はじめに
東京の国際バカロレア(IB)教育を検討している保護者の皆様にとって、品川インターナショナルスクール(Shinagawa International School、以下SIS)は注目すべき選択肢の一つです。2007年設立、2018年に品川への移転を経て、現在45カ国以上の国籍を持つ約350名の生徒が学ぶ国際的な学習環境を提供しています。PYPとMYPの完全認定、そしてDPの認定候補校として、IBの一貫教育を目指す新進気鋭のインターナショナルスクールです。
本記事では、品川区に3つのキャンパスを構える品川インターナショナルスクールの教育プログラム、入学情報、学費、施設環境、学校文化など、進路選択に必要な包括的情報を詳細に解説します。東京の交通の要所である品川エリアで展開する同校の魅力と、IB教育における現在の立ち位置を、最新情報とともにご紹介します。
品川インターナショナルスクールの基本情報
学校概要
正式名称:品川インターナショナルスクール(Shinagawa International School – SIS)
設立年:2007年(渋谷で創設)、2018年6月品川移転
学校種別:私立インターナショナルスクール
生徒数:約350名
対象年齢:3歳~17歳
国籍構成:45カ国以上(日本20%、韓国20%、アメリカ15%、中国8%、ヨーロッパ13%)
教師対生徒比:6:1
クラスサイズ:約20名
キャンパス構成
3キャンパス体制:
メインキャンパス(中等部・高等部):
〒140-0004 東京都品川区南品川3-6-21
対象:Grade 6-12(中学1年生~高校3年生相当)
シーサイドキャンパス(初等部):
〒140-0002 東京都品川区東品川4-8-8
対象:Grade 1-5(小学1年生~5年生相当)
アーリーラーニングセンター(幼児部):
対象:3歳~5歳
アクセス情報
電話:+81-3-6433-1531 / +81-3-6417-1020
メール:admissions@sistokyo.jp
ウェブサイト:www.sistokyo.jp
最寄り駅:品川シーサイド駅(東京モノレール・りんかい線)
アクセス:品川駅から約10分、羽田空港からのアクセスも良好
国際バカロレア(IB)プログラムの現状
IB認定状況(2024年現在)
PYP(初等教育プログラム):✅ 完全認定済み
対象:3歳~11歳(アーリーラーニング~Grade 5)
MYP(中等教育プログラム):✅ 完全認定済み
対象:Grade 6-10(中学1年生~高校1年生相当)
DP(ディプロマプログラム):🔄 認定候補校(Candidate School)
対象:Grade 11-12(高校2年生~3年生相当)
状況:2024年にGrade 11開講、2025年にGrade 12開講予定
IBプログラムの特色
一貫教育アプローチ:
- PYPからMYPへの滑らかな移行
- 横断的な学習(Transdisciplinary Learning)
- 探究型学習の一貫した実施
- 国際的な視野の段階的育成
語学教育:
- 主要授業言語:英語
- EAL(英語追加言語):非ネイティブ向けサポート
- 多言語対応:生徒の母語保持支援
- 日本語教育:日本在住生徒向けプログラム
DP認定への取り組み
認定取得プロセス:
- 2024年:Grade 11開講(DP準備年)
- 2025年:Grade 12開講(DP完成)
- 2026年予定:DP完全認定取得目標
- IBO(国際バカロレア機構)との継続的な協力
学年別教育プログラム
PYP(Primary Years Programme)
アーリーラーニングセンター(3-5歳):
- 遊びを通じた学習
- 言語発達(英語・母語)
- 社会性・情緒の発達
- 基礎的な数概念
- 芸術・音楽・運動
初等部(Grade 1-5):
- 6つの教科分野:言語、数学、科学、社会、芸術、体育
- 6つの探究テーマ:私たちは何者か、時間と場所、表現方法、世界の仕組み、組織化、地球の共有
- 学習者像:探究する人、知識のある人、考える人など10の資質
- 概念理解:形、機能、原因、変化、関連、視点、責任
MYP(Middle Years Programme)
Grade 6-10の学習内容:
8つの教科グループ:
- 言語と文学
- 言語習得
- 個人と社会
- 科学
- 数学
- 芸術
- 体育・健康教育
- デザイン
MYPの特色:
- 学際的学習:教科を超えた統合的アプローチ
- コミュニティ・サービス:社会貢献活動
- 個人プロジェクト:Grade 10での自主研究
- 評価:基準準拠評価による成長の可視化
DP準備プログラム(Grade 11-12)
現在の状況(2024-2025年):
- Grade 11:2024年開講済み
- Grade 12:2025年開講予定
- DP認定候補校として運営
- 国際基準に準拠したカリキュラム
DP完成後の予定科目:
- グループ1:言語と文学(英語・日本語など)
- グループ2:言語習得(第二言語)
- グループ3:個人と社会(歴史・地理・経済など)
- グループ4:科学(物理・化学・生物・環境システム)
- グループ5:数学
- グループ6:芸術
入学情報と選考プロセス
入学制度の特徴
年間を通じた入学受付:
- 固定的な入学時期なし
- 空きがある限り随時受付
- 海外からの転入生に対応
- 学年途中からの編入可能
出願プラットフォーム:OpenApply使用
入学要件
基本要件:
- 年齢に応じた学年配置
- 多国籍受入れ(45カ国以上対応)
- 日本国籍者も条件により受入れ
- 幼児部:完全なトイレトレーニング完了
言語要件:
- 英語での授業理解能力
- 入学初日に英語評価実施
- EAL(英語追加言語)サポート利用可能
- 英語力不足の場合は段階的サポート
選考プロセス
必要書類:
- 入学願書(OpenApply経由)
- 前校の成績証明書
- 英語力評価
- 面接(保護者・生徒)
- 健康診断書
選考基準:
- 学習能力と学習意欲
- 英語でのコミュニケーション能力
- 国際的な環境への適応力
- 学校の教育理念への適合性
学費・費用構造
2024-25年度費用詳細
初期費用(初年度のみ):
- 入学検定料:¥30,000(返金不可)
- 入学金:¥900,000(返金不可)
- 設備費:¥225,000(年額・返金不可)
年間授業料:
- ¥2,475,000~¥2,725,000(学年により変動)
- 3回分割払い可能
- 日本円での支払い
初年度総額:約¥3,345,000
費用軽減制度
兄弟割引制度:
- 第2子:20%割引
- 第3子以降:30%割引
- 同時在籍時のみ適用
その他の費用:
- 制服・教材費
- 校外学習・修学旅行費
- 課外活動参加費
- ランチプログラム費(希望者)
他校との費用比較
東京圏インターナショナルスクール比較:
- 品川IS:年間270-300万円
- 他の大手国際学校:年間250-400万円
- 位置付け:中価格帯
- 費用対効果:3キャンパス制による充実した施設
学校施設と学習環境
3キャンパス制の利点
年齢別最適化環境:
- 幼児期:安全で遊び中心の環境
- 初等期:探究型学習に適した設備
- 中等期以上:高度な学習・研究設備
主要施設
学習施設:
- 音楽室・美術室
- デザイン教室
- 言語別専用教室
- 複数キャンパスの図書館
- ICT・メディア学習センター
体育・運動施設:
- 体育館(複数キャンパス)
- 屋上庭園・遊び場
- 鮫洲運動公園アクセス
- コナミスポーツセンタープール利用
- 多様なスポーツ活動対応
特色ある環境:
- 品川エリアの都市的環境
- 国際ビジネス地区との近接性
- 交通利便性(品川・羽田アクセス)
- 多文化都市環境での実践的学習
教師陣と教育品質
教員構成
国際的な教員チーム:
- アメリカ・オーストラリア・イギリス出身のネイティブスピーカー
- 各クラス2名体制(主担任・副担任)
- 多文化教育経験豊富な専門家
- IB教育の専門研修受講
教育方針:
- 個人に合わせた指導(Personalized Instruction)
- 国際的な視野の育成
- 批判的思考力の重視
- 思いやりのあるグローバル市民の育成
教員の専門性
継続的な専門開発:
- IB機構認定ワークショップ参加
- 国際教育ベストプラクティスの習得
- 多文化指導法の研究
- 最新教育技術の活用
学校文化と課外活動
ミッションと価値観
教育ミッション:
- 国際的な心の育成
- 批判的思考能力の開発
- 思いやりのあるグローバル市民の育成
- 生涯学習への情熱
学校価値観:
- 多様性の尊重と包含
- 学術的卓越性の追求
- 創造性と革新性
- 地域および世界への貢献
課外活動プログラム
スポーツ活動:
- サッカー部
- バレーボール部
- バドミントン部
- 水泳(提携施設利用)
- 年齢別チーム編成
文化・芸術活動:
- 音楽プログラム
- 美術・デザイン活動
- 演劇・パフォーミングアーツ
- 国際文化イベント
社会貢献活動:
- 地域コミュニティプロジェクト
- 環境保護活動
- チャリティイベント
- MYPコミュニティサービス
進学実績と将来展望
現在の進学状況
中等教育段階の実績:
- 他のIB認定校高等部への進学
- 国際学校の高等部編入
- 海外ボーディングスクールへの進学
- 日本の国際教育重視校への進学
DP完成後の展望(2026年以降)
大学進学の選択肢:
- 海外大学:アメリカ・イギリス・カナダ・オーストラリア等
- 国内大学:IB入試対応校・国際教養大学・国際学部
- アジア地域:シンガポール・香港・韓国等の大学
キャリア準備:
- グローバル企業でのキャリア
- 国際機関・NGOでの活動
- 起業・イノベーション分野
- 学術・研究キャリア
入学検討時の重要ポイント
学校選択の判断基準
品川ISの強み:
- PYP・MYP完全認定の安定した基盤
- 3キャンパス制による年齢別最適環境
- 45カ国の多様性豊かな学習環境
- 品川の立地による利便性
- 少人数制による個別対応
検討すべき点:
- DP認定が候補校段階(2024年現在)
- 高校段階での進路選択肢の確認
- 年間300万円程度の学費負担
- 英語学習への本格的なコミット必要
事前準備の重要性
英語力向上:
- 年齢相応の英語コミュニケーション能力
- 学術的な英語への慣れ親しみ
- 多文化環境でのコミュニケーション経験
学習姿勢:
- 探究型学習への意欲
- 自主的な学習習慣
- 批判的思考への関心
- 国際的な視野への開放性
学校見学・相談方法
公式連絡先
入学相談:admissions@sistokyo.jp
一般問い合わせ:info@sistokyo.jp
電話:+81-3-6433-1531
ウェブサイト:www.sistokyo.jp
学校見学の機会
見学プログラム:
- 個別学校見学(要予約)
- オープンハウス(定期開催)
- 体験授業・体験入学
- 保護者説明会
見学時の確認ポイント:
- 3キャンパスの施設見学
- 実際の授業風景の観察
- 生徒の多様性と雰囲気
- 教師陣との対話
- DP準備状況の確認
よくある質問(FAQ)
IB認定について
Q: DPが候補校ということは、IBディプロマは取得できないのですか?
A: 候補校期間中でも国際基準に準拠した教育を受けられます。DP完全認定取得後(2026年目標)には正式なIBディプロマが取得可能になります。
Q: PYPとMYPは完全認定ということですが、信頼性はどうですか?
A: はい、PYPとMYPは国際バカロレア機構から正式に認定を受けており、世界標準のIB教育が提供されています。
入学・学習について
Q: 日本人の子どもでも入学できますか?
A: はい、入学方針に適合すれば日本国籍でも入学可能です。ただし、授業は主に英語で行われるため、相応の英語力が必要です。
Q: 英語がまだ十分でない場合のサポートはありますか?
A: EAL(英語追加言語)プログラムがあり、非ネイティブの生徒への段階的な英語力向上支援を行っています。
Q: 年度途中からの転入は可能ですか?
A: はい、空きがある限り年間を通じて転入を受け付けています。海外からの急な転入にも対応しています。
費用・設備について
Q: 3キャンパス制ということは移動が大変ですか?
A: 年齢別にキャンパスが分かれているため、基本的に在学中のキャンパス移動は進級時のみです。品川エリア内で比較的近距離にあります。
Q: 兄弟割引以外の奨学金制度はありますか?
A: 現在のところ兄弟割引が主な割引制度です。経済的支援については個別にご相談ください。
進路・将来について
Q: DP認定前の高校生の進路はどうなりますか?
A: 他のIB認定校への進学、海外ボーディングスクール、国際教育重視の国内校など、複数の選択肢があります。学校が進路指導をサポートします。
Q: 将来日本の大学受験も考えている場合は大丈夫ですか?
A: IB教育は国内大学のIB入試や国際系学部にも対応しています。また、国際的な視野は日本の大学でも高く評価されています。
まとめ
品川インターナショナルスクールは、2007年の設立以来、東京の国際教育シーンで着実に地位を築いてきた新興のインターナショナルスクールです。PYPとMYPの完全認定、そしてDPの認定取得に向けた積極的な取り組みにより、IBの一貫教育を目指す保護者の皆様にとって注目すべき選択肢となっています。
品川インターナショナルスクールの主な特徴
段階的なIB教育の確立:
- PYP・MYP完全認定による安定した基盤
- DP認定候補校として2026年完全認定目標
- IB一貫教育への明確なロードマップ
多様性豊かな国際環境:
- 45カ国以上の国籍を持つ生徒コミュニティ
- バランスの取れた国籍構成(日本20%、韓国20%等)
- 真の国際的な学習環境
戦略的な3キャンパス制:
- 年齢別に最適化された学習環境
- 品川エリアの利便性の高い立地
- 各段階に応じた専門的な施設・設備
少人数制による質の高い教育:
- 6:1の教師対生徒比率
- 約20名のクラスサイズ
- 個別対応重視の指導方針
実践的な国際教育:
- 英語中心の授業環境
- EALサポートによる段階的言語習得
- 国際的な教員チーム
入学を検討する保護者・生徒の皆様へ
品川インターナショナルスクールは、確立されたPYP・MYP教育と、発展途上のDPプログラムを通じて、真の国際バカロレア教育を提供しようと努力している学校です。特に、品川という東京の交通要所に3つのキャンパスを配置し、年齢別に最適化された教育環境を提供している点は、他校にはない大きな特色です。
ただし、DP認定が候補校段階であることは十分に理解した上で入学を検討することが重要です。2026年の完全認定取得を目標としていますが、高校段階での進路選択については学校と十分に相談することをお勧めします。また、年間約300万円の学費負担と、英語中心の学習環境への適応についても、事前にしっかりと準備することが大切です。
学校見学や説明会への参加を通じて、実際の教育環境と学校の雰囲気を体験し、お子様の将来の目標と学校の教育方針が一致するかを慎重に判断してください。品川インターナショナルスクールでの学びは、お子様が多様な文化の中で成長し、国際的な視野を持つグローバル市民として活躍するための貴重な基盤となることでしょう。
東京で真の国際教育を求める家庭にとって、品川インターナショナルスクールは検討に値する魅力的な選択肢の一つです。
本記事の情報は2025年時点のものです。IB認定状況、学費、プログラム内容については変更される可能性があります。最新情報は学校公式ウェブサイト(www.sistokyo.jp)でご確認いただくか、直接学校(admissions@sistokyo.jp、+81-3-6433-1531)にお問い合わせください。
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タグ: 品川インターナショナルスクール, Shinagawa International School, 国際バカロレア, IB, PYP, MYP, DP候補校, 品川区, インターナショナルスクール, 国際教育, 入学情報, 学費, 3キャンパス制, EAL, 多国籍教育
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