大学生の留学先はアジアへ:統計の4割がアジア、東南アジア必修留学の学部も

日本人学生の地域別留学者数 2023年度と2024年度 IB最新ニュース

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「大学に入ったら留学させてあげたい。でも、アメリカやイギリスは学費も生活費も高くて…」。円安が続くなか、そんなふうに悩んでいるご家庭も多いのではないでしょうか。

朝日新聞Thinkキャンパスが2026年9月21日に公開した記事は、大学生の留学先が北米・ヨーロッパ中心からアジアへと広がっていることを取り上げました。記事の中心は、学生がタイ・マレーシア・インドネシアへ留学する青山学院大学地球社会共生学部の取り組みです。

この記事では、元記事の内容に加えて、日本学生支援機構(JASSO)の最新統計と大学の公式資料で確認できたことをもとに、「アジア留学」の実際と、保護者として押さえておきたいポイントを整理します。

ニュースの概要

朝日新聞Thinkキャンパスの記事(文・鈴木絢子さん)は、欧米の授業料や生活費の高さ、円安の影響もあって、留学先にアジア諸国を選ぶ学生が増え、学びの内容も多様になっていると伝えています。

項目 内容
媒体・公開日 朝日新聞Thinkキャンパス(2026年9月21日)。Yahoo!ニュースにも配信
主な取材先 青山学院大学 地球社会共生学部の堀江正伸教授
紹介された大学 青山学院大学、東洋大学、千葉大学、亜細亜大学
キーワード 留学先を「もう一つのキャンパス」と感じてほしい

記事によると、青山学院大学地球社会共生学部は2015年度に新設された学部で、留学先をタイ、マレーシア、インドネシアに絞っています。学生は入学後に「アジア留学入門」などの科目で準備をし、原則として2年次後期に半年間、学部間協定校へ留学します。協定校にはタイのチュラーロンコーン大学、マレーシアのマラヤ大学、インドネシアのガジャマダ大学などが含まれると紹介されています。

記事ではほかの大学の例も挙げています。

  • 東洋大学 国際学部国際地域学科: 記事では、原則として全学生が在学中に海外研修や留学に参加し、多くの学生が1年次秋に約2カ月の語学実習に参加すると紹介されています。実習先にはマレーシアやフィリピンの大学も含まれるとしています。
  • 千葉大学: 2020年に国立の総合大学として初めて「全員留学」を掲げたと紹介されています。短期プログラムの実施校にはタイやインドネシア、マレーシア、ベトナムなどの大学が多いとしています。
  • 亜細亜大学: 世界18の国・地域の34大学との留学プログラムがあり、アジアではインド、タイ、マレーシア、ベトナム、モンゴルなども選べると紹介されています。

タイトルにある「もう一つのキャンパス」は、堀江教授の言葉から来ています。青山キャンパス、相模原キャンパスに加えて、留学先を第三のキャンパスのように感じてほしいという思いが語られていました。

背景と解説

統計でも「アジア」が最多の留学先に

「アジアへの留学が増えている」というのは、数字でも確かめられます。JASSOが2026年5月29日に公表した「2024(令和6)年度 日本人学生留学状況調査」によると、2024年度中に海外で留学を始めた日本人学生は91,054人で、2023年度の89,179人から増えました。

地域別に見ると、アジアが36,904人で全体の40.5%と最も多く、欧州(20,831人)、北米(19,363人)を大きく上回っています。北米は2023年度の21,138人から減りました。図1にまとめました。

日本人学生の地域別留学者数 2023年度と2024年度
図1:日本人学生の留学先(地域別)。日本学生支援機構「2024(令和6)年度 日本人学生留学状況調査結果」より作成

国別でも、1位はアメリカ合衆国(12,627人)ですが、2023年度より減っています。一方で、タイ(4,789人)、フィリピン(3,697人)、マレーシア(3,064人)といった東南アジアの国がそろって上位10位に入り、いずれも前年度より増えました。

数字を見るときの注意: JASSOの統計は、日本の大学・短大・高専・専修学校に在籍する学生が、その年度に海外で留学を始めた人数を、在籍校が把握している範囲で集計したものです。海外の大学に直接進学した人などは含まれません。また「アジア」には韓国・中国・台湾も含まれるため、「東南アジアが4割」という意味ではありません。

アジア留学の8割以上は1か月未満

もう一つ知っておきたいのが、留学の期間です。同じ調査で、アジアへの留学36,904人のうち30,346人が1か月未満でした。割合にすると約82%(本記事で計算)です。半年以上の留学は2,373人でした。つまり、アジア留学の人数は、1か月未満の短期プログラムが大半を占めているということです(図2)。

アジア留学の期間の内訳と東南アジア3か国の人数
図2:アジア留学の期間内訳と東南アジア3か国の推移。日本学生支援機構「2024(令和6)年度 日本人学生留学状況調査結果」より作成

短期だから意味がない、ということではありません。費用や時間の負担が小さい短期プログラムは、「まず一度海外に出てみる」きっかけとして大切ですよね。ただ、半年以上じっくり現地で学ぶ留学とは中身が違うので、パンフレットの「留学者数」を見るときは期間もあわせて確認したいところです。

国も留学を後押ししています

政府の教育未来創造会議は2023年4月27日の第二次提言で、2033年までに日本人学生の海外留学者を50万人にする目標を掲げました。文部科学省の「トビタテ!留学JAPAN」も、2023年度から2027年度までを第2ステージとして実施しています。大学が「全員留学」や留学必修の学部を打ち出す動きは、こうした流れとも重なっています。

「支援する側」ではなく「共に生きる仲間」として

元記事で印象的なのは、アジア留学を「安いから選ぶ」ものとしては描いていない点です。堀江教授は、円安などのマイナス要因を避けるために学部に来る学生は見受けられないと話し、少子高齢化はタイでも日本以上のスピードで進んでいる例を挙げています。つまり、今の地球規模の課題は日本と他国を一体で考えるもので、東南アジアは日本にとって共に生きる仲間だ、という考え方です。

保護者への影響と今できる対応

お子さんが大学で留学を考えているなら、「どの国に行くか」だけでなく、大学・学部の制度として何が用意されているかを比べることが大切です。留学が卒業要件になっている学部もあれば、希望者が選ぶ形の大学もあります。

「必修」でも条件があることが多い

たとえば青山学院大学地球社会共生学部の公式資料(2026年度以降入学者用、2025年7月時点)では、学部留学は卒業のために原則として必要とされています。ただし、学部間協定校留学に応募するには、応募直前の学期のGPA(成績の平均値)が2.0以上、入学後にIELTS Overall 5.0以上を取得していることなどの条件があります。学部の公式ページも「一定の条件を満たした学生は、全員原則として2年次後期に」留学すると説明しています(図3)。

青山学院大学地球社会共生学部の学部留学の流れと応募条件
図3:青山学院大学 地球社会共生学部の学部留学の流れ。同学部「留学制度についての注意事項(2026年度以降入学者用)」(IELTS・出願時期・応募条件・費用)と同学部公式サイト「学部留学」ページ(留学時期・留学先・アジア留学入門)より作成

同じ資料では、渡航費・海外旅行保険料・ビザ申請費・生活費は学生の負担で、現地の寮費の一部(原則として相部屋の部屋代)は学部が補助するとしています。条件を満たせなかった場合は3年次後期以降の派遣になることや、やむを得ない事情があって学部が認めた場合は国内の代替科目を履修できることも書かれています。「留学必修」と聞くと身構えてしまいますが、こうした仕組みを知っておくと安心ではないでしょうか。

ポイント: 「全員留学」「留学必修」という言葉だけで判断せず、応募条件(成績・英語スコア)、時期、期間、費用の負担範囲、行けなかったときの扱いの5点を、大学の最新の公式資料で確認しておくと安心です。

大学選びの前に確認したいチェックリスト

  • 留学の位置づけ: 卒業要件なのか、希望者が選ぶのか
  • 期間: 数週間の短期研修か、半年・1年の長期か
  • 留学先: 協定校の国・地域と、授業で使う言語
  • 応募条件: 成績や英語スコアの基準と、取得の期限
  • 費用: 授業料の扱い、渡航費・寮費・保険の負担、奨学金の有無
  • 安全面: 危機管理の体制や、中止になったときの扱い

また、青山学院大学の例のように、アジアへの留学でも英語スコアが応募条件になっている場合があります。高校生のうちから英語の資格試験に触れておくと、入学後の準備がぐっと楽になります。現地の言葉にも挑戦する気持ちがあれば、学びはさらに広がりそうですね。

ご注意: 留学制度の条件や協定校は毎年のように見直されます。この記事の内容は2026年9月30日時点で確認できた情報です。受験を考える大学については、必ず最新の募集要項や学部の公式ページで確かめてください。

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まとめ

  • 留学先は多様化: 朝日新聞Thinkキャンパスは、欧米の費用高や円安を背景に、アジアを選ぶ大学生が増えていると伝えました
  • 統計でもアジアが最多: JASSOの2024年度調査で、アジアへの留学は36,904人、全体の40.5%でした
  • 中身は短期が中心: アジア留学のうち30,346人は1か月未満で、期間の確認が欠かせません
  • 必修留学にも条件: 青山学院大学地球社会共生学部では、GPAやIELTSなどの応募条件と費用負担のルールが定められています
  • 制度で比べる: 国名だけでなく、位置づけ・期間・条件・費用・安全面で大学を比べましょう

出典・参考リンク

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