場水族館への遠足から始まった探究の流れ(体験する・疑問をもつ・調べる・考える) IBプログラム解説

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「幼稚園のうちから、子どもの『なぜ?』を大切にしてくれる場所で過ごさせたい」。そう考えて、IB(国際バカロレア)の幼児教育が気になっているご家庭も多いのではないでしょうか。とはいえ、IBの幼稚園が毎日どんなことをしているのかは、外からはなかなか見えにくいものです。

2026年10月17日、朝日新聞が香川県高松市の「らく楽寺井幼稚園」の園長へのインタビュー記事を掲載しました。同園は2025年、四国の幼児教育施設として初めて、IBの初等教育プログラム(PYP)の正式認定を受けた園です。記事では、園児の素朴な疑問から学びを広げていく活動が具体的に紹介されています。

この記事では、朝日新聞の記事と、文部科学省・香川県・地元メディアの情報をもとに、IBの幼児教育でどんな学びが行われているのか、園選びで何を確認すればよいのかを整理してお伝えしますね。

ニュースの概要

朝日新聞は2026年10月17日、「園児の『なぜ』で学び広げる 四国初バカロレア認定の幼稚園長に聞く」と題した記事を公開しました。記事によると、らく楽寺井幼稚園は昨年(2025年)、四国の幼児教育施設で初めてPYPの正式認定を受け、3〜6歳の約130人が通っているとのことです。インタビューに答えたのは髙木真美園長です(朝日新聞の記事では「高木」と表記)。

項目 内容
園名 らく楽寺井幼稚園(IBO公式での英語名:Raku Raku Terai Kindergarten)
所在地 香川県高松市寺井町
施設の種類 認定こども園(幼稚園型)
経営主体 学校法人らく楽学園
IBの認定 PYP(2025年12月11日に認定)
IBO公式の授業言語 英語・日本語
園児数 3〜6歳の約130人(2026年10月17日の朝日新聞の報道)

認定の時期については、KSB瀬戸内海放送が2025年12月19日に、同園が12月11日に国際バカロレアの正式認定校として認可され、幼稚園・保育園として四国で初めての認定校になったと伝えていました。IBOの学校ページにも、PYPの認定日として2025年12月11日が掲載されています。

なお「四国初」は、あくまで幼児教育施設(幼稚園・保育園)として初めてという意味です。文部科学省IB教育推進コンソーシアムの一覧(2026年6月30日時点)では、四国では高知県の香美市立大宮小学校もPYPの認定校として載っていて、高知県にはMYPやDPの認定校もあります。「四国で初めてのIB校」ではない点を押さえておくと、誤解がありません。

ポイント:ビジネス香川の報道(2025年12月18日)によると、同園は2023年にIBの候補校となりました。IBでは、候補校として国際バカロレア機構のワークショップなどを受けながら実施体制を整え、そのうえで認定を受ける仕組みになっています。

背景と解説

実践例:水族館で生まれた「なぜ」から調べ学習へ

朝日新聞の記事で髙木園長は、「私たちは誰なのか」などの六つのユニットを学んでいること、「教えてもらう学び」ではなく子どもたちが「自分で見つける学び」をしていることを話しています。目標は、子どもが自発的に疑問を持ち、自分の意見を伝え、他人の意見を聞く力を養うことだそうです。

記事で紹介されている具体例が、とてもわかりやすいんです。「この地球を共有するということ」というユニットで、園児たちは高松市の市場水族館へ遠足に出かけ、海の生き物について学びました。そこで園児が抱いた「あの生き物はどこから来たのかな」という疑問をきっかけに、水族館と自然界のどちらで生活するのが良いのかを、図鑑やタブレットで調べて考えたそうです。図1に、その流れをまとめました。

市場水族館への遠足から始まった探究の流れ(体験する・疑問をもつ・調べる・考える)
図1:園児の「なぜ」から始まる探究の流れ(朝日新聞 2026年10月17日の園長インタビューより作成)

遠足を「楽しかったね」で終わらせず、子どもの疑問を次の活動の入り口にしているところが、探究型の学びらしいところですよね。正解がひとつに決まらない問いを、幼児なりに調べて考える経験は、ご家庭での声かけのヒントにもなりそうです。

PYPとは:3〜12歳の「教科の枠をこえた」学び

PYPは、IBが提供する4つのプログラムのうち、3〜12歳を対象にしたものです。文部科学省IB教育推進コンソーシアムによると、PYPでは人間の共通性に基づく6つの「教科の枠をこえたテーマ」を扱い、幼児期にあたる3〜5歳児は毎年最低4つのテーマに取り組みます。つまり、「この時間は数」「この時間は言葉」と区切るのではなく、ひとつの大きな問いを入り口にして、いろいろな力をまとめて育てていくということです。園長が話していた「私たちは誰なのか」などの六つのユニットも、このテーマに沿ったものです。6つのテーマは図2にまとめました。

PYPの教科の枠をこえた6つのテーマと、幼児期は毎年最低4つを扱うこと
図2:PYPの6つのテーマ(文部科学省IB教育推進コンソーシアムのページなどより作成)

IBが目指す「10の学習者像」

IBには、学びを通じて目指す人物像として「IBの学習者像」が10項目定められています。文部科学省IB教育推進コンソーシアムのページでは、「探究する人」「知識のある人」「考える人」「コミュニケーションができる人」「信念をもつ人」「心を開く人」「思いやりのある人」「挑戦する人」「バランスのとれた人」「振り返りができる人」と紹介されています。園長が話す「疑問を持つ」「意見を伝える」「他人の意見を聞く」は、このうち「探究する人」「コミュニケーションができる人」「心を開く人」と重なる考え方だといえそうです。

国内のPYP認定校は91校

文部科学省IB教育推進コンソーシアムによると、2026年6月30日時点で、国内のPYP認定校は91校、候補校は36校です。世界では、2026年6月時点で163の国と地域の約6,200校がIBの認定を受けています。同コンソーシアムは、PYPの認定校には3〜5歳対象の「Early Years」か6〜12歳対象の「Primary」のどちらか一方だけを対象にする場合もあると注記しています。幼稚園やこども園のPYPは、主にこのEarly Yearsにあたると考えられます。

保護者への影響と今できる対応

「幼児期から探究型の学びを」と考えているご家庭、とくに香川県やその近くにお住まいのご家庭にとっては、身近な選択肢が具体的に見えてきたニュースといえます。ここでは、IBの幼児教育を検討するときに押さえておきたい点を整理します。

「IB=英語漬け」とは限らない

IBの幼稚園と聞くと、英語だけで過ごす環境を想像される方もいるかもしれません。でもPYPは、文部科学省IB教育推進コンソーシアムが「どのような言語でも提供可能」と説明しているプログラムです。らく楽寺井幼稚園についても、KSB瀬戸内海放送は、日本語を大切にしつつ英語講師によるレッスンや普段の生活で英語を耳にする環境づくりに取り組むと伝えています。英語をどのくらい使うかは園ごとに違うので、見学で確かめておくと安心です。

卒園後のつながりも考えておく

注意したいポイント:PYPの園を卒園しても、小学校でIBを続けられるとは限りません。文部科学省IB教育推進コンソーシアムの一覧(2026年6月30日時点)で、四国のPYP認定の小学校として載っているのは高知県の香美市立大宮小学校です。地域の小学校での学びも含めて、卒園後の道筋を考えておきましょう。

ビジネス香川は、運営グループが県内でIB認定を目指している小学校との連携も視野に入れ、切れ目なくIB教育を受けられる環境づくりを構想していると報じています。具体的な連携先や実施時期について、本記事では公式発表を確認できていないため、今後の発表を待ちたいところです。

園選びで確認したい5つのポイント

見学や説明会の前に、図3のポイントを確認しておくと、園ごとの違いが見えやすくなりますよ。

IBの幼児教育を選ぶ前に確認したい5つのポイント
図3:園選びで確認したい5つのポイント(文部科学省IB教育推進コンソーシアムの注記、KSB瀬戸内海放送の報道などをもとに本記事で整理)
  • 認定か候補か:文部科学省IB教育推進コンソーシアムやIBOの一覧で、「認定校」か「候補校」かを確認する
  • 対象の年齢:3〜5歳のEarly Yearsだけなのか、小学校段階まであるのか
  • ことばの環境:日本語と英語をどう使い分けているか
  • 卒園後のつながり:小学校でも探究型の学びを続けられる選択肢が地域にあるか
  • 探究の様子:子どもの疑問を先生がどう受け止め、活動につなげているか

入園の条件や費用は、今回の報道では触れられていません。気になる園があれば、園に直接問い合わせてくださいね。

ご家庭でできること:IBの園に通うかどうかにかかわらず、子どもの「なんで?」にすぐ答えを言わず、「どう思う?」「一緒に調べてみようか」と返してみるのも一つの方法です。図鑑を一緒に開くだけでも、記事で紹介された「自分で見つける学び」に近い体験ができるかもしれません。

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まとめ

  • 四国の幼児教育施設で初のPYP認定:高松市のらく楽寺井幼稚園が、2025年12月11日にPYPの認定を受けました
  • 「なぜ」から始まる学び:水族館への遠足で生まれた疑問を、図鑑やタブレットで調べて考える活動が紹介されました
  • PYPの仕組み:3〜12歳が対象で、6つのテーマのうち3〜5歳は毎年最低4つを扱います
  • IB=英語漬けではない:PYPはどの言語でも提供でき、同園は日本語を大切にしつつ英語にふれる環境づくりを進めていると報じられています
  • 園選びは卒園後まで見通して:認定か候補か、対象年齢、ことばの環境、小学校とのつながりを確認しましょう

出典・参考リンク

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