聖学院大学が外国にルーツを持つ生徒向け「講義方式入試」を新設、入学後の日本語支援も確認

聖学院大学の講義方式入試の当日の流れと配点(講義ノート50点・発表50点・面接100点) IB最新ニュース

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「日常会話は問題ないけれど、大学の授業を日本語で理解できるかしら」。外国にルーツを持つお子さんを育てるご家庭では、高校卒業後の進路を考えるときに、こんな不安を感じることがあるのではないでしょうか。日本の高校で日本人の生徒と同じ授業を受けてきても、入試や大学の講義となると、日本語の壁が急に高く見えることがあります。

そんななか、埼玉県上尾市の聖学院大学が、外国にルーツを持つ生徒を対象にした総合型選抜「講義方式入試」を、2027年度入学者選抜から新しく実施すると発表しました。日本語の講義を聞いてノートを取り、その内容を発表する入試で、合格者は入学後、日本語能力に応じた日本語クラスを受けられます。

この記事では、大学の公式サイトと発表資料で確認できた内容をもとに、入試のしくみ、出願できる人の条件、入学後の日本語の学びを、保護者の目線で整理しますね。

ニュースの概要

聖学院大学(学長:小池茂子)は2026年10月26日、大学のニュースを配信する「大学プレスセンター」で、この新しい入試を発表しました。Infoseekニュースにも同じ見出しの記事が掲載されています。正式な入試名は「総合型選抜 講義方式入試|外国にルーツを持つ生徒対象」です。

項目 内容
発表主体・発表日 聖学院大学(埼玉県上尾市)、2026年10月26日
実施 今年度に行う2027年度入学者選抜から
対象学科 全学科(政治経済学科、国際文化学科、日本文化学科、子ども教育学科、心理福祉学科)
募集人員 この入試だけの定員はなく、総合型選抜全体の募集定員の範囲内で選抜
選考方法 講義と講義ノート作成、発表、面接(調査書・自己カタログに基づく)
出願期間 2026年12月1日(火)〜12月14日(月)
試験日・合否発表 2026年12月19日(土)・12月23日(水)
入学手続 2027年1月5日(火)〜1月19日(火)
検定料 30,000円

試験は「大学の授業」に近い形

当日はまず、全学科共通のテーマで行われる30分の講義(質疑応答5分を含む)を聞きながら、講義ノートを作ります。テーマは事前に知らされませんが、高校生にも身近な社会問題が取り上げられると案内されています。そのあと15分でノートを見直し、ノートをもとに3〜5分で内容を面接官に発表します。最後は、調査書と自己カタログ(大学所定の書類で、志望理由もここに書きます)をもとにした15分の面接です。発表と面接は、受験生1人に面接官2人の個別形式です。

配点は講義ノート50点、発表50点、面接100点です。講義ノートは発表のあとに提出して採点されます。大学の入試ページの「入試に関する質問」では、字のきれいさよりも、講義の内容をしっかり押さえているか、分かりやすく書けているかを評価すると説明されています。当日の流れと配点を図1にまとめました。

聖学院大学の講義方式入試の当日の流れと配点(講義ノート50点・発表50点・面接100点)
図1:講義方式入試の当日の流れと配点(聖学院大学 公式サイトの入試ページより作成)

ポイント:大学は、日本語による講義の理解力と表現力、基礎的な学習能力、学修意欲を総合的に評価するとしています。つまり、「日本語の試験で高得点を取れるか」よりも、「日本語の授業を聞いて理解し、自分の言葉で伝えられるか」を見る入試ということです。

出願できるのはどんな人?

出願資格は、大学の入試ページに細かく書かれています。次の(1)〜(3)をすべて満たし、さらに(4)〜(6)のどれかにあてはまる人が対象です。

  • (1)両親または片方の親が外国籍を持ち、日本に住んでいる
  • (2)外国籍で在留資格が「留学」ではない人(在留期間は「小学校以前の在留期間は除く通算で9年以内」)、または日本国籍を取得して6年以内の人
  • (3)在留資格が家族滞在・永住者・定住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・特別永住者のいずれか、または日本国籍である
  • (4)日本の高校を卒業、または2027年3月31日までに卒業見込み
  • (5)通常の課程による12年の学校教育を修了、または2027年3月31日までに修了見込み
  • (6)学校教育法施行規則第150条により、高校卒業と同等以上の学力があると認められた人(2027年3月31日までの見込みを含む)

(2)は二つの場合に分かれていて、在留期間が通算9年以内という条件がかかるのは外国籍の人です。日本国籍を取得した人は「取得して6年以内」かどうかが条件になります。出願書類には、出入国在留管理庁から開示される「外国人出入国記録の写し」も含まれ、入試ページでは在留期間が通算9年以内であることを証明する書類と説明されています。日本国籍を取得した人もこの書類が必要かどうかは書類一覧からは読み取れないため、大学への確認が安心です。なお、公表されている出願資格には、日本語能力試験(JLPT)などの日本語資格の記載はありません。

背景と解説

日本語指導が必要な子どもは過去最多

大学は新設の背景として、文部科学省の調査を挙げています。2026年5月25日に公表された「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和7年度)」では、2025年5月1日時点で、公立学校に在籍する日本語指導が必要な児童生徒は84,759人と、過去最多になりました。大学のプレスリリースは、9年間で約2倍に増え、埼玉県内にも約5,900人が在籍していると説明しています。

気になるのは進学の数字です。公立学校で日本語指導が必要な高校生等の大学等進学率は41.2%で、全高校生等の75.0%を大きく下回っています(図2)。大学は、日常会話はできても大学で求められる日本語に不安を抱え、進学をためらう生徒も少なくないとしています。

日本語指導が必要な高校生等(公立)の大学等進学率41.2%と全高校生等の75.0%の比較
図2:大学などへの進学率の差(文部科学省 令和7年度調査より作成)

ほかの大学にもある「外国ルーツ」向けの選抜

外国にルーツを持つ生徒を対象にした選抜は、ほかの大学でも見られます。たとえば尚絅大学・尚絅大学短期大学部は令和6年度選抜から「外国にルーツを持つ生徒対象選抜」を実施していて、千葉商科大学には「外国にルーツを持つ生徒対象特別選抜」があります。ただし、条件は大学ごとに違います。千葉商科大学の案内には、日本語能力試験N2レベル以上などのいずれかを満たすという日本語の条件が示されています。聖学院大学は、講義を聞いてノートを取り、発表するという当日の取り組みで日本語の力を見るのが特徴です。

インターナショナルスクールやIB校に通うお子さんは?

このブログの読者には、インターナショナルスクールや国際バカロレア(IB)の学校に通うお子さんのご家庭も多いと思います。文部科学省の「大学入学資格について」のページでは、日本の高校を卒業していなくても大学入学資格が認められる例として、国際バカロレア資格を持つ人が挙げられています。インターナショナルスクールで学ぶ場合は、(4)〜(6)のどれにあたるかを確認することになります。そのうえで、親の国籍や在留資格、在留期間といった(1)〜(3)の条件も、別にすべて満たす必要がある点に気をつけてくださいね。

保護者への影響と今できる対応

出願資格を見ると、(1)〜(3)を満たしたうえで、日本の高校を卒業した人や2027年3月31日までに卒業見込みの生徒(つまり今の高校3年生)が対象です。それに加えて、(5)12年の学校教育を修了(見込み)した人や、(6)高校卒業と同等以上の学力があると認められた人も対象になり得ます。出願は2026年12月1日からなので、準備の時間はそれほど長くありません。出願から入学手続、入学後の日本語クラスまでの流れを図3にまとめました。

2027年度入学者選抜の出願から入学手続までの日程と、入学後の日本語クラスの流れ
図3:出願から入学後の日本語クラスまで(聖学院大学 公式サイトの入試ページ・SESSION前編より作成)

注意:在留期間の条件(通算9年以内)には「小学校以前の在留期間は除く」と書かれています。どの期間が数えられるのか、ご家庭のケースがあてはまるのかは、自己判断せずに大学の入試・広報課へ確認してください。また、(3)の在留資格の一覧に仮放免は入っていませんが、出願書類の案内には「在留資格が仮放免の方は、出願前に志望学科と事前相談が必要」とも書かれています。相談をすれば出願できるのかどうかは公表資料からは読み取れないため、あてはまる場合は早めに大学へ問い合わせてください。

出願前のチェックリスト

  • 出願資格: 親の国籍、本人の在留資格、在留期間や国籍取得からの年数が条件にあうか
  • 書類: 住民票(外国籍の場合)または戸籍謄本・抄本(日本国籍取得後6年以内の場合)、在留カードのコピー、外国人出入国記録の写し、調査書(出願前3か月以内に発行)
  • 自己カタログ: 大学のサイトからダウンロードして事前に記入します。志望理由書の提出はなく、志望理由は自己カタログに書きます
  • 講義ノートの練習: 大学の入試ページで、模擬講義と講義ノート解説の動画が公開されています
  • 学科選び: 募集は総合型選抜全体の定員(政治経済学科20人、国際文化学科15人、日本文化学科20人、子ども教育学科16人、心理福祉学科35人)の範囲内です

入学後の日本語の学び

合格した後の支援も、この入試の大切なポイントです。大学のメディア「SESSION」の座談会記事(2026年10月21日)で、日本語教育担当の教員は、入学時のレベルに合わせた3段階のクラスがあり、3月に学内で行うプレイスメントテストでレベルを確認できると説明しています。科目は「聞く」「話す」「読む」「書く」と、専門の学びにつながるアカデミックな日本語などに分かれていて、外国にルーツを持つ学生は全部を取る必要はなく、必要な科目を選べるそうです。

ポイント:大学は、日本語の授業を「補習」ではなく「専門科目を日本語で学ぶための土台」と位置づけています。レポートの書き方や勉強法を教員に個別に相談できるラーニングセンターや、アドバイザー教員・学生支援課・日本語担当教員の連携による支援も紹介されています。

なお、学費や奨学金については、今回の発表資料では触れられていませんでした。受験を考えるなら、資料請求で届く入試要項やガイドブック、入試・広報課への問い合わせで、入学後の費用と支援制度もあわせて確認しておきましょう。

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まとめ

  • 新しい入試: 聖学院大学が2027年度入学者選抜から、外国にルーツを持つ生徒を対象にした総合型選抜「講義方式入試」を実施します(2026年10月26日発表)
  • 試験の形: 30分の講義を聞いてノートを作り、3〜5分で発表し、面接を受けます。配点は講義ノート50点・発表50点・面接100点です
  • 出願資格: 親の国籍、本人の在留資格、在留期間(通算9年以内)や国籍取得後6年以内などの条件があります。公表された資格に日本語資格の記載はありません
  • 日程: 出願は2026年12月1日〜14日、試験は12月19日、合否発表は12月23日です
  • 入学後: 日本語能力に応じた日本語クラスを受講でき、必要な科目を選んで学べると説明されています

出典・参考リンク

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