米国MBAへの出願が急減:ビザ厳格化の背景と海外進学を考える家庭の確認点

米国と世界のビジネススクール出願の減少幅を比べた棒グラフ IB最新ニュース

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「将来はアメリカの大学で学んで、いずれはMBAも」。IB(国際バカロレア)で学ぶお子さんがいるご家庭では、そんな将来像を思い描いている方も多いのではないでしょうか。そんななか、「米国MBAへの出願が急減」というニュースが流れてきて、気になった方もいらっしゃると思います。

2026年10月27日、世界のビジネススクールでつくる団体GMAC(Graduate Management Admission Council)が、出願動向の年次調査の結果を発表しました。米国の大学院ビジネス課程への出願は前年より25%減り、ビザをめぐる政策の変化を要因に挙げる学校が多かったとされています。Bloombergはこの調査をもとに、米国のフルタイムMBAへの出願が27%減ったと報じました。

MBAはお子さんにとってまだ先の話かもしれません。それでも、米国のビザや留学生をめぐるルールの変化は、大学進学の段階から関わってくるテーマです。この記事では、発表された数字と背景を整理し、今のうちに確認しておきたいことをお伝えしますね。

ニュースの概要

今回のニュースのもとになったのは、GMACが毎年まとめている「Application Trends Survey(出願動向調査)」の2026年版です。GMACは米国に本部を置く非営利団体で、MBAなどの入試に使われる試験の運営や、ビジネススクールの調査を行っています。

項目 内容
発表主体・発表日 GMAC、2026年10月27日
調査の規模 39か国・314校の1,162プログラムが回答(2026年6〜8月に実施、2026〜2027学年度の出願が対象)
世界全体 大学院ビジネス課程への出願が10%減、うちMBAは13%減
米国 大学院ビジネス課程への出願が25%減
増えた地域 欧州(英国を除く)、東アジア・東南アジア

GMACによると、出願は2年続けて大きく伸びた後、今回は世界全体で減少に転じました。そのなかでも、米国・英国・カナダといった英語圏の主要な留学先で減少が目立ち、これらの国の学校は特に「新しいビザ政策とその運用」を要因に挙げていたとされています。

Bloombergは、米国のフルタイムMBAへの出願が27%減ったと報じています。また報道などによると、米国の大学院ビジネス課程全体では海外からの出願が38%減、米国内からの出願も6%減ったとされています。この海外・国内の内訳はMBAだけの数字ではなく、修士課程なども含めた米国全体の数字とみられます。

結果を図1にまとめました。

米国と世界のビジネススクール出願の減少幅を比べた棒グラフ
図1:ビジネススクールへの出願の減少幅(GMAC発表(2026年10月27日)とBloombergの報道より作成)

ポイント:出願は減りましたが、GMACは「選抜の厳しさ、入学予定者数、入学者の学力水準は前年と変わらなかった」と説明しています。出願が減ったことだけで、MBAの価値が下がったとは判断できません。GMACは、出願者が費用対効果や進学先を慎重に検討していると説明しています。

背景と解説

なぜ米国で出願がここまで減ったのでしょうか。GMACの発表は、ビザ政策のほかに、学費と投資対効果(かけた費用に見合うリターンがあるか)を出願者がこれまで以上に慎重に考えている点を挙げています。米国の出願者にとっては、大学院向けの連邦政府の学生ローンに新たな上限が設けられ、借りにくくなったことも逆風になっているそうです。

米国の留学生ビザをめぐる主な動き

ここ1年余りの米国政府の主な動きを、公表資料で確認できた範囲で図2にまとめました。なお、Bloombergの記事がこれらのうちどれに触れているかは確認できていません。ここでは背景として整理しています。

  • SNS審査の拡大:米国務省は2025年6月、学生ビザ(F・M・J)の申請者についてオンライン上の情報も含めた審査を広げ、SNSのプロフィールを「公開」に設定するよう求めると発表しました。
  • 就労ビザH-1Bの支払い:2025年9月19日に署名された大統領布告で、一定の新規のH-1B(専門職向けの就労ビザ)に10万米ドルの支払いが求められることになりました。米国で学んだあとに現地で働きたい人にとって関わりの深い制度です。
  • 在留期間の固定化:F-1留学生は原則として、所定の履修など在留資格の条件を維持する期間、許可された実務研修期間、出国準備期間などについて滞在を認められる仕組みです。国土安全保障省(DHS)はこれを固定の期間に変える規則案を2025年8月28日に出し、2026年7月17日に最終規則を公表しました。発効日は2026年9月15日とされていました。
米国の留学生ビザをめぐる主な動きの年表
図2:米国の留学生ビザをめぐる主な動き(米国務省・ホワイトハウス・連邦官報の公表資料より作成)

注意:在留期間を固定する規則については、発効の直前に連邦地方裁判所が発効を延期する命令を出したと報じられています。H-1Bの支払いについても、その後の運用は裁判などで変わっている可能性があります。最新の状況は米国政府や米国大使館の公式発表で確認してください。

米国以外では出願が増えている

一方で、欧州(英国を除く)や東アジア・東南アジアのプログラムは出願を伸ばしていて、その多くは海外からの出願に支えられているそうです。また、MBAよりも「ビジネス系の修士課程」のほうが減り幅は小さかったとされています。留学を考える人の目が、米国一択から少しずつ広がっている様子がうかがえますよね。

明るい材料もあります。GMACの発表では、成績などに基づく奨学金(メリット奨学金)を受ける入学者の割合が、世界全体で37%から45%に上がったとされています。北米で回答したプログラムでは、入学者の半数以上がメリット奨学金を提示されたとしています。

保護者への影響と今できる対応

このニュースが直接関わるのは、数年以内にMBAへの出願を考えている社会人の方です。ただ、IBで学び海外大学を目指すお子さんのご家庭にとっても、「米国で学び、そのまま米国で働く」という道筋の環境が変わりつつあることは、知っておいて損はないのではないでしょうか。

特に、大学進学の段階から米国を候補にしている場合、学生ビザの審査や在学中の在留ルールは、MBAより先にお子さん自身が向き合うことになります。進路を考えるときに確認しておきたい点を、図3と次のリストにまとめました。

海外進学を考える家庭の確認ポイント5つ
図3:海外進学を考えるご家庭の確認ポイント(GMAC発表と米国政府の公表資料をもとに作成)
  • ビザの手続き:学生ビザの申請手順や審査の変更点を、米国大使館の最新情報で確認する。SNSの公開設定を求められることも念頭に置いておく
  • 在学中のルール:在留期間の扱いが変わる可能性があるため、志望校の留学生担当部署の案内を確認する
  • 卒業後の進路:米国で働くことまで考えるなら、就労ビザの条件や費用が変わっている点を踏まえておく
  • 費用と奨学金:学費だけでなく、学校独自の奨学金の有無や条件を早めに調べる
  • 比較の視野:欧州やアジアの大学・プログラムも候補に入れて比べてみる

ポイント:ビザのルールは短い期間で変わることがあります。数年先の進学を考えている場合でも、「今の情報」を前提に決め切らず、出願の時期にもう一度確認することが大切です。

「アメリカはもう難しいの?」と心配になるかもしれませんが、GMACは入学者の学力や選抜の水準は保たれていると説明していて、奨学金の割合も上がっています。行き先を一つに絞らず、複数の国を比べながら、お子さんの希望に合う道を一緒に考えていけるといいですね。

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まとめ

  • 出願の減少: GMACの2026年調査(2026年10月27日発表)で、米国の大学院ビジネス課程への出願は25%減。Bloombergは米国のフルタイムMBAへの出願が27%減と報じています
  • ビザの影響: 米国・英国・カナダの学校は、新しいビザ政策とその運用を要因に挙げる傾向が強かったとされています
  • 伸びた地域: 欧州(英国を除く)と東アジア・東南アジアでは出願が増えました
  • 明るい材料: メリット奨学金を受ける入学者の割合は上昇しました(GMACの発表文では37%から45%へ)
  • ご家庭での備え: ビザや在留のルールは変わりやすいので、進学の検討時と出願時に公式情報を確認しましょう

出典・参考リンク

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