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「子どもがアメリカの大学に行ったら、学生だし税金なんて関係ないわよね」――そう考えているご家庭、実は少なくないのではないでしょうか。ところが米国では、学生であっても所得や滞在状況によって税務の手続きが必要になることがあるんです。
2026年9月27日、ゴールドオンラインに国際税理士の奥村眞吾氏による「米国留学『学生だから税金は関係ない』は要注意」という解説記事が掲載され、ニコニコニュースにも配信されました。記事は、学生ビザ(F-1)や交流訪問者ビザ(J-1)の滞在期間ルールの変更と、留学生の税務をあわせて取り上げています。
ただし、ビザのルールについては、元記事の公開前に出された裁判所の命令が元記事の説明に反映されていない点に注意が必要です。この記事では、報道の要点と2026年9月28日時点で公式資料から確認できる事実を分けて、保護者の方が押さえておきたいポイントを整理しますね。
ニュースの概要
元記事によると、米国ではビザで「どれだけ滞在できるか」と、税法上の「居住者・非居住者のどちらに当たるか」は別々に判断されます。F-1などの学生は一定の要件を満たせば、居住者かどうかを判定する滞在日数のカウントから外れますが、それは税金が免除されるという意味ではない、という指摘です。
一方でビザについては、米国土安全保障省(DHS)の最終規則により、F-1・J-1の滞在期間が従来の「D/S」から固定期間に変わり、「9月15日に施行されました」と説明しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 元記事 | ゴールドオンライン(2026年9月27日公開、著者:奥村眞吾氏) |
| 規則を定めた機関 | 米国土安全保障省(DHS) |
| 提案規則の公表 | 2025年8月28日(連邦官報) |
| 最終規則の公表 | 2026年7月17日(連邦官報、当初の施行予定日は2026年9月15日) |
| 現在の状況 | 2026年9月14日の連邦地裁命令で発効が延期。9月28日時点では従来のD/Sが継続 |
表の最後の行が大事なところです。マサチューセッツ地区連邦地裁は2026年9月14日、この最終規則の発効を延期する命令を出しました。原告側の団体であるNAFSA(全米の国際教育関係者の団体)や南カリフォルニア大学の国際学生オフィスは、規則は9月15日に発効せず、D/Sが当面続くと案内しています。経緯は図1にまとめました。

注意:元記事の「9月15日に施行」という説明は、2026年9月28日時点の公式情報とは一致しません。今回の延期は訴訟中の暫定的な措置で、規則そのものが取り消されたわけではないため、今後の裁判の行方によって状況が変わる可能性があります。
背景と解説
「D/S」と「最長4年の固定期間」の違い
これまでF-1・J-1の学生は「D/S(Duration of Status)」という扱いで入国してきました。つまり「何年何月何日まで」という期限ではなく、フルタイムの履修など在留資格の条件を守り、認められた就学や実習などを続けている期間と、所定の出国準備期間は滞在できる、ということです。
2026年7月17日に公表された最終規則は、これを入国記録に終了日を記す固定期間に切り替える内容です。見出しの「4年固定」から、全員が一律4年滞在できると受け取られがちですが、規則上はプログラムの期間に応じて決まり、4年はあくまで上限とされています。期間内に修了できない場合は、米国移民局(USCIS)に延長を申請する仕組みです。また、F-1で課程や認められた実習を終えた後の猶予期間は60日から30日に短くなる内容も含まれています。いずれも「規則が発効した場合」の話である点は押さえておきたいですね。
ビザと税金は別のルール
元記事が強調しているのは、ビザの滞在期間と税法上の居住者判定は別の制度だという点です。米国の内国歳入庁(IRS)は「実質的滞在テスト」という滞在日数の計算で居住者かどうかを判定します。F・Jビザの学生は、要件を満たせば最初の5暦年はこの日数を数えない「exempt individual」になると、IRSの資料に書かれています。
ここでの「exempt」は「税金が免除される」という意味ではありません。つまり、税法上は非居住者として扱われやすいものの、米国内で所得があれば申告が必要になり得る、ということなんです。図2で両者の違いを並べてみました。

留学生に関わる主な税務の手続き
- Form 8843:滞在日数を数えない根拠を示す書類です。IRSの案内では、該当する学生は所得がなくても原則として提出が必要とされています
- Form 1040-NR:非居住者向けの申告書です。米国内で働いた場合などに必要になります。期限は、源泉徴収の対象となる給与があれば翌年4月15日、なければ翌年6月15日が原則です
- 学内アルバイト・OPT:IRSによると、税法上の非居住者であるF-1学生が認められた範囲で働く場合、給与は通常、社会保障税・メディケア税(FICA)の対象外です
- 奨学金:元記事によると、授業料や必要な教材費に充てる部分は非課税となる場合がある一方、生活費に充てる部分は課税所得になる場合があるとされています
さらに日本からの仕送りについては、2003年に署名された現行の日米租税条約の第19条(学生条項)が関係します。日本の居住者であるか、渡米直前に日本の居住者であった学生が、主として教育のため米国に滞在し、生計・教育のため米国外から受け取る給付は、第19条の要件を満たせば米国で免税となります。ただし、米国内のアルバイト代まで免税にする規定ではない点に注意が必要です。
保護者への影響と今できる対応
影響が大きいのは、これから米国の大学・大学院への進学を考えているご家庭と、すでにお子さんが米国で学んでいるご家庭です。IBのディプロマを取って米国の大学を目指す生徒さんも多いので、他人事ではないですよね。
ビザの規則は、発効延期のまま裁判が続いている状態です。仮に発効した場合、すでにD/Sで滞在している学生には移行措置が用意されていますが、実際にいつ、どのように適用されるかは公式発表を待つ必要があります。
ポイント:ビザの最新情報は、SNSや二次情報ではなく、進学先大学の国際学生オフィス(ISSSやOISなどの名称)の案内で確認するのがいちばん確実です。規則の発効日や移行措置が変われば、大学から在学生へ通知が出ます。
税金については、「非居住者だから関係ない」でも「学生だから免除」でもなく、お子さんの状況ごとに確認することが大切です。図3にチェックポイントをまとめました。

- 出願前・渡米前に、進学先のビザ案内ページを親子で一度読んでおく
- 渡米後は毎年、Form 8843の提出が必要かどうかを大学の案内で確認する
- 学内アルバイトやOPTで給与を受け取ったら、申告書の要否と期限を確認する
- 奨学金を受ける場合は、授業料分と生活費分の内訳が分かる書類を保管する
- 日本からの仕送りの記録(送金日・金額・目的)を残しておく
重要:ここで紹介したのは米国の連邦税の一般的な扱いです。州税の扱いは州によって異なり、実際の申告の要否は所得の種類や滞在歴で変わります。判断に迷うときは、大学の案内や国際税務に詳しい専門家に確認してくださいね。
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まとめ
- ビザ規則は発効延期中: F-1・J-1の滞在期間を最長4年の固定期間にする最終規則は、2026年9月14日の連邦地裁命令で発効が延期され、9月28日時点ではD/Sが続いています
- 「4年固定」は上限の話: 規則上はプログラム期間に応じた期間で、4年は上限。超える場合はUSCISへの延長申請が想定されています
- ビザと税金は別: 税法上の居住者判定はIRSの実質的滞在テストで行われ、F・J学生は最初の5暦年は日数を数えないのが原則です
- 「exempt」は免税ではない: 所得がなくてもForm 8843が原則必要で、米国内の給与があればForm 1040-NRの申告が必要になり得ます
- 情報源は大学と公式資料で: 最新の状況は進学先の国際学生オフィスとIRSの案内で確認しましょう
出典・参考リンク
- ゴールドオンライン: 米国留学「学生だから税金は関係ない」は要注意…学生ビザの滞在期間が『4年固定』に、留学生の税務にも影響?【国際税理士が解説】(2026年9月27日)
- Federal Register(米連邦官報): DHS最終規則 Establishing a Fixed Time Period of Admission and an Extension of Stay Procedure for Nonimmigrant Academic Students, Exchange Visitors, and Representatives of Foreign Information Media(2026年7月17日)
- Federal Register(米連邦官報): DHS提案規則(2025年8月28日)
- NAFSA: Duration of Status 規則をめぐる訴訟情報(2026年9月28日確認)
- 南カリフォルニア大学 国際学生オフィス: DHS Final Rule Postponed(2026年9月28日確認)
- IRS: Publication 519, U.S. Tax Guide for Aliens(2026年9月28日確認)
- IRS: Form 8843(2026年9月28日確認)
- IRS: Instructions for Form 1040-NR(2026年9月28日確認)
- IRS: Foreign student liability for Social Security and Medicare taxes(2026年9月28日確認)
- 米財務省: 日米租税条約(2003年11月6日署名)


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