日本語・フランス語・英語のトリリンガル子育て、海外で家庭の言葉をどう守る?

日仏の両親とタイのインターに通う息子の家庭内の言語の使い分け IB最新ニュース

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海外で暮らしていると、「子どもの日本語、このままで大丈夫かな」と気になる瞬間ってありますよね。インターナショナルスクールに通い始めたら、あっという間に英語のほうが得意になって、家でも英語まじりの返事が増えてきた。そんなご家庭も多いのではないでしょうか。

小学館の子育てメディアHugKumに、日本人の母とフランス人の父をもち、タイでイギリス式のインターナショナルスクールに通う男の子の家庭の「言葉のリアル」をつづった記事が掲載され、Yahoo!ニュースにも配信されました。

この記事では、その体験談の要点を整理したうえで、海外駐在中のご家庭や帰国を控えたご家庭が「家庭の言葉」を考えるときに使える公的な仕組みを、文部科学省などの公式情報をもとにお話ししますね。

ニュースの概要

記事を書いたのは、タイの海辺の町で暮らすライターの大島彩さんです。HugKumの記事は2026年10月27日に公開され、Yahoo!ニュースには2026年11月2日に配信されました(HugKum「息子は日本語・フランス語・英語、どれで話す?」)。

項目 記事に書かれている内容
掲載 HugKum(2026年10月27日)、Yahoo!ニュースに配信
家族 日本人の母(筆者)、フランス人の父、小学生の息子
家庭の言葉 母は日本語、父はフランス語で息子に話しかけ、夫婦の会話は英語が基本
学校 タイのイギリス式インターナショナルスクール(タイに移って2年)
タイの前 フランス領マルティニークで暮らし、現地の公立保育園に通園

記事によると、息子さんが5歳くらいになるまでは、相手によって使う言葉がほぼ分かれていて、会話の中で言語が混ざることはほとんどなかったそうです。ところがタイの学校に通い始めると、授業も友達との会話も休み時間の遊びも英語になり、数日で一人遊びまで英語に切り替わったといいます。図1に、記事の家庭の言葉の使い分けをまとめました。

日仏の両親とタイのインターに通う息子の家庭内の言語の使い分け
図1:記事の家庭の言語の使い分け(HugKum 2026年10月27日の記事より作成)

今では英語がいちばん得意になり、お母さまと日本語で話すときにも、複雑な説明になるほど英語の単語が混ざるようになったそうです。一方で、タイではフランス語を話す相手がほぼお父さまだけ。夫婦の会話を英語からフランス語に変えることも試したものの、10年以上続いた英語の習慣に戻りがちだと、率直につづられています。

背景と解説

この体験談で印象的なのは、「学校の言葉」が子どもの一番の言葉になっていく速さです。記事の息子さんが通う学校では、学びも友達づきあいも英語だそうで、日本語やもう一つの親の言葉に触れる時間は、どうしても少なくなりがちです。だからこそ、家庭での時間が重要になります。

ポイント:筆者は、息子さんが英語で答えても禁止せず、日本語で言い換えて会話を続けているそうです。つまり「英語を使わせない」のではなく、「日本語で受け止めて返す」ことで、会話そのものを止めない工夫ということです。寝る前の日本語の絵本や、日本人の先生や子どもがいる空手教室も、日本語に触れる大切な場になっていると紹介されています。

こうした悩みは、決してこのご家庭だけのものではありません。文部科学省は、海外に住む日本人の子どもが通う「在外教育施設」として、全日制の日本人学校と、現地校やインターナショナルスクールに通う子が土曜日や放課後などに日本語で一部の教科を学ぶ補習授業校を案内しています。2026年4月15日時点で、日本人学校は91校・約1万5千人、補習授業校は246校・約2万600人が在籍しているとされています(文部科学省「在外教育施設の概要」)。

また、文部科学省の参考資料では、2017年に海外に長期滞在していた義務教育段階の子ども82,571人のうち、現地校・国際学校等のみに在籍する子と不就学の子を合わせて41,354人(約50.1%)でした。ここでは同資料に掲載された2017年の数値を紹介しています。現在の割合を示すものではありませんが、日本語での学校教育を受けない子どもが少なくないことがうかがえます。

タイについては、在タイ日本国大使館のページに、泰日協会学校(バンコク日本人学校)と泰日協会学校シラチャ校(シラチャ日本人学校)、プーケット日本人補習授業校が掲載されています。北部のチェンマイには、在チェンマイ日本国総領事館のページに補習授業校の案内があります。ただし、記事の家庭が暮らすホアヒン近郊では、日本語で遊べる子どもの場が限られていると書かれていて、住む場所によって選べる手段が変わるのが実情です。

保護者への影響と今できる対応

インターナショナルスクールに通わせているご家庭や、これから赴任を控えたご家庭にとって、家庭の言葉をどう守るかは避けて通れないテーマですよね。図2に、日本語を保つために使える公的な仕組みをまとめました。

在外教育施設の数と海外で日本語を保つための公的な支援
図2:在外教育施設の数と主な支援(文部科学省・海外子女教育振興財団・在タイ日本国大使館の公式情報より作成)

まず知っておきたいのが、日本の教科書の無償給与です。海外で暮らす義務教育段階の子どもに日本の教科書を無償で届ける制度で、文部科学省が案内しています。国籍や滞在期間などの細かな対象条件は、海外子女教育振興財団(JOES)や住む地域を管轄する大使館・総領事館に確認してください。出国前はJOESに出国予定日の2か月前から申請でき、海外滞在中は住んでいる地域を管轄する大使館・総領事館で手続きします。教科書は無償ですが、送料などがかかる場合もあります。

JOESでは、2026年度も海外子女のための通信教育を受け付けています。絵本や児童書で日本語に触れる幼児・児童書コース(0〜6歳と小学1・2年生)や、小学3年〜中学3年の理科・社会コースがあり、補習授業校が近くにないご家庭の選択肢になります。

  • 家庭で誰がどの言葉を使うか、夫婦で一度話し合っておく
  • 子どもが英語で答えても否定せず、家庭の言葉で言い換えて返す
  • 寝る前の読み聞かせなど、毎日続けられる日本語の時間を決める
  • 近くの補習授業校や日本語で通える習い事を、大使館・総領事館のページで探す
  • 教科書の無償給与やJOESの通信教育の申込時期を確認する

注意:この記事で紹介した家庭の様子は、筆者ご自身の体験としてつづられたものです。子どもの年齢や性格、学校、住む地域によって言葉の伸び方は大きく違います。帰国後の学校選びや帰国生入試を考えている方は、教科書や通信教育などの制度の条件も、年度ごとに公式ページで確認してくださいね。

記事の筆者も、フランス語をどう保つかは「試行錯誤中」と書いています。完璧な正解を探すより、家族に合ったやり方を少しずつ試していく姿勢が、気持ちを楽にしてくれるのではないでしょうか。

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まとめ

  • 学校の言葉が一番になりやすい: タイのイギリス式インターに通う息子さんは、英語がいちばん得意な言葉になったと記事でつづられています
  • 否定せず言い換える工夫: 英語で返されても日本語で受け止めて会話を続け、絵本や空手教室で日本語に触れる場をつくっています
  • 在外教育施設を知る: 2026年4月15日時点で日本人学校は91校、補習授業校は246校(文部科学省)
  • 公的支援を使う: 教科書の無償給与(出国前はJOES、滞在中は在外公館)やJOESの通信教育が利用できます
  • 家族に合ったやり方で: 言葉の伸び方は家庭ごとに違うので、続けられる習慣から始めるのがおすすめです

出典・参考リンク

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