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「IB(国際バカロレア)って、海外の大学に行く子のための教育でしょう?」と思っているお母さま、お父さまは多いのではないでしょうか。うちは国内の大学も考えているから関係ないかな、と選択肢から外してしまったご家庭もあるかもしれません。
ところが、2026年10月14日に朝日新聞EduAが掲載したインタビュー記事では、国際バカロレア機構の担当者が、IBのディプロマ・プログラム(DP)を修了した生徒の約4割が日本国内の大学に成績証明書を送っている、と説明しています。つまり、IBで学んだ生徒のかなりの部分が、国内大学への出願を実際に行っているということです。
この記事では、報じられた数字の意味と、文部科学省の公表資料で確認できる背景、そして国内大学も視野に入れるご家庭が今のうちに確かめておきたいポイントを、順番にお話ししますね。
ニュースの概要
元になったのは、朝日新聞EduAの連載「新しい教育のカタチを考える」に2026年10月14日付で掲載された記事です(朝日新聞EduAの記事)。国際バカロレア機構の黒川礼子さんへのインタビューで、新しい制度の発表ではなく、DP修了生の進路の傾向を機構の担当者が解説した内容です。記事の中で黒川さんが説明している主な数字を、表にまとめました。
| 項目 | 記事で説明されている内容 |
|---|---|
| 日本のIB導入校(2026年10月の記事時点) | 147校。うちDPの認定校は80校(インターナショナルスクール30校、一条校50校) |
| 日本のDP修了生 | 2025年に1,148人。3年前の約1.5倍 |
| 成績証明書を国内大学に送った割合 | 2020年は約3割、2025年は約4割。送付先の国として最も多いのは、どちらの年も日本 |
| 一条校のDP校(2026年のデータ) | 国内大学に出願した割合は、英語で履修するDP校で平均35%、日本語と英語の両方で履修するDP校で平均56.4% |
| 成績証明書の送付が多い大学 | 私立は上智大学、早稲田大学、国際基督教大学など。国公立は岡山大学が最も多く、筑波大学なども目立つ |
ここで言う「一条校」とは、学校教育法第1条に定められた学校、つまり日本の一般的な小学校・中学校・高校のことです。これらの数字は、記事の中での黒川さんの説明によるもので、同じ数字を載せた国際バカロレア機構の公表資料は、本記事の調査では確認できませんでした。その点を踏まえて、図1に整理しています。

数字の読み方に注意:「約4割」は、成績証明書を国内大学に送った生徒の割合です。国内大学に進学した生徒の割合ではありません。記事によると、海外大学と国内大学を並行して出願するケースもめずらしくないとのことで、出願先と最終的な進学先は分けて考える必要があります。
背景と解説
日本語で学べるDPが増えた
記事で黒川さんが最初に挙げているのが、日本語でDPを学ぶ生徒が増えたことです。もともとDPの授業は英語・フランス語・スペイン語で行われていましたが、2013年に文部科学省と国際バカロレア機構が協力関係を結び、一部の科目を日本語で学べる「日本語DP」の導入が進みました。記事では、2016年から日本語でも提供できるようになったと説明されています。
文部科学省IB教育推進コンソーシアムのページでも、平成25年度(2013年度)から日本語DPの開発・導入を進めてきたことが確認できます。ただし日本語DPでも、6科目のうち2科目(通常は外国語ともう1科目)は英語などで履修する必要があります(IB教育推進コンソーシアム「日本におけるIB教育」)。全部が日本語になるわけではない、という点は押さえておきたいですね。
同コンソーシアムの一覧によると、2026年6月30日時点で国内のDP認定校は80校です。一条校は95校がIBの認定を受けていて、そのうちDP認定校が50校、日本語DPの実施校が37校となっています(IB教育推進コンソーシアム「IB認定校・候補校」)。日本語で学んだ生徒が、日本語で学べる国内大学を選ぶのは自然な流れだと、記事でも説明されています。
国内大学の受け入れも広がっている
大学側の動きも背景にあります。文部科学省の資料によると、IBを活用した入試を実施している大学は、2025年1月時点の大学アンケートで82大学(全学部で実施が39大学、一部の学部で実施が43大学)です。同じ資料には、アンケートに基づく結果なので、すべての情報を網羅しているとは限らないという注記があります(文部科学省「国際バカロレアの大学入試における活用について」)。
記事によると、DP修了生が受けられる国内大学の入試は、大きく2つに分かれます。DP修了生や修了予定の生徒だけを対象にした選抜(IB入試)と、DP生も出願できる総合型選抜・学校推薦型選抜です。対象となる出身校の種類や、課題論文・面接・科目試験の有無は大学や学部によって違い、一概に「IB入試はこういうもの」とは言えないのが現状だそうです。
実際の進学先として多い大学は
では、実際にどんな大学に進んでいるのでしょうか。文部科学省が筑波大学に委託している調査研究では、2024年度のDP修了生の進学先を学校に尋ねています。調査対象41校のうち24校が国内大学の進学先を回答し、報告された件数は189件でした。多かった大学を図2にまとめました(IB教育推進コンソーシアム「令和7年度調査-DP 進学先大学集計結果」)。

189件の内訳は、私立大学が144件、国立大学が29件、公立大学が16件です。学部の分類では、人文・社会系が56.1%、教養・学際系が21.2%、理・工・農系が12.7%、医・歯・薬・獣医系が3.7%でした。この集計は回答した学校から報告された件数で、DP修了生全体の進学割合ではありませんが、文系が中心という傾向は記事の説明とも重なります。
学費と円安という現実
もう一つ、記事で挙げられているのが費用の問題です。海外大学では留学生向けの学費が高めに設定されている国が多く、円安のなかで学費・生活費・ビザの取得といった条件が、進路を決める大きな判断材料になっていると説明されています。
一方で、海外大学と2つの学位を取得できるプログラムを設ける国内大学も増えていて、国内大学に進んでから留学で海外へ、という道もあると紹介されています。国内か海外かの二択ではなくなってきているんですね。
保護者への影響と今できる対応
今回の記事は、これからIB校を検討するご家庭にも、すでにIB校に通っているご家庭にも関係があります。「国内大学にも進めるなら安心」と感じた方もいると思いますが、記事では注意点も語られています。図3に整理しました。

- 履修科目: 記事によると、日本は出願時の科目指定が多い国の一つです。理科は生物・物理・化学をすべて開講する学校もあれば、化学だけの学校もあり、履修していない科目が壁になって志望分野の受験資格を得られないことがあります。
- 学ぶ言語: 英語で学ぶのか、日本語と英語の両方で学ぶのかは、学校によって違います。図1のとおり、国内大学への出願の割合にも差が出ています。
- 入試の方式: IB入試、総合型選抜、学校推薦型選抜のどれに出願できるかを、志望大学ごとに確認します。一条校の生徒だけを対象にする大学もあれば、帰国生入試の対象にDPの資格を持つ人を加えている大学もあるそうです。
- 募集人員: 記事では、多くの大学の募集人員が「若干名」で、実際の合格者が2〜3人程度というケースも少なくないと説明されています。出願先は複数準備しておきたいところです。
- 入学後の日本語: すべての授業を英語で受けてきた場合、大学に入ってから日本語の専門的な文献を読むのが難しいと感じる学生もいるとのことです。
ポイント:記事によると、DPで学んだ生徒が国内大学の一般入試を受けるケースはとても少数です。DPは日本の一般入試を前提にしたカリキュラムではないため、「IBで学びながら一般入試の対策もする」という計画は、負担がかなり大きいと考えておきましょう。
「うちの子はまだ進路が決まっていないのに、科目を先に決めるなんて…」と不安になりますよね。だからこそ、学校説明会では、開講しているDP科目の一覧と、卒業生がどんな方式で国内大学に出願したかを聞いてみてください。文系か理系か、医療系の資格を目指す可能性があるか、といった大まかな方向だけでも親子で話しておくと、科目選びで慌てずにすみます。
入試の条件は大学・学部・年度によって変わります。文部科学省IB教育推進コンソーシアムのページに、IBを活用した入試を実施している大学の情報がまとめられているので、出発点として見ておくとよいでしょう(IB教育推進コンソーシアム「IBを活用した入試」)。最終的には、各大学の最新の募集要項で確認してくださいね。
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まとめ
- 約4割が国内大学に出願: 成績証明書を国内大学に送ったDP修了生の割合は、2020年の約3割から2025年に約4割になったと、国際バカロレア機構の黒川礼子さんが説明しています。
- 日本語DPの広がりが背景: 2026年6月30日時点で国内のDP認定校は80校。一条校ではDP認定校50校、日本語DP実施校37校です。
- 大学の受け入れも拡大: IBを活用した入試を実施する大学は、2025年1月時点の文部科学省の資料で82大学です。
- 注意点は科目と募集人員: 履修科目が受験資格に関わること、募集人員が「若干名」の大学が多いことが、記事で指摘されています。
- 今できること: 学校の開講科目と学ぶ言語、志望大学の入試方式を、募集要項と説明会で確認しましょう。
出典・参考リンク
- 朝日新聞EduA: IB生の4割が国内大学に出願——「海外進学」イメージとは異なる最新トレンドと、知っておきたい進路の現実(2026年10月14日)
- 文部科学省IB教育推進コンソーシアム: IB認定校・候補校(2026年6月30日時点)
- 文部科学省IB教育推進コンソーシアム: 日本におけるIB教育(2026年10月14日確認)
- 文部科学省: 国際バカロレアの大学入試における活用について(2025年1月時点の調査)
- 文部科学省IB教育推進コンソーシアム: 令和7年度調査-DP 進学先大学集計結果(2026年10月14日確認)
- 文部科学省IB教育推進コンソーシアム: IBを活用した入試(2026年10月14日確認)


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