留学必修の学部を国が支援へ 文科省の新事業構想と大学選び・費用負担への影響

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「大学に入ったら、一度は留学させてあげたい」――そう考えているご家庭は多いのではないでしょうか。でも同時に、「費用はいくらかかるの?」「留学すると卒業が遅れるんじゃない?」という不安もついて回りますよね。

大学で留学を必修とする学部への支援について、文部科学省の公式資料で新事業の概算要求が確認できます。資料では、留学・フィールド実践の必修化を通じた教育改革が示されています。事業の内容は今後の公表資料で確認しながら、大学選びや費用負担への影響を見ていきましょう。

文部科学省の公式資料には、事業名「高等教育の学びの質的転換による創造的人材育成事業~知的修羅場体験事業~」、概算要求額165億円、支援対象約100学部が記載されています。事業を通じて300学部の教育の質的転換を目指す計画も示されています。1学部あたりの支援額などは、正式な公募要領・事業実施要項で確認しましょう。文部科学省の公式資料をもとに、保護者として今からできることを整理していきますね。

ニュースの概要

文部科学省の公式資料で、新事業の概算要求を確認できます。一方、朝日新聞の取材経緯や関係者取材の詳細は確認できないため、報道固有の内容とは分けて、公式資料に記載された事業内容を整理します。

項目 公式資料で確認できる内容
事業名 高等教育の学びの質的転換による創造的人材育成事業~知的修羅場体験事業~
支援の単位 学部
支援対象 約100学部
事業を通じた目標 300学部の教育の質的転換
概算要求額 165億円
留学・実践 国内外の一定期間の留学・フィールド実践の必修化
個別の支援額 1学部あたりの支援額は、正式な公募要領・事業実施要項で確認が必要です

文部科学省の公式資料

注目したいのは、支援の単位が「大学」ではなく「学部」だという点です。見出しだけを読むと「留学必修の大学を丸ごと支援する」ように見えますが、文部科学省の公式資料では、国内外の一定期間の留学・フィールド実践の必修化が示されています。同じ大学のなかでも、対象になる学部とならない学部が出てくる、という理解が正確です。

ポイント:公式資料では、国内外の一定期間の留学・フィールド実践を必修化する方針が示されています。海外・国内の比重や「留学」の具体的な定義は、正式な公募要領・事業実施要項で確認しましょう。

背景と解説

日本人学生の留学は、まだコロナ前に戻っていない

なぜ今、国がこうした構想を練っているのでしょうか。その背景には、日本人学生の留学が思うように回復していないという現実があります。

日本学生支援機構(JASSO)が2026年5月29日に公表した「2024年度日本人学生留学状況調査」によると、2024年度に海外留学した日本人学生は91,054人でした。前年度の89,179人からは1,875人(2.1パーセント)の増加です。着実に戻ってはいるのですが、過去最多だった2018年度の115,146人と比べると、まだ約2万4千人少ない水準にとどまっています。つまり、コロナ禍前のおよそ8割弱までしか戻っていないんです。

この統計は、日本の大学等に在籍する学生がその年度に留学を始めたケースを集計したもので、高校卒業後に海外大学へ直接進学した方などは含まれません。それでも「大学生の留学が伸び悩んでいる」という傾向は読み取れます。

「行きたい人が行く」から「学部ぐるみで行く」へ

これまでの国の留学支援は、意欲のある学生を個人単位で後押しするものが中心でした。代表格が、文部科学省とJASSOが2013年に始めた「トビタテ!留学JAPAN」です。現在は第2ステージ(2023〜2027年度)に入っていて、奨学金事業は「新・日本代表プログラム」という名称で、民間からの寄附を原資に返済不要の支援を行っています。

一方で、こうした個人応募型の制度は、そもそも自分から手を挙げる学生にしか届きません。今回の構想が「留学を必修にした学部」を単位として支援しようとしているのは、意欲のある一部の学生だけでなく、その学部の学生全員に留学の機会を届けるという考え方への転換だと読み取れます。つまり、「行きたい人が行く」制度から、「入学したら全員が行く仕組みを大学ごと作ってもらう」制度へ、という方向性ですね。

すでに「全員留学」を実践している大学もあります

「留学が必修の学部なんて本当にあるの?」と思われるかもしれませんが、実はすでにいくつも存在しています。代表的なものを挙げてみますね。

  • 国際教養大学(秋田県):学部生に1年間の留学を義務づけています。授業料は2026年度入学者で年696,000円、2027年4月以降の入学者からは年896,000円となることが公表されています
  • 千葉大学:学部生・大学院生の留学制度を案内しています。2020年度以降の入学者はENGINEサポートの対象で、本学が認める初回の留学について、渡航費やプログラム受講料の一部を支援します。この入学年度はサポートの対象を示すもので、全員留学の義務が適用される年度とは限りません。義務の対象は学部・研究科の最新案内で確認してください(ENGINEサポート)
  • 早稲田大学国際教養学部:日本語を母語とするStudy Plan 1の学生に1年間の留学が必修です(学部生全員が対象というわけではありません)
  • 関西学院大学国際学部:所定の海外プログラムへの参加と単位修得が卒業条件です。ただし健康上の理由などによる例外も設けられています

こうして並べてみると、「全員留学」と一口に言っても、期間も対象範囲も例外規定も大学によってかなり違うことが分かります。仮に新事業が始まったとしても、この多様さは残るとみられます。

IB教育を選んだご家庭にとっての意味

国際バカロレア(IB)を学んでいるお子さん、あるいはこれから検討しているご家庭にとって、この動きはどう関係するでしょうか。

IBのディプロマプログラム(DP)は、探究学習や論文執筆、複数言語での学びを通して、海外の大学でも通用する力を育てるカリキュラムです。IB生の進路を考える際は、志望大学の募集要項で出願資格や選抜方法を確認しましょう。

この事業は、留学を必修とする学部を含む対象学部の教育改革を支援する計画です。DPで培った英語力や自己管理力は、留学やフィールド実践に取り組む際にも活かせるでしょう。国内進学か海外進学かで悩んでいたご家庭は、志望学部の制度を確認してみてください。

保護者への影響と今できる対応

いちばん気になる「お金」の話

正直にお話しすると、留学が必修化されても、費用がゼロになるわけではありません。文部科学省の公式資料には事業全体の概算要求額として165億円、支援対象として約100学部が記載されていますが、1学部あたりや学生1人あたりの支援額は示されていません。家計の負担がどこまで軽くなるかは、正式な公募要領・事業実施要項を確認する必要があります。

留学には一般に、日本の大学の授業料に加えて、渡航費、住居費・食費、保険料、ビザ関係の費用などがかかります。交換留学であれば留学先の授業料は免除されることが多いのですが、それでも生活費は自己負担です。費用は大学・留学先の国・期間によって大きく異なるため、金額は志望校が公表している最新の見積もりを確認してください。

公的な支援としては、JASSOの「海外留学支援制度(協定派遣)」があります。在籍大学に籍を置いたまま8日以上1年以内の留学をする学生が対象で、月額は地域区分に応じてA地区12万円、B地区11万円、C地区9万円、D地区8万円です。ただしこれは学生が個人で直接申し込む制度ではなく、大学が募集・選考して申請する仕組みで、家計基準や成績要件もあります。留学必修の学部に入れば全員がもらえる、というものではない点は押さえておきたいところです。

注意:公式資料には概算要求額が示されていますが、要求額どおりに予算が決まり、各学部への支援が実施されるかは今後の予算編成や事業の公募要領で確認が必要です。支援を前提に進路計画を立てず、最新の公式発表を確認しましょう。

大学選びで見ておきたいチェックポイント

制度の行方を待つ間にも、ご家庭でできることはあります。志望校の資料やオープンキャンパスで、次の点を確認してみてください。

  • 留学は必修か、任意か:同じ大学でも学部・コースによって扱いが違います。パンフレットの「全員留学」という言葉の対象範囲を必ず確かめましょう
  • 留学の期間と時期:2週間程度の短期か、1学期か、1年間か。2年次なのか3年次なのかで、就職活動との重なり方も変わります
  • 4年間で卒業できるか:留学中の単位が卒業単位に認定されるかどうかは、家計にも直結する重要ポイントです
  • 留学先の授業料の扱い:交換留学で相互免除なのか、留学先にも別途納める必要があるのか
  • 大学独自の給付制度:学部独自の奨学金を設けている大学もあります。金額と採用人数を確認しましょう
  • オンライン留学が含まれるか:「留学」の定義に含まれる場合があります。渡航を前提に考えているなら要確認です
  • 例外規定:健康上の事情などで留学できない場合に卒業できるのかどうか

お子さんの準備として

留学が必修の学部を視野に入れるなら、高校のうちからできる準備もあります。英語資格試験のスコアを計画的に積み上げること、そして「知らない場所で自分のことは自分でやる」経験を少しずつ重ねておくことです。IB校で学んでいるお子さんなら、探究活動やCAS(創造性・活動・奉仕)での経験が、そのまま留学先での学びの土台になります。

ポイント:2026年8月時点の高校3年生は2027年4月入学、高校2年生は2028年4月入学を想定します。制度がまだ確定していない以上、「支援があること」を前提にするのではなく、支援がなくても成り立つ計画を立てたうえで、続報を追いかけるのが現実的です。

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まとめ

  • 事業の位置づけ:文部科学省の公式資料で、新事業の概算要求を確認できます
  • 支援対象と目標:支援対象は約100学部。事業を通じて300学部の教育の質的転換を目指す計画です
  • 留学・実践:国内外の一定期間の留学・フィールド実践を必修化する方針です。海外・国内の比重や具体的な定義は、正式な公募要領・事業実施要項で確認しましょう
  • 事業名と概算要求額:「高等教育の学びの質的転換による創造的人材育成事業~知的修羅場体験事業~」として165億円が記載されています。1学部あたりの支援額は公募要領などの確認が必要です
  • 家庭でできる準備:志望学部の留学制度(必修か任意か、期間、単位認定、費用負担、例外規定)を確認し、公的支援に頼りきらない資金計画を立てておくことが大切です

文部科学省の公式資料

国の制度が追い風になるのはありがたいことですが、制度は期待どおりに動かないこともあります。今回の構想については、年末の政府予算案や文部科学省の公式発表を待って判断していきたいですね。当ブログでも、続報が出しだい解説していきます。

出典・参考リンク

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