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「日本の子どもの読解力が下がったらしい」というニュース、気になりますよね。2026年9月8日に公表された国際学力調査PISA2025の結果で、日本の読解力の平均得点が前回より下がりました。毎日新聞も、英語学習者向けのコーナー「News in Easy English」で「日本の生徒は以前ほど速く読めなくなっている」という趣旨の見出しでこの話題を取り上げています。
ただ、中身をよく見ると「読む力が全部落ちた」わけではありません。下がったのは主に短い文を速く正確に読む力で、長い文章を読み取る力などは前回と同程度でした。この記事では、文部科学省と国立教育政策研究所の公式資料をもとに、何がわかったのかを整理し、ご家庭での読書について一緒に考えてみたいと思います。
ニュースの概要
PISA(ピザ)は、OECD(経済協力開発機構)が行う国際的な学力調査です。義務教育を終える段階の15歳を対象に、学んだ知識や技能を実生活の課題にどのくらい使えるかを測ります。2025年の調査結果は、OECDと、文部科学省・国立教育政策研究所が2026年9月8日に公表しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査名 | OECD生徒の学習到達度調査(PISA2025) |
| 公表日 | 2026年9月8日 |
| 参加規模 | 91か国・地域から約76万人 |
| 日本の参加者 | 高等学校等の1年生、183校・約6,500人(2025年6月から8月に実施) |
| 日本の読解力 | 503点(前回2022年は516点)。OECD加盟国中1位(順位の範囲は1位〜8位)、全参加国・地域中4位 |
| OECD平均の読解力 | 461点(前回476点) |
日本は、科学・読解力・数学の3分野すべてでOECD加盟国中1位となり、世界トップレベルを維持しています。一方で、読解力の平均得点は前回から13点下がり、これは統計的に意味のある低下(有意な低下)とされました。2018年の504点とはおおむね同じ水準です。これまでの推移を図1にまとめました。

背景と解説
下がったのは「読みの流ちょう性」
公式資料によると、日本で正答率が有意に下がったのは「読みの流ちょう性(速く正確に読む)」の設問でした。つまり、文をパッと読んで意味をすばやく正しくつかむ力ということです。この設問はOECD平均でも下がっています。
問題はとてもシンプルで、短い文が21〜22文、1文ずつ表示され、それぞれの意味が通るかどうかを「はい」「いいえ」で答えます。資料の例では「飛行機は犬でできている。」という文に「いいえ」と答えます。大人から見ると簡単に思えますが、正確さと速さの両方が求められるんです。
一方、日本では、比較的長い課題文(英単語400語以上に相当する日本語の文章)や複数の課題文がある設問、「情報を探し出す」「理解する」に関する設問の正答率は前回と同程度でした。「評価し、熟考する」設問の正答率は、むしろ有意に上がっています。文部科学省・国立教育政策研究所は、流ちょう性の正答率の低下が平均得点の低下に影響している可能性がある、と説明しています。項目ごとの変化は図2のとおりです。

下位層の広がりも課題に
もう一つ注目したいのが、得点の低い生徒が増えている点です。読解力で習熟度レベル1以下の生徒の割合は、13.8%から18.6%に有意に上がりました。レベル5以上の上位層の割合は12.3%から11.2%で、有意な差はありません。下位10%の位置にあたる得点も387点から360点に下がっていて、上位と下位の差が広がっています。
ポイント:今回わかったのは「読解力が全体的に落ちた」ではなく、「速く正確に読む設問の正答率が下がり、得点の低い層が増えた」ということです。長い文章を読み解く力や、内容を評価して考える力は保たれているか、伸びています。
原因は?SNSの影響は断定できない
毎日新聞の日本語記事は、見出しで「SNSの『即いいね』影響?」と問いかけています。ただ、公式資料では原因は特定されていません。OECDはOECD平均の読解力の低下について、一つの原因では説明できず、複数の要因が重なった可能性を指摘しています。SNSや短い動画の影響を心配する声もありますが、現時点ではあくまで「考えられる要因の一つ」として受け止めるのがよさそうです。
なお、PISAは2025年以降4年ごとの実施となり、次回のPISA2029では読解力が中心分野になる予定です。より詳しい分析はそのときに期待されています。
保護者への影響と今できる対応
今回の調査対象は、2025年度に高校1年生だった生徒たちです。とはいえ、「速く正確に読む力」は小学生のころからの積み重ねで育つもの。小中学生のお子さんがいるご家庭にとっても、読書について考えるよいきっかけになるのではないでしょうか。
また、公式資料では、学校での様子を話し合ったり、学んでいることに関心を示したりする「家庭による支援的な関わりの頻度」について、日本はOECD平均より低いという結果も出ています。難しいことをしなくても、会話を少し増やすだけで関わり方は変わりそうです。
家庭で試せる読書の工夫
ここからは、調査結果から直接導かれるものではなく、ご家庭で取り入れやすい工夫としてのご提案です。
- 短い文章をたくさん読む: 新聞の子ども向け記事やコラムなど、短い文章を毎日少しずつ読む習慣をつくる
- 声に出して読む: 音読すると、どこでつまずくかが親子でわかりやすくなります
- 読んだ内容を話してもらう: 「どんな話だった?」と聞き、意味を正しくつかめているかを一緒に確かめる
- 紙の本も取り入れる: 画面での流し読みだけでなく、1冊を最後まで読み通す経験も大切にする
- 親も一緒に読む: 家族で本を読む時間をつくると、自然と会話のきっかけも増えます
注意:PISAは国や地域全体の傾向を見る調査で、一人ひとりのお子さんの力を測るものではありません。「うちの子も読めなくなっているのでは」と過度に心配するより、読む時間や親子の会話を少しずつ増やすことを意識してみてくださいね。
国際教育・IBを考えているご家庭へ
IB(国際バカロレア)などの国際的な教育では、多くの文章を読み、考えを書いたり話したりする場面が多くあります。日本語でも英語でも、土台になるのは文章を正しくすばやく読み取る力ですよね。英語の学習を進めるご家庭でも、まずは日本語で読む習慣を大切にしておくと安心です。
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まとめ
- 日本の読解力は503点: 2026年9月8日公表のPISA2025で、前回の516点から有意に低下。それでもOECD加盟国中1位です
- 下がったのは「速く正確に読む」設問: 長い文章や複数の文章を読む設問は同程度で、「評価し、熟考する」設問は上昇しました
- 低得点層が増加: 習熟度レベル1以下の割合が13.8%から18.6%に上がり、上位と下位の差が広がっています
- 原因は特定されていない: SNSの影響を指摘する報道もありますが、公式には複数の要因が重なった可能性とされています
- 家庭では読む習慣と会話を: 短い文章を毎日読む、読んだ内容を話すなど、無理のない工夫から始めてみましょう


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