海外転居と大学選び:英国・米国・欧州の出願制度の違いと今からできる準備

英国・米国・欧州大陸の大学出願で求められるものの比較 IB最新ニュース

※本記事にはアフィリエイト広告(PR)が含まれます。

海外赴任や帰国が決まったとき、住まいや学校探しで手いっぱいになって、「大学のことはまだ先」と後回しにしてしまうご家庭も多いのではないでしょうか。でも、お子さまが中学生・高校生の場合、実は転居先で選ぶ学校とカリキュラムが、そのまま大学の選択肢を左右することがあるんです。

そんな「転居と大学選び」をテーマにした寄稿が、2026年9月29日、海外赴任・グローバルモビリティの専門誌Relocate magazineに掲載されました。筆者は、国際的に移動する家庭の大学出願を支援するコンサルティング会社Your Dream Schoolの共同創業者、Adam Girsault氏です。英国・米国・欧州大陸の大学制度の違いと、転居が決まった家庭が取るべき手順が整理されています。

この記事では寄稿の要点をご紹介しながら、日本の大学を視野に入れる駐在家庭・帰国予定のご家庭に向けて、日本側の制度もあわせて解説しますね。

ニュースの概要

今回の記事は、英国のRelocate magazineに「Editorial」として掲載された寄稿で、筆者の意見とアドバイスをまとめたものです。

項目 内容
記事名 Choosing a university system when your family relocates internationally
掲載媒体・日付 Relocate magazine(2026年9月29日)
筆者 Adam Girsault氏(Your Dream School 共同創業者)
筆者の所属 パリとテルアビブを拠点とする大学出願コンサルティング会社。記事によると2018年から国際的に移動する家庭を支援

寄稿のいちばんのメッセージは、「パスポートの国ではなく、お子さまが実際に受ける試験制度から考え始める」ということです。筆者は、よくある失敗として「自分たちの国と同じやり方で出願すればいい」という思い込みを挙げています。たとえば、ロンドンに赴任したフランスの家庭が英国の出願システムUCASを自国の仕組みと同じだと考えてしまう、といった例です。

そのうえで筆者は、A-Level、IB、各国の国内バカロレア、米国式の高校卒業資格のうちどれを現地で受けるかによって、現実的に出願できる大学制度が決まると説明しています。たとえばジュネーブでIBを修了した生徒は、英国・米国と多くの欧州の大学に大きな手間なく出願できる一方、志望国で認められていない国内資格の場合は、追加の資格や「ファウンデーション・イヤー」(大学入学前の準備課程)が必要になることがある、としています。

ポイント:寄稿では「14〜15歳での科目やカリキュラムの選択が、17〜18歳での大学の選択肢を静かに狭めたり広げたりする」と指摘しています。転居が決まったら、転居先の学校でどの試験ルートに進むのかを、科目選択が固まる前に確認しておくことがすすめられています。

背景と解説

英国・米国・欧州大陸は「別のゲーム」

寄稿では、英国・米国・欧州大陸の大学を、出願のときに比べる「選択肢」として扱うのは誤りだと述べています。3つの制度は、出願の何年も前から求めるものがそもそも違うというのです。図1にまとめました。

英国・米国・欧州大陸の大学出願で求められるものの比較
図1:英国・米国・欧州大陸で出願時に求められるものの違い(Relocate magazine 2026年9月29日掲載の寄稿より作成)
  • 英国(UCAS): 志望理由書(3つの問いに答える形式・出願先共通)、科目ごとの予測成績(学校が出す見込みの成績)、難関の学科やOxbridge(オックスフォード大学・ケンブリッジ大学)では入学テストや面接もあります。学科単位で出願するため、その分野の読書や大会、職業体験などの「深さ」が重視されます。
  • 米国(Common Appなど): エッセイ、課外活動、推薦状、そして大学によっては標準テストも含めた、幅広い書類で総合的に見られます。専攻を決めずに大学単位で出願することも多く、数年にわたる興味や活動の積み重ねが重みを持つ、と説明されています。
  • 欧州大陸(Bocconi、IE University、ESADEなど): 大学独自の入学試験や志望動機の評価に、成績を組み合わせることもある「ハイブリッド型」が多いとしています。日程や要件は国や大学によって大きく違います。

つまり、どれが「よい制度」かを選ぶのではなく、出願開始までの残り時間で、どんな生徒像を現実的に作れるかで選ぶ、ということです。筆者は、その判断は締切直前の秋ではなく、出願の2〜3年前にするのがよいと述べています。

本当のコストは「場所」ではなく「タイミング」

寄稿の中で特に大事なのが、日程のずれの話です。国について調べるのは慣れていても、制度ごとに「時計が動き出すタイミング」が違うことは見落としがちなんですよね。中学・高校の途中で転居すると、複数の制度の日程の真ん中に入ってしまうこともあります。

公式サイトで確認できる2027年入学の日程を、図2にまとめました。UCASでは2026年5月12日から登録して出願書類を作り始められ、9月1日からUCASへ送信できます。締切は、Oxbridgeと医学・歯学・獣医学の多くの課程が2026年10月15日18時(英国時間)、それ以外の多くの課程が2027年1月13日18時(英国時間)です。ただし1月13日は多くの課程の「公平審査期限」で、期限後も空きがあれば審査される場合があります(可否は大学・課程に確認)。米国のCommon Appは、2026年7月31日に2026-27年度の受付開始を発表しています。

2027年入学の英国UCASと米国Common Appの出願カレンダー
図2:2027年入学の主な出願カレンダー(UCAS公式・Common App公式ブログより作成、2026年9月30日確認)

さらに筆者は、転居先の学校が推薦状や予測成績をまとめる校内の締切は、公表されている出願締切よりも早いことが多いと注意しています。欧州大陸の大学も独自の試験日程を持つことが多いため、志望校ごとに確認が必要です。

IBはなぜ「動く家庭」に向いていると言われるのか

寄稿でもIB修了生が複数の国に出願しやすい例が挙がっていましたが、IBO(国際バカロレア機構)の公式サイトによると、IBの認定校は世界163か国に6,200校超あります。IBOは、DP(ディプロマ・プログラム)が世界の大学に広く認められていると説明する一方、大学での扱いは国や大学ごとに違い、個々の大学での認定を保証するものではないとも明記しています。IBを選べば安心、ではなく、志望先の要件は必ず確認が必要ということですね。

日本の大学を視野に入れる場合

日本の読者にとっては、「日本の大学」も大事な選択肢のひとつですよね。寄稿は日本に触れていないので、ここで押さえておきましょう。

  • 大学入学資格: 文部科学省は、国際バカロレア、アビトゥア、バカロレア、GCE Aレベルなどの資格を持つ人を、日本の大学の入学資格がある人として案内しています。外国で学校教育の12年の課程を修了していない場合は、指定された準備教育課程などの修了が必要になることがあります。
  • IBを活用した入試: 文部科学省の資料では、IBを活用した入試を行う大学は82大学(全学部で実施39大学、一部の学部で実施43大学、2025年1月時点)と集計されています。日本の学校の卒業生対象の入試に関する回答大学の集計で、帰国生・留学生限定の入試は含まず、網羅的ではありません。
  • 帰国生入試: 出願資格は大学ごとに違います。たとえば慶應義塾大学の帰国生対象入試では、原則、海外の外国教育課程の高校に最終学年を含め2年以上続けて在籍し、卒業(見込み)であること等が必要です(国内の外国教育課程の高校は対象外。経済学部は代替条件あり)。

注意:帰国生入試の「海外在籍○年以上」「帰国後○年以内」といった条件は、大学や学部、年度によって異なります。帰国の時期しだいで出願資格を満たさなくなることもあるため、転居の時期を決める前に、志望大学の最新の募集要項で確認しておくと安心です。

保護者への影響と今できる対応

この寄稿がとくに関係するのは、中学生から高校生のお子さまがいて、海外赴任・帰国・国をまたぐ転勤を控えているご家庭です。寄稿で示された手順を、図3にまとめました。

海外転居が決まった家庭の大学選び5つの手順
図3:転居が決まったら進めたい5つの手順(Relocate magazine 2026年9月29日掲載の寄稿より作成)
  1. 試験ルートを確定する: 転居先の学校で、どのカリキュラムと試験を受けるのかを学校に直接確認します。
  2. 候補の制度を早めに絞る: 現実的には2つまでに絞ると準備に集中できる、としています。
  3. いちばん早い締切から逆算する: 試験結果の発表日ではなく、Oxbridgeや欧州の難関大学の入学試験など、最も早い締切を基準にスケジュールを組みます。
  4. 書類を転居前に集める: 推薦状、予測成績、活動記録、標準テストのスコアなどは、学校を離れたあとでは集めにくくなります。
  5. 国をまたげる助言を受ける: 複数の制度を行き来できる相談先を選ぶことがすすめられています。

今日からできる確認をまとめました。

  • 転居先の学校の試験ルート(IB、A-Level、米国式の高校卒業資格、現地の国内資格)を確認した
  • 日本の大学も候補なら、その資格が日本の大学入学資格になるか、12年の課程を満たすかを確認した
  • 志望しそうな大学の帰国生入試・IB入試の出願資格(在籍期間・帰国時期)を最新の募集要項で確認した
  • 候補の制度の締切を、お子さまの学年に重ねたカレンダーを作った(転居後にもう一度見直す)
  • 成績表や推薦状、課外活動の記録を、転居前にコピーしてまとめた

ポイント:寄稿の結びでは、転居は「複数の教育制度や言語にふれた経験」という強みにもなると述べています。大学選びを転居の後に付け足すのではなく、学校選びと一緒に計画することが、その強みを生かすコツだということです。

なお、今回の記事はコンサルティング会社の共同創業者による寄稿で、筆者の見解です。制度や日程は各公式情報で確認してくださいね。インターナショナルスクール選びを検討中の方は、東京インターナショナルスクール(TIS)のガイドや広島インターナショナルスクール(HIS)のガイドもあわせてご覧ください。

【PR】お子さまの学びをサポートするサービス

留学情報館
留学の相談・手配を行う留学エージェントです。無料カウンセリングを申し込めます。

留学情報館の無料カウンセリングを見る

eFFISAGE(エフィサージュ)
海外子女向けのオンライン家庭教師サービスです。新規の無料体験を申し込めます。

eFFISAGEの無料体験(新規)を公式サイトで見る

当サイトはアフィリエイトプログラム(A8.net・もしもアフィリエイト・バリューコマース・楽天アフィリエイト等)に参加しています。リンク経由でお申し込み・ご購入いただくと当サイトに報酬が支払われる場合がありますが、掲載内容・順位に影響はありません。

まとめ

  • 出発点は試験制度: パスポートの国ではなく、転居先で実際に受けるカリキュラムと試験が、出願できる大学制度を決めると寄稿は指摘しています。
  • 英国・米国・欧州は別物: 求めるものが違うため、比較は出願の2〜3年前から。
  • 日程のずれに注意: 2027年入学では、UCASのOxbridge・医歯獣医の多くが2026年10月15日締切、それ以外の多くは2027年1月13日が公平審査期限。Common Appは2026年7月31日に受付開始を発表。
  • 日本の大学も要確認: IBを活用した入試は82大学(2025年1月時点の回答集計、帰国生・留学生限定入試を除く)。帰国生入試の条件は大学ごとに違います。
  • 書類は転居前に: 推薦状・成績・活動記録は、学校を離れる前に集めておきましょう。

出典・参考リンク

コメント

タイトルとURLをコピーしました