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「海外の大学に行ってみたい」とお子さんに言われたとき、まず頭に浮かぶのは費用のことではないでしょうか。今回の報道では1米ドル158円前後という為替水準が紹介されていて、物価高も重なる中、「うちには無理かもしれない」と感じているご家庭も多いと思います。
2026年10月17日、AERA DIGITALがYahoo!ニュースで配信した記事が、「進む物価高と円安 海外進学の今」としてYahoo!ニュースのトピックスに取り上げられました。一般的な家庭から米国の名門大学に進んだ学生が、どうやって費用を工面しているのかを伝える内容です。
この記事では、報道の内容を整理したうえで、大学や奨学金団体の公式ページで確認できた数字をもとに、円安が総費用にどう響くのか、保護者として今から何を準備できるのかをお話ししますね。
ニュースの概要
AERA DIGITALの記事(AERA編集部・井上有紀子記者)が伝えた主な内容は、次のとおりです(Yahoo!ニュース配信の記事)。
| 項目 | 報道の内容 |
|---|---|
| 配信 | AERA DIGITAL(Yahoo!ニュース配信、2026年10月17日) |
| 海外大学の合格者 | 2026年は角川ドワンゴ学園N高校・S高校・R高校で計379人、広尾学園で322人、三田国際科学学園で170人(いずれも延べ人数) |
| 費用の目安 | 米国の名門私立大学は寮費などを含めて年間1400万円前後 |
| 為替 | 「1ドル158円前後」の歴史的な円安 |
| そのほかの話題 | 米国の学生ビザの審査、卒業後に働く制度(OPT)の手数料案、日本での就職 |
記事には、ベネッセコーポレーションが運営するオンラインの海外大学進学塾「Route H」の篠塚伸夫さんと入谷和良さんも登場します。海外大学は「目指しやすくなったが、受かりやすくなったわけではない」という声も紹介されていて、費用と合格の両面で冷静な準備が必要だと伝えています。
背景と解説
円安で、同じドル建ての費用が円では大きく膨らむ
ハーバード大学の公式サイトによると、2026-27年度の請求対象費用(授業料・手数料・寮費・食費)は合計9万1,634米ドルです(Harvard College「How Aid Works」)。これを2020年の年平均レート1米ドル106.78円(総務省統計局『日本統計年鑑』)で換算すると約978万円、記事が伝える1米ドル158円で換算すると約1,448万円になります。同じ金額でも、円に直すと1年で約469万円もの差になるんです。

図1にまとめたように、この例では為替が10円動くだけで年に約92万円変わります。これは援助を受ける前の金額での試算で、費用は年度ごとに改定されることもあるため、目安として見てくださいね。記事では、仕送りの日本円をドルに替えたら「思ったより少ない」と感じ、旅行の資金が足りなくなった学生の経験も紹介されています。
「定価」と「実際の負担」は別もの
記事の中心は、米国の一部の私立大学が、家庭の経済状況に応じて足りない学費を補助する仕組みです。2026年10月の記事で紹介された大学2年生(仮名)の家庭は、父の年収が約1300万円で3きょうだい。年およそ1千万円の学費は、日本学生支援機構(JASSO)の給付型奨学金約300万円と大学の減免で年400万円になり、大学と交渉して自己負担は年300万円になったと報じられています。図2にまとめました。

ハーバード大学は2025年3月17日、2025-26年度から援助を広げると発表しました(Harvard Gazette)。公式サイトでは、年収10万米ドル未満の家庭は保護者の負担がゼロ、20万米ドルまでの家庭は少なくとも授業料の全額を援助すると説明しています。留学生も米国の学生と同じ援助の対象で、合否の判定に家計の事情を含めない方針(need-blind)も示されています。ただし、資産が多い家庭は負担が増えるなど、個別の審査で決まる目安です。
ポイント:留学生への援助の方針は大学によって違います。つまり、「定価」だけを見てあきらめる前に、志望校が留学生にどんな援助をしているか、自己負担の試算ツール(Net Price Calculator)で目安を出せるかを確かめておくことが大切なんです。
給付型奨学金は増えたものの「狭き門」
日本から応募できる返済不要の奨学金も広がっています。JASSOの「海外留学支援制度(学部学位取得型)」の採用は、2021年度の45人から2026年度は140人になりました。奨学金の月額は、米国・英国・カナダなどで35万2,000円(2026年度実績)です。2027年度の支援予定人数は「未定」とされています(JASSO 2027年度募集)。
柳井正財団の海外奨学金は、米国の大学の場合、原則年間11万5,000米ドルを上限に支給され、予約型と合格型でそれぞれ年間20名程度の採用です(柳井正財団 応募要項)。東京都も2026年5月29日、「都立高校等海外大学進学支援制度(給付型奨学金)」を発表しました。授業料から130万円を差し引いた残りを、世帯の所得に応じて年間最大800万円(または400万円)まで支援する制度で、募集は10名程度、令和9年度予算の成立が前提です。対象は、都立高校等に在籍し2027年3月末までに卒業見込みの人、または都立高校等を卒業後3年以内の人です(東京都 報道発表)。図3で比べてみました。

保護者への影響と今できる対応
日本に住み、円で教育費を準備するご家庭は、為替の影響をそのまま受けます。海外駐在中で現地の通貨で収入があるご家庭は、駐在している間は影響が比較的小さい一方、奨学金の住所の条件に注意が必要です。JASSOは応募時に日本に住んでいること、東京都は本人と生計を支える人が2024年5月1日から応募時まで都内に住んでいることを条件にしています。柳井正財団の予約型は、国や地域に関わらず、在籍する高校(インターナショナルスクールや海外の教育機関を含む)から推薦状を得られる人を対象としています。
注意:2027年度進学向けの募集は、柳井正財団の予約型(2026年8月10日締切)、東京都(8月19日締切)、JASSO(エントリー9月24日、書類10月1日締切)がすでに終わっています。柳井正財団の合格型は2026年12月頃に募集開始予定と案内されています。今の高校2年生が2028年秋の入学を目指す場合、2026年の日程から推測すると応募は2027年の夏から秋になるとみられますが、2028年度進学向けの日程は未発表です。東京都は次年度の募集があるかどうかも含めて、公式発表を確認してください。
今からできる準備を、チェックリストにまとめました。
- 為替を複数のレートで試算する:ハーバード大学の例では、10円の差で年に約92万円変わります
- 自己負担の目安を確かめる:志望校の公式サイトで、留学生向けの援助と試算ツールの有無を確認
- 渡航までの費用も見込む:記事の学生は、予防接種や航空券、物品の準備だけで50万円以上かかったと報じられています
- ビザの準備を早めに:米国務省は2025年6月18日、F・M・Jビザの申請者にSNSアカウントを公開設定にするよう求めると発表しています(米国務省)
- 卒業後の制度の動きを見る:米国土安全保障省は、OPTを推薦する学校に学生1人あたり初回7万米ドル、以降3万米ドルの手数料を課す規則案を2026年10月8日の官報に掲載しました。意見募集は11月9日までで、まだ提案の段階です(Federal Register)
- 日本の大学も併願する:記事でも、奨学金の額が十分でないときに備えて日本の大学にも出願しておくべきだという声が紹介されています
IBで学んでいるお子さんには、柳井正財団の予約型の応募条件も参考になります。学力試験の水準として、SAT 1400、ACT 31と並んで「IB 38(予測スコア)」が挙げられています(水準に届かない場合も、推薦する学校が認めれば応募できるとされています)。2026年の募集を見ると、奨学金の応募は進学前年の夏から秋に集中していました。出願書類の準備と重なりやすいので、早めに家族で費用の上限を話し合っておくと安心ですよね。
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まとめ
- 円安の影響は大きい:9万1,634米ドルの費用は、1米ドル106.78円なら約978万円、158円なら約1,448万円(試算)
- 定価と自己負担は別:米国の一部の大学は家計に応じて援助し、記事の事例では自己負担が年300万円になったと報じられています
- 給付型奨学金は増えたが狭き門:JASSOは2026年度140人、柳井正財団は予約型・合格型で各20名程度、東京都は10名程度
- 住所の条件を確認:海外駐在中のご家庭は、奨学金ごとの居住要件に注意
- 次の募集を確認:柳井正財団の合格型は2026年12月頃に開始予定。2028年度進学向けの募集日程は未発表で、東京都は次年度募集の有無も含めて公式発表の確認を
出典・参考リンク
- Yahoo!ニュース(AERA DIGITAL配信): 年収1300万円世帯から年間学費1千万円のアメリカ名門大へ(2026年10月17日)
- Yahoo!ニュース: 進む物価高と円安 海外進学の今(2026年10月17日)
- Harvard College: How Aid Works(2026年10月18日閲覧)
- Harvard Gazette: Harvard expands financial aid(2025年3月17日)
- 総務省統計局: 第71回 日本統計年鑑 外国為替相場(2026年10月18日閲覧)
- 日本学生支援機構: 2027年度海外留学支援制度(学部学位取得型)募集(2026年10月18日閲覧)
- 日本学生支援機構: 2021年度 海外留学支援制度(学部学位取得型)選考結果(2026年10月18日閲覧)
- 柳井正財団: 応募要項(2026年10月18日閲覧)
- 東京都: 都立高校等海外大学進学支援制度(給付型奨学金)が始まります(2026年5月29日)
- 米国務省: Announcement of Expanded Screening and Vetting for Visa Applicants(2025年6月18日)
- Federal Register: Optional Practical Training Fees(2026年10月8日)


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