探究の学びでICTやAIはどう使う?教育工学の全国大会を前にJAET会長が語る現在地

探究のプロセス4段階と1人1台端末の使い方の例 IB最新ニュース

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お子さんの学校で「探究の時間にタブレットを使っている」と聞いて、実際にはどんなふうに使っているのかしら、生成AIも使っているの?と気になっている方も多いのではないでしょうか。

教育家庭新聞は2026年10月26日、10月30日・31日に高知県香美市で開かれる「第52回全日本教育工学研究協議会全国大会」を前に、主催する日本教育工学協会(JAET)の会長・高橋純教授(東京学芸大学)へのインタビューを掲載しました。高橋氏は、学校によってAIの使い方が「混在」している現状や、AI時代に大切にしたい学びについて語っています。

この記事では、インタビューの要点と、文部科学省が示す「探究のプロセス」での端末の使い方を整理し、学校に確かめておきたいポイントをお話ししますね。

ニュースの概要

記事は大会の開催前に掲載されたインタビューです。大会公式サイトの案内は次のとおりです。

項目 内容
大会名称 第52回全日本教育工学研究協議会全国大会 高知・香美市大会
会期 2026年10月30日(金)〜31日(土)
会場 高知工科大学 香美キャンパス(公開授業は香美市立の小中学校)
大会テーマ 教育DXで進化する探究の学び 〜地域とともに創る 未来の学校〜
主催・共催・後援 主催:一般社団法人日本教育工学協会(JAET)/共催:高知県教育イノベーションラボ、香美市教育委員会、一般社団法人日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)/後援:文部科学省、高知県教育委員会ほか

公開授業校は香美市立の小中学校(大宮小学校・香北中学校など)です。教育家庭新聞によると、全体会や研究発表は当日申込にも対応し、高知県内の教育関係者や学生は無料で参加できるとのことです。また、次年度の第53回大会は神奈川県相模原市で開催される予定と紹介されています。

インタビューで高橋氏が挙げた主なポイントは、次のとおりです。

  • 発表の数:論文・事例発表は108件で、過去10年連続で100件を超える規模。AI活用や情報活用能力に関する発表が増えている
  • AIの使い方の「混在」:「児童生徒が使う」「教員のみが校務で、もしくは授業と校務で使う」「慎重に判断」など、学校によって大きく異なり、その状態を現場の肌感覚で確かめられるのが大会の価値
  • 香美市のIB:「公立小中学校で初のIB(国際バカロレア)認定を取得した香美市の取組」が大会の注目点
  • 学校情報化認定:JAETの学校情報化認定は、のべ4500件規模(再認定を含む)。次年度に向けてチェックリストの内容も更新予定

高橋氏はAI時代の学びについて、「AIが進化しても、学びの構造そのものは変わりません。だからこそ、教育は‘人が人として育つこと’を中心に据え続ける必要があります」と語っています。

背景と解説

「探究のプロセス」と1人1台端末

まず「探究」という言葉から整理しますね。小学校・中学校では「総合的な学習の時間」、高校では「総合的な探究の時間」として、教科の枠をこえて自分で問いを立て、調べ、考えを深める学びが位置づけられています。文部科学省のページでは、高校では2022年度(令和4年度)の入学者から「総合的な探究の時間」が始まったと紹介されています。

探究は「課題の設定」「情報の収集」「整理・分析」「まとめ・表現」というプロセスで進み、振り返ってまた次の探究に入っていく、らせんのような流れとして説明されています。つまり、一度調べて発表したら終わり、ではなく、行ったり戻ったりしながら考えを深めていくということです。

文部科学省の「StuDX Style」に2023年2月27日に掲載された有識者インタビュー(東京学芸大学の登本洋子准教授、掲載当時)では、それぞれの段階で1人1台端末をどう使えるかが紹介されています。図1にまとめました。

探究のプロセス4段階と1人1台端末の使い方の例
図1:探究のプロセスと端末の使い方の例。文部科学省StuDX Style(2023年2月27日掲載)より作成

インタビューでは、端末を使う場面を先生が限定しないことが大切だとしつつ、「インターネットで調べれば全てわかる」と思ってしまう子もいるため、本や新聞なども含めて情報を見極める力を育てる必要がある、とも説明されています。端末は便利な道具ですが、使い方を身につけること自体が学びの一部なんですね。

文部科学省のGIGAスクール構想について、同省の資料では、公立の義務教育段階で、ほぼすべての自治体等が2021年度(令和3年度)末までに1人1台端末の整備を完了する見込みとされていました。2024〜2028年度(令和6〜10年度)は「GIGA第2期」として、端末の計画的な更新が進められています。

生成AIと学校のルール

生成AIについては、文部科学省が2024年12月26日に「初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン(Ver.2.0)」を公表しています。ただ、実際にどこまで使うかは学校ごとの判断で、高橋氏が「混在」と表現したのは、まさにこの状況のことです。

高橋氏は、教育が重視してきた「測定しやすいもの」は生成AIが得意とする領域と重なると指摘し、概念的な理解や個性、人格形成といったAIが代わりにできない学びにこそ価値があると述べています。

次の学習指導要領に向けた議論も進んでいます。中央教育審議会の教育課程企画特別部会は2025年9月25日に「論点整理」をまとめ、2026年10月5日には「次期学習指導要領等に向けた審議まとめ」が文部科学省のサイトに掲載されました。新しい学習指導要領の具体的な中身は、今後の告示を待つ段階です。

香美市の公立校とIB

今回の大会の開催地・香美市は、公立の小中学校がIBの認定を受けていることで知られています。香美市の資料によると、香美市立大宮小学校は2021年1月にIBの初等教育プログラム(PYP)の認定を受け、日本の公立小学校として初めての例とされています。また、香美市立香北中学校は2022年12月に中等教育プログラム(MYP)の認定を受け、文部科学省のIB教育推進コンソーシアムの資料では「学区制の公立中学校として全国で初めて」と紹介されています。

高橋氏は、教員の異動がある公立校で、IBの考え方を地域にどう根付かせているかを学べる貴重な機会だと話しています。両校とも、今回の大会の公開授業校です。

香美市のIB認定から第52回大会までの流れと、JAET学校情報化認定の3区分
図2:香美市のIB認定と大会の流れ、学校情報化認定の3区分。香美市資料、IB教育推進コンソーシアム資料、JAET・大会公式サイト、教育家庭新聞(2026年10月26日)より作成

JAETの「学校情報化認定」とは

インタビューで話題になった「学校情報化認定」は、JAETが2014年度から取り組んでいる制度です。学校が診断システムで情報化の状況を自己評価し、「情報化の推進体制」を整えたうえで「教科指導におけるICT活用」「情報教育」「校務の情報化」に積極的に取り組む学校を「学校情報化優良校」として認定します。JAETの公式サイトによると、2026年3月末の段階で優良校は4,309校、特に優れた学校として表彰される先進校は51校、優良校が一定の割合に達した先進地域は53地域です(図2)。インタビューの「のべ4500件規模」は再認定を含む数として説明されています。

2026年度の先進校には、相模原市立中野中学校と阿蘇郡高森町立高森中央小学校(教科指導におけるICT活用)、瀬戸SOLAN学園初等中等部(情報教育)、春日井市立高森台中学校(校務の情報化)の4校が選ばれ、今回の大会で表彰されます。

ポイント:探究の学びでは、調べる・整理する・まとめる・共有するという各段階で端末が使われます。大切なのは「端末を使っているか」より、「何のために、どの段階で、どう使っているか」です。

保護者への影響と今できる対応

今回のニュースは、すぐに入試や学校選びの条件が変わる話ではありません。ただ、探究学習に力を入れている学校や、IB校を考えているご家庭にとっては、「ICTやAIの使い方は学校によってかなり違う」という点を知っておくだけでも、学校説明会や面談での聞き方が変わってくるのではないでしょうか。

図3に、学校によって異なるAIの使い方と、わが子の学校で確かめたいことをまとめました。

学校によって異なるAIの使い方3パターンと、保護者が確かめたい5つのこと
図3:学校ごとのAIの使い方と確かめたい5つのこと。教育家庭新聞(2026年10月26日)と文部科学省StuDX Styleをもとに本記事で整理
  • 端末を使う場面:探究のどの段階で、どんなソフトやクラウドを使っているか
  • 生成AIの扱い:子どもが使うのか、先生だけが使うのか、まだ慎重に判断している段階なのか。学校としての方針があるかどうか
  • 情報の確かめ方:インターネットだけでなく、本や新聞なども使って情報を見極める指導があるか
  • 家での使い方:端末を持ち帰って探究の続きをするときの約束(使う時間・場所、クラウドへの保存など)
  • 学校の情報化の取り組み:学校のサイトやお便りで、ICT活用の方針や、学校情報化認定などの取り組みを発信しているか

家庭では、お子さんに「今、探究で何を調べているの?」「その情報はどこで見つけたの?」と声をかけてみるのがいちばん手軽です。説明してもらうと、情報を見極める力や伝える力の育ち具合が見えてきますよ。

注意:学校情報化認定は、学校が診断システムで自己評価した内容をもとにした認定制度です。認定の有無だけで学校のよしあしを判断せず、授業の様子や学校の方針とあわせて見ていきましょう。

探究の時間の進め方は、IB校に限らず学校ごとの個性が出るところです。気になる学校があれば、説明会で「探究の時間に端末をどう使っていますか?」と聞いてみてくださいね。

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まとめ

  • 大会の概要:第52回全日本教育工学研究協議会全国大会は、2026年10月30日・31日に高知工科大学香美キャンパスと香美市立小中学校で開催。テーマは「教育DXで進化する探究の学び」
  • AIの使い方は学校ごとに違う:JAETの高橋純会長は、子どもが使う学校、教員だけが使う学校、慎重に判断している学校が「混在」していると説明
  • 探究と端末:課題の設定から、まとめ・表現まで、どの段階でも端末を活用できる一方、本や新聞も含めて情報を見極める力が大切
  • 香美市のIB:大宮小学校(PYP、2021年1月)と香北中学校(MYP、2022年12月)の取り組みが大会の注目点の一つ
  • 保護者ができること:探究のどの段階で、何のために端末やAIを使っているかを、説明会や家庭での会話で確かめる

出典・参考リンク

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