デジタル教科書が正式な教科書に:2030年度からの導入見込みを前に家庭で確かめたい学び方と端末環境

デジタル教科書の正式化までの流れと使用開始の見込み IB最新ニュース

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「教科書がタブレットになったら、うちの子はちゃんと考えて勉強できるのかしら」。デジタル教科書のニュースを見て、そんなふうに感じた保護者の方も多いのではないでしょうか。目や姿勢のこと、家のWi-Fiのこと、紙に書く力のこと。気になる点はご家庭ごとにいろいろありますよね。

2026年6月10日、デジタル教科書を紙と同じ「正式な教科書」として扱えるようにする改正学校教育法等が国会で成立しました。法律の施行は原則2027年4月1日ですが、教室で新しい教科書を使い始めるのは、小学校で2030年度からと見込まれています。

Yahoo!ニュース エキスパートの記事は、「紙かデジタルか」よりも「子どもが考え続けられる教室をどうつくるか」が大切だと問いかけています。この記事では、文部科学省と国会の資料で確認できたことを中心に、家庭で今から確かめておきたい学び方と端末環境を整理しますね。

ニュースの概要

話題になっているのは、Yahoo!ニュース エキスパートに載った、教育・子育て・学校分野のエキスパート、ナナホシさんの記事です。Google ニュースのRSS上では2026年10月5日付となっています(検索結果には2026年6月11日の表示もありますが、二つの日付の関係は確認できていません)。小・中・高校で20年以上教員を務めた経験があると紹介されています。法律の成立を受けて、紙とデジタルの良さを子どもの発達段階や学習場面に合わせて組み合わせることが大事だと書いています。

制度の中身は、文部科学省と国会の資料で確かめられます。主な日付を表にまとめました。

日付 できごと
2025年9月24日 中央教育審議会のデジタル教科書推進ワーキンググループが審議まとめを公表
2026年4月7日 「学校教育法等の一部を改正する法律案」を閣議決定
2026年6月10日 国会で成立(6月17日公布)
2027年4月1日 改正法の原則の施行日
2030〜2032年度(見込み) 新しい教科書の使用開始(小学校2030年度、中学校2031年度、高校2032年度から)

改正法では、これまで紙に限られていた教科書の位置づけを改め、デジタルの形も含めて「教科書」とします。デジタルの部分も、国の検定、教育委員会などによる採択、義務教育での無償給与の対象になります。つまり、デジタル教科書が「紙の教科書の補助」ではなく、教科書そのものとして扱えるようになるということです。

デジタル教科書の正式化までの流れと使用開始の見込み
図1:審議まとめから法律の成立・施行、新しい教科書を使い始める時期の見込みまで(文部科学省の公布通知・よくある質問・検討会議の開催状況より作成)

ここに注意:2030〜2032年度という開始時期は、次の学習指導要領が予定どおり改訂された場合の文部科学省の見込みです。確定した日程ではありません。また、学年や教科ごとの使い方を示す国の指針は検討会議で議論が続いていて、2026年10月6日の時点では、文部科学省のサイト上で最終版の公表を確認できていません。

背景と解説

教科書は「紙のみ」「ハイブリッド」「デジタルのみ」の3つに

文部科学省の説明では、新しい教科書の形は「紙のみ」「紙とデジタルの組み合わせ(ハイブリッド)」「デジタルのみ」の3つです。ハイブリッドとは、同じ内容の紙版とデジタル版を両方配るという意味ではありません。紙の部分とデジタルの部分を合わせて、1冊の教科書にするということです。デジタルの部分には動画や音声も入れられ、それも検定の対象になります。

どの形を使うかは、教育委員会などの採択権者が国の指針を踏まえて選びます。図2にまとめました。

新しい教科書の3つの形態と採択の仕組み
図2:紙のみ・ハイブリッド・デジタルのみの3形態と、文部科学大臣の現時点での考え(文部科学省資料、衆議院会議録、大臣記者会見録より作成)

「小学4年生以下は全部デジタルにしない」という考え

松本洋平文部科学大臣は、2026年4月24日の衆議院文部科学委員会で、小学4年生以下では「全てがデジタル」の教科書は認めるのが適当ではない、という考えを示しました。4月28日の記者会見では、国語・道徳は文脈を理解しながら読み書きする学習、社会は文章と資料を合わせて見る学習が多いので、これらの教科も「全てがデジタル」はふさわしくないと説明しています。

ただし、これは指針がまとまる前の「現時点での考え」です。法律で決まった禁止のルールではありません。また、ハイブリッドの教科書まで認めないという意味でもありません。正式な扱いは、今後公表される指針を待つ必要があります。

今の教室ではどこまで使われている?

今の「学習者用デジタル教科書」は、紙の教科書と一緒に使うことが前提です。国は2024年度から、全国の小中学校などに小学5年〜中学3年の英語のデジタル教科書を提供しています。2025年度は英語に加えて、一部の学校に算数・数学も提供されています。お子さんの学校でどの教科を使っているかは、学校に聞いてみるのが確実です。

2025年9月24日の審議まとめは、紙かデジタルかの二者択一ではなく、紙・デジタル・実際の体験を授業の中で組み合わせる考え方を示しました。紙には全体を見渡しやすいという良さがあり、手で書く活動や体験も大切だとしています。ナナホシさんの記事が「紙かデジタルかより、子どもが考え続ける教室を」と書いているのも、同じ方向の問いかけだといえそうです。

保護者への影響と今できる対応

お子さんは何年生で新しい教科書に出会う?

今年度(2026年度)の学年から、2030〜2032年度に何年生になるかを計算しました。年度は4月始まりで数えています。どの学年・教科から新しい教科書を使うかは指針と採択で決まるので、あくまで目安として見てくださいね。

2026年度の学年 2030年度(小学校で開始見込み) 2031年度(中学校で開始見込み) 2032年度(高校で開始見込み)
年長 小学4年 小学5年 小学6年
小学1年 小学5年 小学6年 中学1年
小学3年 中学1年 中学2年 中学3年
小学5年 中学3年 高校1年 高校2年
中学1年 高校2年 高校3年 高校卒業後

なお、文部科学省の通知では、高校は2032年度の1年生から学年ごとに順に導入する(学年進行)見込みとされています。小学校・中学校で全学年が一斉に切り替わるのかなど、学年ごとの導入のしかたは今後の指針などで確かめる必要があります。今、小学校低学年〜中学年のお子さんがいるご家庭なら、在学中に新しい形の教科書に出会う可能性があります。とはいえ、慌てて何かを買いそろえる必要はありません。まずは今の学校生活の中で、学び方と家庭の環境を少しずつ見直していくのがよいのではないでしょうか。

家庭で確かめたい5つのこと

家庭で確かめておきたいことを図3にまとめました。

導入前に家庭で確かめたい5つのチェックリスト
図3:家庭で確かめたい5つのこと(文部科学省の2022年3月3日の方針、WG審議まとめ、衆参の附帯決議をもとに本記事で整理)
  • 学び方:宿題のとき、紙に書いて考える時間と、端末で調べたり音声を聞いたりする時間の両方があるか見てみましょう。答えを出すまでの途中の考えが、ノートなどに残っているかもポイントです。
  • 端末の持ち帰り:文部科学省は2022年3月3日の方針で、ふだんから端末を家に持ち帰って家庭学習に使うことは有効だとしています。学校のルールや、充電・故障のときの連絡先を確かめておくと安心です。
  • 通信環境:同じ方針は、通信環境がない家庭にはモバイルWi-Fiルーターの貸し出しなどの支援策を講じることを求めています。家にWi-Fiがない、または不安定な場合は、学校や自治体に相談してみてください。
  • 健康のルール:審議まとめは、紙でもデジタルでも、近い距離で長い時間見続けないようにすることを学校や保護者に知らせるよう求めています。画面との距離や休憩のとり方、寝る前の使い方を家族で話し合っておきましょう。
  • 学校への確認:今どの教科でデジタル教科書を使っているか、家で使える機能(読み上げなど)は何かを、個人面談や学校だよりで確かめておくと、家庭での声かけがしやすくなります。

ポイント:衆議院と参議院の委員会では、法律の成立にあわせて附帯決議が出されました。高校生等奨学給付金による端末購入支援や、家庭の通信環境の整備支援の拡充を求めています。あわせて、学校のICT環境の地域差の是正、視力など健康面の留意点の周知も盛り込まれています。参議院の決議は、睡眠や依存への配慮、端末の利用時間の管理にも触れています。利用できる支援と対象条件は、自治体や学校に確認してみてくださいね。

ナナホシさんの記事は、端末のトラブルで先生が授業よりトラブル対応に追われてしまうおそれや、デジタル化で試行錯誤の跡が残りにくくなる心配にも触れています。これは筆者の見方ですが、家庭でも「途中の考えを残す」「わからないときに粘る」経験を大切にしたいですね。一方で記事は、音声の読み上げなどの機能が、障害のある子どもの学びを支える良い面にも触れています。お子さんに合った使い方を学校と一緒に考えていけると安心です。

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まとめ

  • 法律は成立済み:2026年6月10日に成立し、施行は原則2027年4月1日です。デジタル教科書も正式な「教科書」として扱えるようになります。
  • 教室での使用は2030年度からの見込み:小学校2030年度、中学校2031年度、高校2032年度からと見込まれていますが、確定ではありません。
  • 形は3つ、選ぶのは教育委員会など:紙のみ・ハイブリッド・デジタルのみから、国の指針を踏まえて選ばれます。指針は検討中です。
  • 低学年は全部デジタルにしない考え:文部科学大臣は、小学4年生以下と国語・社会・道徳では「全てがデジタル」はふさわしくないとの考えを示しています。
  • 家庭でできること:紙とデジタルの使い分け、端末の持ち帰りのルール、通信環境、健康のルールを今のうちに確かめておきましょう。

出典・参考リンク

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