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AIが翻訳してくれて、世界の有名大学の講義もオンラインで見られる時代。「それでも、わざわざ高いお金をかけて子どもを海外に出す意味ってあるのかな」と迷っているご家庭も多いのではないでしょうか。日本で働くなら留学はコスパが悪い、という声を耳にすることもありますよね。
そんな疑問に正面から向き合った対談が、2026年11月4日に教育情報サイト「リセマム」で公開されました。語り手は、海外への留学を支援しているSAPIX YOZEMI GROUP 国際教育事業本部長の髙宮信乃氏です。キーワードは、国や環境の境界を越えて学ぶ「越境」でした。
この記事では、対談の要点を整理したうえで、国の統計や支援制度もあわせて見ながら、「わが家にとって留学の目的は何か」「費用に見合う価値をどう考えるか」を一緒に考えていきますね。
ニュースの概要
リセマムの連載「編集長が今、会いたい人」の第10回として、リセマム編集長の加藤紀子氏と髙宮信乃氏の対談が掲載されました。髙宮氏は幼少期から海外で教育を受けた経験をもとに、小学生から高校生までの留学を支援していると紹介されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 掲載媒体・日付 | リセマム(2026年11月4日公開。Yahoo!ニュースにも配信) |
| 企画 | 連載「編集長が今、会いたい人」第10回 |
| 話し手 | 髙宮信乃氏(SAPIX YOZEMI GROUP 国際教育事業本部長)、聞き手は加藤紀子氏(リセマム編集長) |
| 主なテーマ | AI時代の留学の価値、インターナショナルスクール選び、留学の時期、親の関わり方 |
対談の中心にあるのは、留学の目的が変わってきているという指摘です。髙宮氏は、以前の主な目的は「英語を身に付けること」だったとし、今は英語を身に付けたうえで次のことが大きな目的になっていると話しています。
「誰と一緒に学ぶのか」「どこで何をしたいのか」(リセマム、2026年11月4日の髙宮氏の発言より)
また、「留学はコスパが悪い」という意見は、英語力という観点で捉えた場合の話ではないか、とも述べています。国を超えた友人とのネットワークや、寝食を共にして築く信頼関係は、オンラインやAIでの学びでは得られないもの、というのが髙宮氏の考えです。
ポイント:対談で語られた留学の価値は、英語力そのものより「人とのつながり・信頼関係」と「慣れない環境で育つ力」。AIが進むほど、誰を信用できるか、自分が信頼される関係があるかが大切になる、という見方が示されています。
背景と解説
「当たり前が通じない場所」で育つ力
髙宮氏は、海外のボーディングスクール(寮制の学校)の壁に、居心地の良い「コンフォートゾーン」の外側に「ラーニングゾーン」「チャレンジゾーン」、さらに外側に「パニックゾーン」を描いた図がよく貼られている、と紹介しています。つまり、慣れた環境から一歩出て挑戦しつつ、無理をしすぎないよう生徒自身に意識させているということです。
時間の守り方ひとつ取っても日本の「当たり前」が通じない中で、相手に合わせるのか、自分の考えを伝えるのかを日々考える。そうした経験で、考えを言葉にして伝える力が鍛えられる、と対談では語られています。コミュニケーション力は才能ではなく経験で身に付くスキルだ、という髙宮氏の言葉は、心配性の親としては少しほっとする視点ではないでしょうか。
国も「留学の裾野」を広げようとしている
留学をめぐる国の動きも見ておきましょう。政府の教育未来創造会議は2023年4月27日の第二次提言で、2033年までに日本人学生の海外留学者数を50万人にする目標を掲げました。文部科学省の説明では、この目標には高校生や大学生の短期留学も含まれています。
実際の留学のかたちはどうでしょうか。日本学生支援機構(JASSO)の「2024(令和6)年度 日本人学生留学状況調査」によると、協定等に基づいて留学を始めた日本人学生は57,262人。そのうち1か月未満が34,090人で最も多く、1年以上は1,379人でした。図1にまとめました。

つまり、「留学=何年も海外で暮らす」だけではなく、短い期間から始める選択肢が広く使われているということです。なお、この調査は大学などに在籍する学生の集計で、高校生や小中学生の留学は含まれていない点にご注意ください。
時期は「年齢だけでは決められない」
留学のベストな時期について、髙宮氏は子どもの年齢や性格、目指すものによって違うので一概には言えない、としています。そのうえで、母国語や日本人としてのアイデンティティが育ち、自分で意思決定できる中高生の時期は良いタイミングかもしれない、一方で語学では苦労することもある、と両面を挙げています。中学受験を経てから海外へ、という選択も増えているように感じる、とも話しています。
保護者への影響と今できる対応
では、留学を考え始めたご家庭は何から整理すればよいのでしょう。「費用対効果」を考えるときは、まず何を効果とみなすかを家族で決めることが出発点になります。英語力だけを効果とみるなら、国内の学びやオンラインで代えられる部分もあるかもしれません。一方で、対談が挙げたような人とのつながりや自律の力を重視するなら、測り方そのものが変わってきますよね。

図2の4つのステップ(目的・時期・期間と形態・費用と支援)に沿って、次の点を確認してみてください。最後の「学校選び」は、4つのステップに加えて確かめておきたい項目です。
- 目的:英語力、海外大学への進学、異なる背景の仲間づくり、自律など、わが子が留学で得たいものは何か。親の希望だけでなく本人の気持ちはどうか
- 時期:中高生、大学、大学院のどこで行くのが合うか。日本語での学びとのバランスはどうするか
- 期間・形態:短期のプログラムで試してみるか、長期で行くか。国内の別の地域で学ぶ「越境」から始める道もある
- 費用と支援:学費・寮費・渡航費などの総額を、行き先の学校や機関の最新情報で見積もる。返済不要の奨学金が使えるかを確認する
- (4ステップに加えて)学校選び:髙宮氏は、有名校の名前だけで判断せず、カリキュラムと教員(専門性や勤続の長さなど)を確かめることを勧めている。できれば子どもと一緒に見学を
費用面の支えとして知っておきたいのが、文部科学省と日本学生支援機構による「トビタテ!留学JAPAN」です。2027年度の募集として、高校生等対象の第12期(600名、留学先での活動期間14日以上1年以内)と、大学生等対象の第19期(250名、28日以上1年以内)が案内されています。奨学金は給付型で原則返済不要ですが、留学計画の変更などで返納が必要になる場合もあると説明されています。申請は在籍している学校を通じて行う仕組みです。
国内での「越境」の例として対談で触れられたのが、地方の公立高校へ進学する「地域みらい留学」です。一般財団法人 地域・教育魅力化プラットフォームが運営し、都道府県の枠を越えて高校を選べる国内進学のプログラムとして案内されています。対談では、これを経験すると次は海外に行ってみたいという子が意外と多い、という岩本悠氏(同法人の代表理事)の話も紹介されていました。
注意:今回の対談は留学支援に携わる方の見方を紹介したもので、留学の効果を数字で示した調査ではありません。費用や奨学金の条件は年度・プログラムごとに変わるため、必ず各学校・各制度の最新の公式情報で確認してくださいね。
親の関わり方についても、示唆に富む話がありました。髙宮氏は、親が先回りしすぎず「本人のやる気と学校に任せる」くらい大らかなご家庭のほうが、子どもが主体的に動いている印象があると語っています。離れていても「困っていることはある?」と関心を持ちながら任せる距離感。留学するかどうかに関わらず、日々の子育てにも生かせそうです。
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まとめ
- 目的の変化: 対談では、留学の目的が「英語力」から「誰と学ぶか・どこで何をしたいか」へ移ってきたと語られています
- AI時代の価値: 寝食を共にして築く信頼関係や、慣れない環境で育つ力は、オンラインやAIでは得にくいという見方です
- 費用対効果の考え方: まず家族で「何を効果とみなすか」を決め、時期・期間・形態・総額を順に整理しましょう
- 短期という選択肢: 2024年度のJASSO調査では、協定等に基づく留学の約6割が1か月未満でした
- 支援制度の確認: トビタテ!留学JAPANの2027年度募集など、返済不要の奨学金も早めにチェックを


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