国内留学の参加者、中心は中高生に?一社のデータから考える海外と国内の選び方

U-GAKU国内留学の参加者の所属構成比(2021年と2024〜2026年の比較) IB最新ニュース

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「留学させてあげたいけれど、いきなり海外は心配」「費用や学校の予定を考えると、なかなか踏み出せない」。中学生・高校生のお子さまがいるご家庭なら、一度はそんなふうに迷ったことがあるのではないでしょうか。

そんななか、10代向けのリサーチ会社が運営するメディア「ワカモノリサーチ」が2026年10月6日、「「留学は海外一択?」国内を選ぶ世代の本音」という記事を掲載しました。国内で英語環境を体験する「国内留学」の参加者のうち、中高生の割合が大きく増えているという内容です。

ただ、この記事のもとになっているのは、若者に意見を聞いたアンケートではなく、国内留学プログラムを運営する一つの会社が、自社の参加者の所属を集計したデータなんです。この記事では、数字が何を示していて、何を示していないのかを整理したうえで、国の統計もあわせて「海外か国内か」を考えるヒントをお話ししますね。

ニュースの概要

ワカモノリサーチの記事が紹介しているのは、留学プログラム「U-GAKU(ユーガク)」を運営する株式会社Crepity(本社・東京都渋谷区)が、2026年9月17日にPR TIMESで発表したプレスリリースです。北海道ニセコと沖縄北谷で行う国内留学プログラムに個人で申し込んだ人の所属(中学生・高校生・大学生など)を、参加を始めた年ごとに集計しています。

項目 内容
集計した会社 株式会社Crepity(U-GAKU調べ)
発表日 2026年9月17日(PR TIMES)。ワカモノリサーチの紹介記事は2026年10月6日
対象 U-GAKUの国内留学(北海道ニセコ・沖縄北谷)に個人で申し込んだ人。学校・法人の団体研修と、別プログラムの「U-GAKU English Camp」は除外
期間・人数 2021年2月〜2026年12月(参加開始日ベース)の551名。うち2021年は82名、2024〜2026年は273名
注意点 2026年分は、8月17日時点の実績に年末までの見込みを足した「通年見込み」で、確定値ではない

発表によると、2021年に参加者の64.6%を占めていた大学生・専門学生は、直近3年間(2024〜2026年)では17.9%に。一方で中学生・高校生を合わせた「中高生」は17.1%から49.8%へ増え、参加者のほぼ半数になったとしています。高校生だけでも31.0%を占めます。社会人も17.1%から31.9%へ増えました。参加を始めたときの年齢の中央値は20.0歳から18.0歳へ下がり、18歳未満の割合は13.6%から46.9%になったと説明しています。なお、2024〜2026年の値は見込み人数を含み、年齢の割合をどの人数をもとに計算したかは発表に書かれていないため、各割合は上の人数から単純に計算した値とは一致しない場合があります。図1にまとめました。

U-GAKU国内留学の参加者の所属構成比(2021年と2024〜2026年の比較)
図1:U-GAKU国内留学の参加者の所属構成比。2024〜2026年は2026年の見込み値を含みます(株式会社Crepityのプレスリリース、2026年9月17日より作成)

年ごとに見ると、中高生の割合は2021年17.1%、2022年22.9%、2023年33.0%と上がり、2024年に56.1%でピークを迎えました。その後は2025年46.4%、2026年は通年見込みで44.5%です(図2)。同社は、2025年以降は「4割台半ばで落ち着いている」とみるのが実態に近い、と説明しています。

U-GAKU国内留学の参加者に占める中高生の割合の推移(2021〜2026年)
図2:参加者に占める中高生の割合の推移。2026年は通年見込み値です(株式会社Crepityのプレスリリース、2026年9月17日より作成)

読むときの注意:このデータは一つの会社の、特定のプログラムの参加者に限った集計です。国内留学全体の傾向を示すものではありません。また、参加者に理由を尋ねた調査ではないため、「なぜ中高生が国内を選んだのか」はわかりません。同社自身も、大学生の割合が下がった理由は把握しておらず、因果関係は断定できないと書いています。

背景と解説

「国内留学」とは

国内留学とは、海外に行かずに、国内で英語を使って過ごす環境に身を置く学び方のことです。U-GAKUの場合は、宿泊しながら英語の授業を受け、講師も同じ施設で生活するスタイルだと公式サイトで案内しています。つまり、「海外の学校に通う」のではなく、「日本にいながら英語漬けの時間をつくる」ということです。

同社は、国内留学は海外留学の代わりだけではなく、海外に行く前の最初のステップや、学校生活と両立しながら短期間で英語環境を経験する方法としても選べる、と説明しています。ただし、これは運営会社としての見方である点は押さえておきたいところです。

海外留学はどこまで戻っている?

ここで、国の統計も見てみましょう。日本学生支援機構(JASSO)が2026年5月29日に公表した調査では、2024年度に海外留学を始めた日本人留学生は91,054人で、前年度の89,179人から2.1%増えました。ただ、過去最多だった2018年度の115,146人にはまだ届いていません。なお、この数字は日本の大学などに在籍する学生が対象で、中高生は含まれません。

高校生については、文部科学省が隔年で調べています。最新の令和5年度(2023年度)の結果では、3か月未満の研修旅行に参加した高校生が31,711人、3か月以上の留学が3,174人でした。前回の令和3年度(1,217人と1,901人)からは大きく回復しましたが、平成29年度(42,793人と4,076人)の水準にはまだ戻っていません。

一方、政府の教育未来創造会議は2023年4月27日の提言(J-MIRAI)で、2033年までに日本人学生の海外留学者を50万人にする目標を掲げました。高校段階では、3か月未満の研修旅行を11万人、3か月以上の留学を1万人にするとしています。国としては、高校段階から海外に出る機会を増やしたい、という方向なんですね。

ポイント:海外留学は回復途中で、国も高校段階からの留学を後押ししています。その一方で、国内で英語環境を体験するプログラムに中高生が参加している、という一社の事例が今回のニュースです。「国内か海外か」はどちらかを選ぶ話というより、段階の違いとして考えることもできそうです。

保護者への影響と今できる対応

今回のデータから「国内留学が主流になった」と言うことはできません。それでも、「いきなり海外は不安」と感じるご家庭にとって、国内で英語環境を試す方法があることを知っておくのは、選択肢を広げることにつながりますよね。

ワカモノリサーチの記事も、学校の予定や費用、家族との距離を考えると、「いきなり海外はちょっと不安だけど、国内なら挑戦してみたい」という中高生の最初の一歩になっているのかもしれない、と結んでいます。あくまで記事の見立てですが、共感される方も多いのではないでしょうか。

海外か国内かで迷ったときは、次のような点を一つずつ確認してみてください。図3にもまとめました。

  • 目的:英語に慣れることが目的か、現地の学校や文化を体験することが目的か
  • 期間:学校行事や部活、定期試験と重ならないか。何週間なら無理なく参加できるか
  • 対象と条件:プログラムの対象学年・年齢、保護者の同意や必要な手続き
  • 生活と安全:宿泊の形、付き添いの有無、緊急時の連絡体制
  • その次:国内で慣れてから海外へ、など次の一歩をどう考えるか
国内か海外か迷ったときの5つの確認ポイント
図3:国内か海外か迷ったときの確認ポイント(株式会社Crepityのプレスリリース、文部科学省・JASSOの公表資料をもとに本記事で整理)

費用や期間、対象年齢はプログラムごとに違いますし、同じプログラムでも変わることがあります。国内・海外のどちらを考える場合も、比較するときは必ず各運営団体の最新の案内で確かめてくださいね。

注意:今回の数字はプログラムを運営する会社自身が発表したもので、2026年分には見込みが含まれます。「中高生の半数が国内留学を選んでいる」という意味ではありません。お子さまの選択を考える材料の一つとして、冷静に受け止めるのがよさそうです。

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まとめ

  • 何が発表されたか: 株式会社CrepityがU-GAKUの国内留学参加者551名の所属を集計し、中高生の割合が17.1%から49.8%に増えたと2026年9月17日に発表。ワカモノリサーチが10月6日に紹介しました
  • データの性格: 一社の特定プログラムの参加者データで、アンケートではありません。2026年分は見込み値を含み、参加理由はわかりません
  • 海外留学の状況: JASSOによると大学生などの海外留学は2024年度91,054人で回復途中。高校生は令和5年度に研修旅行31,711人、留学3,174人でした
  • 国の方向性: J-MIRAIは2033年までに海外留学50万人、高校段階で研修旅行11万人・留学1万人を目標にしています
  • ご家庭での考え方: 国内か海外かは優劣ではなく、目的・期間・条件・安全・次の一歩の5点で比べるのがおすすめです

出典・参考リンク

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