※本記事にはアフィリエイト広告(PR)が含まれます。
「せっかく海外にいるのだから英語も身につけてほしい」「家では日本語、学校では英語。この先どうなるのかしら」。子どもを二つ以上の言語の中で育てていると、こんな迷いが出てくることって多いですよね。教材やオンライン英会話、インターナショナルスクールなど選択肢はたくさんありますが、どれを選べばいいのか、かえってわからなくなってしまうご家庭も多いのではないでしょうか。
そんな中、英字紙The Japan Timesに2026年9月29日、多言語で子どもを育てる保護者に向けた寄稿が掲載されました。言語教育者の筆者が投げかけたのは、「どうやって」ではなく「そもそもなぜ、子どもを多言語話者にしたいのか」という問いです。
この記事では、寄稿の冒頭で確認できた内容をご紹介したうえで、日本の学校の状況やIB(国際バカロレア)の言語の考え方もふまえて、「目標」と「日々の環境」をどう考えればよいかを一緒に整理していきますね。
ニュースの概要
今回の寄稿は、The Japan Timesの「COMMENTARY(論評)」欄に、寄稿者(Contributing writer)のMidori Inagaki氏の名前で掲載されたものです。ニュースの事実報道ではなく、筆者の考えを述べるコラムである点をまず押さえておきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 見出し | The question parents should ask before raising multilingual kids |
| 媒体・欄 | The Japan Times「COMMENTARY / Japan」(論評・寄稿) |
| 筆者 | Midori Inagaki氏(Contributing writer。本文では言語教育者と名乗っています) |
| 掲載日 | 2026年9月29日 |
記事の冒頭で筆者は、多言語の環境で子育てをする保護者から「どうすれば子どもを多言語話者に育てられますか」とよく聞かれる、と書いています。そのたびに、もっと根本的な問いとして「なぜ、そもそも子どもに多言語話者になってほしいのか」が頭に浮かぶ、というのです。
筆者はさらに、言語学習をめぐる議論は「何を、どう教えるか」という中身と方法論に偏りすぎていると感じてきた、と述べています。研究者はカリキュラムや指導法、評価のしくみを分析し、保護者は言語にふれる量や読み書き、教え方のアドバイスを求める。その一方で、「言語教育は何のためにあるのか」という深い問いにはあまり目が向けられていない、という問題意識です。
記事の紹介文では、大人の学習者はふつう自分で目標を決めますが、子どもの言語の道すじは主に養育者が形づくる、と説明されています。また写真の説明には、言語の学びは文法や単語だけのものではなく、子どもが大人になったときに送る暮らしをよりよくすることが目的だ、という趣旨の一文が添えられています。
ご注意:この寄稿は有料会員向けの記事で、当ブログが確認できたのは見出し・紹介文・冒頭の数段落と小見出しまでです。小見出しには「多くの日本の保護者にとって、バイリンガルであることは世界に向けた自信への道」という趣旨が書かれていますが、その先で筆者が具体的にどんな提案をしているかは確認できていません。以下の「背景と解説」「保護者への影響」は、筆者の主張ではなく、当ブログが公的な資料をもとに整理した内容です。
背景と解説
「方法」から入ると迷いやすい理由
多言語の子育てでは、「家庭ではどちらの言語を使うか」「何歳から英語を始めるか」「どの教室に通わせるか」といった方法の話題が中心になりがちですよね。どれも大切なのですが、目的があいまいなままだと、「この習いごとは続けるべき?」「日本語の読み書きが遅れているけれど大丈夫?」と迷ったときに、判断のよりどころがなくなってしまいます。
寄稿の問いをふまえて、当ブログでは「なぜ(目的)」→「何を目標に」→「どんな環境で」という順番で考えることをおすすめします。図1にまとめました。

たとえば「祖父母と気持ちを通わせてほしい」が目的なら、目標は「家族の言語で会話ができること」になり、環境づくりは家族との会話の時間が中心になります。「将来、海外の大学も選べるようにしたい」が目的なら、教科を学べるほどの読み書きの力が目標になり、学校選びが大きく関わってきます。つまり、目的によって、必要な力の種類も、かける時間やお金も変わるということです。
日本の学校にも、複数の言語の中で育つ子どもが増えています
複数の言語の中で育つ子どもは、海外駐在のご家庭だけのお話ではありません。文部科学省が2026年5月25日に公表した「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和7年度)」によると、2025年5月1日現在、公立学校で日本語指導が必要な児童生徒は84,759人で、前回調査より15,636人増えました。今回から調べた国立・私立を含めると88,045人です。

図2のとおり、公立学校の84,759人のうち外国籍は73,313人、日本国籍は11,446人です。日本国籍でも日本語の支援が必要な子どもがいる、という点は見逃せません。海外で長く暮らして帰国したお子さんなども、こうした支援の対象になりうると考えられます。「英語を伸ばしたい」と考えるとき、もう一つの言語である日本語をどう育て、どう保つかも同じくらい大切なテーマなんです。
IBは「家庭の言語」をどう位置づけているか
IB(国際バカロレア)は、複数の言語を学ぶことを、ほかの文化を理解する力や国際的な視野の土台と位置づけています。IBO(国際バカロレア機構)公式サイトによると、DP(ディプロマ・プログラム、高校2・3年相当)の「Language A: literature」は、母語など十分な力のある言語で文学を学ぶ科目で、通常は55言語が提供され、それ以外の言語も、十分な書かれた文学がある言語なら特別な申請で学べる場合があります。
さらに、二つの言語で学んだ成果を認める「バイリンガル・ディプロマ」という仕組みもあります。通常のディプロマの要件を満たしたうえで、異なる言語のグループ1科目を二つ修了してどちらも3以上を取るか、グループ1の科目と、それとは別の言語で学んだグループ3(個人と社会)か4(理科)の科目でそれぞれ3以上を取ると授与されます。図3に整理しました。

ポイント:IBの仕組みとして家庭の言語を生かせる道はありますが、実際にどの言語の科目を開講しているかは学校ごとに違います。日本語や家庭の言語をLanguage Aで学べるかどうかは、志望校に直接確認しておくと安心です。
保護者への影響と今できる対応
この寄稿は、何かの制度が変わったというニュースではありません。だからこそ、どのご家庭にとっても「今日から考えられるテーマ」と言えます。とくに次のようなご家庭には、立ち止まって考えるよい機会になりそうです。
- 海外駐在中で、現地校やインターナショナルスクールに通わせながら日本語も保ちたいご家庭
- 帰国を控えていて、帰国後の学校選び(一般校・帰国生枠・IB校など)を考えているご家庭
- 国際結婚などで、家庭の中に二つ以上の言語があるご家庭
- 日本国内で、英語教育やインターナショナルスクール、IB校を検討しているご家庭
家族で話し合いたい「目的と目標」のチェックリスト
- 目的:その言語は、子どもの将来のどんな場面で役立ってほしいですか(家族との会話、進学、仕事、住む国の選択など)
- 言語ごとの目標:言語ごとに「聞く・話す」まででよいのか、「読む・書く」で教科を学べるところまで必要なのかを分けて考えましたか
- 時間の見通し:何年くらい、どの国で暮らす予定ですか。帰国の時期によって必要な日本語の力も変わります
- 子どもの気持ち:子ども自身がその言語を好きか、使う相手がいるかも大切な判断材料です
日々の環境づくりで確認したいこと
- 家庭・学校・地域で、それぞれの言語を誰と、どれくらい使っているかを一度書き出してみる
- 使う機会が少ない言語は、本の読み聞かせや家族との通話など、「使う相手と場面」を意識してつくる
- 学校選びでは、授業の言語だけでなく、家庭の言語や日本語をどう支えてくれるかも質問する
- 目的や環境が変わったら(転勤・帰国・進学など)、目標も見直してよいと家族で共有しておく
大切なこと:子どもの言語の伸び方は一人ひとり違います。言葉の発達や学校での学びに不安があるときは、自己判断で方針を大きく変える前に、学校の先生や自治体の相談窓口、専門家に相談してみてくださいね。
地方都市のインターナショナルスクールやIBの寮制の学校など、国内にもさまざまな選択肢があります。たとえば当ブログでは、広島インターナショナルスクール(HIS)のガイド、福岡インターナショナルスクール(FIS)のガイド、UWC ISAK Japanのガイド(いずれも英語記事)も公開しています。学校を比べるときも、「わが家の目的に合っているか」という物差しを持っておくと選びやすくなりますよ。
【PR】お子さまの学びをサポートするサービス
GLOBAL CROWN(グローバルクラウン)
バイリンガル講師による子ども向けオンライン英会話です。
留学情報館
留学の相談・手配を行う留学エージェントです。無料カウンセリングを申し込めます。
eFFISAGE(エフィサージュ)
海外子女向けのオンライン家庭教師サービスです。新規の無料体験を申し込めます。
当サイトはアフィリエイトプログラム(A8.net・もしもアフィリエイト・バリューコマース・楽天アフィリエイト等)に参加しています。リンク経由でお申し込み・ご購入いただくと当サイトに報酬が支払われる場合がありますが、掲載内容・順位に影響はありません。
まとめ
- 寄稿の問い:The Japan Times(2026年9月29日)の寄稿は、「どうやって」より先に「なぜ子どもを多言語話者にしたいのか」を考えるよう保護者に問いかけています
- 考える順番:目的 → 言語ごとの目標 → 家庭・学校・地域の環境、の順で考えると、方法選びで迷いにくくなります
- 日本の状況:公立学校で日本語指導が必要な児童生徒は84,759人(2025年5月1日現在)。うち11,446人は日本国籍で、日本語をどう保つかも大切なテーマです
- IBの仕組み:DPのLanguage A: literature(言語A:文学)は通常55言語が提供され(それ以外も条件を満たせば申請可)、二つの言語で学んだ成果を認めるバイリンガル・ディプロマもあります。開講科目は学校ごとに確認を
- 見直しも前提に:転勤や帰国、進学で状況が変われば、目標も家族で見直して大丈夫です
出典・参考リンク
- The Japan Times: The question parents should ask before raising multilingual kids(2026年9月29日)
- 文部科学省:「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(令和7年度)」の結果について(2026年5月25日)
- 国際バカロレア機構(IBO): Language A: literature(2026年10月4日確認)
- 国際バカロレア機構(IBO): DP passing criteria(2026年10月4日確認)
- 国際バカロレア機構(IBO): Language policy(2026年10月4日確認)


コメント