ロンドン・パリより「ソウル・リスボン」?欧米の学生に広がる留学先の変化と、進学先選びで見ておきたいこと

ロンドン・パリ・ソウル・リスボンの学生の月額住居費を比べた横棒グラフ IB最新ニュース

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「海外の大学に行かせたいけれど、ロンドンやパリは家賃も物価も高くて……」と、費用の面で迷っているご家庭は多いのではないでしょうか。費用も暮らしやすさも気になるなかで、留学先をどこにするかは本当に悩ましいテーマですよね。

そんななか、2026年9月に、欧米の学生のあいだで留学先の選び方が変わりつつある、というニュースが伝えられました。英紙Financial Times(FT)の報道として、ロンドンやパリ、ニューヨークといった定番の都市ではなく、ソウルやリスボン、プラハを選ぶ学生が目立ってきたという内容です。日本語では風傳媒(2026年9月22日)が「欧米学生の留学先に異変 高騰するロンドン・パリを離れ、ソウルやリスボンが台頭」と報じています。

この記事では、このニュースの中身と、背景にある学生向け都市ランキングや日本人学生の留学の動き、そして進学先を考えるご家庭が今できることを、確認できた情報をもとに整理してお話ししますね。

ニュースの概要

今回の話題のもとになっているのは、FTの記事です。掲載日については、韓国経済新聞(2026年9月20日)がFTが2026年9月18日に報じたと伝えていますが、伝える媒体によって日付の書き方に違いがあり、FT原文の掲載日は確認できていません。韓国の英字紙Seoul Economic Daily(2026年9月21日)やThe Korea Times(2026年9月22日)も、その内容を紹介しています。なお、FTの原文と風傳媒の記事本文は、この記事の執筆時点では直接確認できていません。以下は、韓国メディアが伝えた内容にもとづいています。

項目 報じられた内容
もとの報道 英紙Financial Times(韓国経済新聞はFTが2026年9月18日に報じたと伝えています。FT原文の掲載日は未確認)
日本語での報道 風傳媒(2026年9月22日)
新たに注目される都市 ソウル、リスボン、プラハ
従来の定番都市 ロンドン、パリ、ニューヨーク
ソウルが選ばれる理由 K-POPなどの文化の広がり、都市の活気、比較的手ごろな住居費
韓国の留学生数 3年間で69%増え、約30万7,500人(The Korea Timesの報道)

報道によると、ソウルの住居費はワンルームで月約90万ウォン、下宿(ハスク)で月約60万ウォンとされています。一方、パリの学生向けの家賃は月720ユーロ、ロンドンは月1,140ユーロと紹介されました。リスボンは学生の平均家賃が月530ユーロで、西ヨーロッパの主要都市より安く、英語も広く通じると伝えられています。

ロンドン・パリ・ソウル・リスボンの学生の月額住居費を比べた横棒グラフ
図1:学生の月額住居費の比較。韓国メディアが紹介したFinancial Times報道の数値で、物件の種類や調査方法は都市ごとに異なります(Seoul Economic Daily、The Korea Timesの報道より作成)

図1にまとめましたが、ここで気をつけたいのは、この数字は物件の種類や調べ方がそろっていないという点です。たとえばパリについては、別の韓国メディアが、住宅サイトHousingAnywhereの資料としてワンルームの中央値を月1,300ユーロと伝えていて、数字に大きな幅があります。「ソウルならロンドンの半分ほどで暮らせる」と言い切れるものではなく、あくまで傾向を示す目安として受け止めるのがよさそうです。

また、Seoul Economic Dailyによると、NAFSA(全米の国際教育者の団体)のファンタ・アウCEOはFTに対して、これまでソウルに来る米国の学生はアジア系の2世・3世が多かったものの、今は韓国と縁のない学生も増えている、という趣旨の話をしたと報じられています。

背景と解説

学生向け都市ランキングでソウルが2年連続の1位

留学先の都市環境を比較する参考資料として、英国の教育調査会社QSが毎年発表している「QS Best Student Cities(学生にとって住みやすい都市ランキング)」も見てみましょう。なお、これは留学先の変更や欧米学生の流入増を直接示す統計ではありません。2026年7月21日に公表された2027年版では、ソウルが1位、東京が2位、ロンドンが3位でした。ソウルは前年の2026年版で初めて1位になり、今回で2年連続です。パリは7位でした。

QS Best Student Cities 2027の上位10都市の一覧
図2:QS Best Student Cities 2027の上位10都市。ソウルが1位、東京が2位です(QS「QS Best Student Cities 2027」2026年7月21日公表より作成)

QSの評価は「大学ランキング」「学生の多様性」「都市の魅力」「雇用主の評価」「費用の手ごろさ」「学生の声」の6つの分野で行われます。つまり、大学の研究力だけでなく、生活費や暮らしやすさも含めて都市を比べているということです。2012年に始まったこのランキングで、パリは2016年版まで4回連続で首位だったと韓国経済新聞は伝えています。同紙はこれにふれ、パリの家賃の上昇とソウルの台頭を対比しています。

図2のとおり、東京も2位に入っています。日本の都市では京都が16位、大阪が60位でした。私たちが暮らす日本の都市も、海外の学生からは「学びやすい街」として見られているんですね。

「どこの大学か」だけでなく「どんな暮らしか」で選ぶ時代に

韓国メディアが紹介したFTの見立てでは、学生が留学先を選ぶときに、大学の評判や卒業後の仕事だけでなく、生活費や文化、都市の雰囲気といった暮らし全体の質を重視するようになっているとされています。地図アプリや翻訳アプリなどのデジタルツールが進んで、言葉に自信がない国でも暮らしやすくなったことも、背景の一つとして挙げられているそうです。

日本人学生の留学先でも、韓国は3番目に多い

日本の学生の動きも見てみましょう。日本学生支援機構(JASSO)が2026年5月に公表した「2024(令和6)年度日本人学生留学状況調査結果」によると、2024年度に海外留学を始めた学生は91,054人でした。このうち、大学どうしの協定などにもとづく留学が57,262人、協定などによらない留学が33,792人です。

2024年度に留学を開始した日本人学生の留学先上位5か国の横棒グラフ
図3:2024年度に留学を開始した日本人学生の主な留学先。韓国は3位です(JASSO「2024(令和6)年度日本人学生留学状況調査結果」より作成)

留学先の上位は、アメリカ12,627人、オーストラリア9,329人、韓国8,360人、カナダ6,736人、英国5,381人の順でした(図3)。韓国は英語圏の国々に並んで3位に入っていて、日本の学生にとっても身近な留学先になっていることがわかります。

数字を見るときの注意:JASSOの数字は、日本の大学などが把握している「その年度に留学を始めた学生」の人数です。期間の短い留学も含まれ、海外の大学に正規に入学して学位を目指す人の数とは違います。また、韓国の留学生数「約30万7,500人」は世界中から韓国に来ている留学生全体の報道値で、日本人の人数ではありません。

保護者への影響と今できる対応

このニュースは、海外大学への進学や交換留学を考えているご家庭、とくにIBのディプロマ・プログラム(DP)で学んでいて海外大学も視野に入れているご家庭にとって、選択肢を広げるヒントになるのではないでしょうか。

ポイント:留学の費用は「学費」と「生活費」の大きく2つです。今回のニュースは主に住居費(生活費)の話で、大学の学費の比較ではありません。学費は国や大学、留学生かどうかで大きく変わるので、志望校ごとに公式サイトで確かめる必要があります。

「英語で学べるか」は大学・専攻ごとに確認を

ソウルやリスボンを考えるときに気になるのが「授業は英語?それとも現地の言葉?」という点ですよね。韓国政府が運営する留学情報サイトStudy in Koreaでは、英語で開講される課程で大学を絞り込めるようになっています。リスボン大学(Universidade de Lisboa)も、英語ですべて学べるプログラムがあると案内しています。ただし、英語で学べる範囲は大学や専攻によって異なり、年度によって変わることもあります。必ず最新の募集要項で確認しましょう。

進学先を検討するときのチェックリスト

  • 授業の言語: 英語だけで卒業まで学べるか。現地語の授業が必修になる学年はないか
  • 学費と生活費の合計: 学費、住居費、食費、保険、渡航費を年単位で見積もる。為替の変動も考えておく
  • 住まいの選択肢: 大学の寮があるか、入寮の条件や期間はどうか
  • 出願に必要なもの: IBのDPの成績や英語の試験のスコアをどう扱うかは大学ごとに違うため、出願要件で確認する
  • 卒業後の進路: 現地での就職、日本への帰国就職、大学院進学など、どの道を考えているか
  • 安全と生活のサポート: 留学生向けの相談窓口や日本人コミュニティがあるか

注意したいこと:ランキングや報道の家賃は「平均」や「目安」です。人気が高まると家賃や寮の競争が厳しくなることもありえます。費用を見積もるときは、報道の数字をそのまま使わず、大学や現地の最新情報で確かめるのが安心です。

海外駐在中のご家庭なら、今いる国の大学や、近くの国の大学も選択肢になりますよね。英語圏だけにこだわらず、アジアやヨーロッパの英語で学べる課程も比べてみると、お子さまに合う進学先が見つかるかもしれません。まずは親子で「何を学びたいか」「どんな街で暮らしたいか」を話し合うところから始めてみてはいかがでしょうか。

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まとめ

  • 留学先の変化: FTの報道として、欧米の学生がロンドン・パリなどからソウル・リスボン・プラハへ目を向けていると伝えられています
  • 理由は費用と暮らしやすさ: 住居費の手ごろさや文化、都市の魅力が挙げられています。ただし家賃の数字は条件がそろっておらず目安です
  • ランキングでもソウルが1位: QS Best Student Cities 2027ではソウルが2年連続1位、東京は2位でした
  • 日本人の留学先でも韓国は3位: JASSOの2024年度調査で、留学を始めた学生は韓国が8,360人でした
  • 確認は大学ごとに: 授業の言語、学費、寮、出願要件は、志望校の最新の公式情報で確かめましょう

出典・参考リンク

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