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「国の予算の話って、うちの子の学校選びに関係あるの?」と思われる方も多いのではないでしょうか。毎年夏に文部科学省が出す「概算要求」は、翌年度に国がどんな教育に力を入れたいかを示す、いわば“教育の設計図の下書き”です。
2026年8月28日、文部科学省は令和9年度(2027年度)の概算要求を公表しました。教育新聞も「教員の処遇改善や高校改革・AI整備に重点」と報じています。中でも保護者にとって見逃せないのが、高校改革のための新しい交付金と、学校でのAI活用に向けた環境整備という2つの柱です。
この記事では、文部科学省の公式資料をもとに、何が要求されたのか、そしてこれから高校を選ぶご家庭が何を意識しておくとよいのかを、できるだけかみ砕いてお話ししますね。
ニュースの概要
松本洋平文部科学大臣は2026年8月28日の記者会見で、令和9年度概算要求の総額を8兆7,750億円、前年度比2兆8,941億円増と説明しました。このうち、成長分野などに重点配分する「強く豊かな日本」投資枠として2兆1,830億円を盛り込み、その具体例の筆頭に「高等学校教育改革交付金(仮称)」等の創設を挙げています。
主な項目を表にまとめました。いずれも要求段階の数字で、国会で成立した予算ではない点にご注意ください。
| 項目 | 令和9年度要求額 | 令和8年度予算額 |
|---|---|---|
| 高等学校改革の推進(高等学校教育改革交付金〈仮称〉等の創設) | 事項要求(金額は未提示) | 新規 |
| GIGAスクール構想の更なる推進と学校DX・AXの推進 | 931億円 | 17億円 |
| うちAI活用に向けた環境整備・実証研究 | 884億円 | 4億円 |
| 高校生等への修学支援(就学支援金・奨学給付金等) | 6,175億円+事項要求 | 6,175億円 |
| 教師の処遇改善 | +127億円(教職調整額6%から7%へ、2028年1月から) | ― |
| 国際バカロレアの推進 | 86百万円 | 85百万円 |
「事項要求」という言葉は聞き慣れないですよね。つまり、「この仕組みをつくりたい」という項目だけを先に出し、具体的な金額は年末の予算編成に向けて詰めていくということです。高校改革の交付金は、まさにこの段階にあります。
背景と解説
高校改革:基金→方針→交付金という流れ
今回の要求は、突然出てきたものではありません。文部科学省は2026年2月13日に「高校教育改革に関する基本方針(グランドデザイン)」を公表し、2040年を見据えた「N-E.X.T.(ネクスト)ハイスクール構想」を打ち出しました。柱は大きく3つです。
- 専門高校の機能強化・高度化:地域産業や大学と連携し、実習設備なども高度化する
- 普通科改革による特色化・魅力化:文理横断の探究、理数教育に重点を置く学びなど
- 地理的アクセスと多様な学びの確保:地方でも学びの選択肢を保つ
これに先立ち、2025年12月16日に成立した令和7年度補正予算では、高校教育改革促進基金の創設などに2,955億円(促進事業2,950億円と伴走支援5億円)が計上されました。この基金で都道府県ごとに「改革先導校」をつくり、その成果を地域に広げていく計画です。そして今回の概算要求では、その次の段階として、都道府県の実行計画を後押しする継続的な財政支援の仕組み(交付金)を求めています。高校教育をめぐる主な動きを、時系列で図1にまとめました(就学支援金の改正は別の施策です)。

文部科学省の資料では、交付金の支援メニューの一環として、グローバル人材の育成支援にも取り組むとされています。ただし交付金の制度設計や金額は「令和9年度予算の編成過程で検討」とされており、現時点ではまだ決まっていません。
AI整備:学校の「インフラ」が大きく変わる可能性
もうひとつの目玉が、学校でのAI活用です。「GIGAスクール構想の更なる推進と学校DX・AXの推進」は前年度の17億円から931億円へ、そのうちAI活用に向けた環境整備などは4億円から884億円へと、大幅な増額が要求されました(図2)。

中身を見ると、クラウド環境の整備、学校のセキュリティ対策、教育分野のAIの実証などが中心です。文部科学省の資料によると、次世代の校務DX環境の整備率は14.4%にとどまり、教育情報セキュリティポリシーを定めている自治体も5割程度とされています。つまり、生徒がAIを使う授業の前に、まず安全に使える土台を整えようという段階なんです。
ポイント:AI関連の要求は、先生の事務(校務)の効率化やセキュリティの確保も大きな目的です。「来年から授業が全部AIに」という話ではない点を押さえておきましょう。
国際バカロレア(IB)はどう扱われている?
IBに関心のあるご家庭として気になるのがここですよね。文部科学省の国際関係の資料では、「国際バカロレアの推進」として86百万円(前年度85百万円)が要求されています。2026年3月現在のIB認定校等は265校とされ、政府が掲げてきた「200校以上」の目標は2023年に達成済みです。内訳は、文部科学省IB教育推進コンソーシアムを通じた情報発信や導入相談などの国内推進体制に59百万円、DPの一部科目を日本語で学び受験できるようにするためのIB機構との協力に27百万円です。規模としては前年度並みで、IB推進は従来の路線を継続していると読めます。
保護者への影響と今できる対応
対象になりやすいのは「これから高校を選ぶ」ご家庭
概算要求は、この後の予算編成と国会審議を経て、令和9年度(2027年4月から)の予算になります。2027年4月に高校へ入学するのは、2026年度に中学3年生のお子さま、2028年4月入学なら今の中学2年生です。ただ、交付金の中身が決まり、各都道府県の実行計画に沿って学校の取組が本格化するまでには時間がかかるとみられます。今の中学生・小学校高学年のご家庭が、改革の影響を受け始める世代と考えておくとよいかもしれません。
注意:概算要求は「要求」であって「決定」ではありません。年末の政府予算案や国会審議で金額や内容が変わることは珍しくありません。「どの高校にいくら配られるか」も現時点では分かりません。
学校選びで意識したい視点
高校改革の方向性は、公立高校を中心に「特色化」を強める流れです。これからの学校説明会では、次のような点を確認しておくと、学校ごとの違いが見えやすくなります。
- 都道府県の実行計画:お住まいの都道府県がどんな高校改革を計画しているか、教育委員会の発表をチェック
- 改革先導校かどうか:基金で選ばれた学校は、探究・理数・専門教育などで新しい取組を始める可能性があります
- 探究・理数・グローバルの中身:「特色化」の具体的な授業内容や、大学・企業との連携
- AI・端末の使い方のルール:生成AIをどう授業や課題で扱うか、学校の方針を質問してみる
- IBとの比較:IB校を検討中なら、公立の特色化コースと学びの内容を並べて比べる
学費面の見通しも整理を
2026年4月から高等学校等就学支援金は所得要件が撤廃され、私立高校(全日制)の支給上限は年457,200円になっています。今回の概算要求では「高校生等への修学支援」が6,175億円+事項要求で、制度を着実に進める方針が示されています。ただ、支援金は授業料が対象で、上限を超える授業料や施設費などは家庭の負担になります。私立のIB校なども含めて検討される場合は、授業料以外の費用も含めた総額で比べるのが安心ですよ。
ポイント:具体的な政府案が示されるのは通常年末で、予算が確定するのは国会で成立した段階です。それまでは「方向性をつかむ」程度にとどめ、具体的な学校情報は各校の公式発表で確認しましょう。
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まとめ
- 総額8兆7,750億円を要求: 文部科学省が2026年8月28日に令和9年度概算要求を公表。前年度比2兆8,941億円増です
- 高校改革は交付金の創設を要求: N-E.X.T.ハイスクール構想を後押しする交付金(仮称)は事項要求で、金額・制度はこれから決まります
- AI環境整備が大幅増: 学校DX・AX関連は931億円、うちAI環境整備は884億円。まずは安全な土台づくりが中心です
- IB推進は継続: 86百万円を要求。認定校等は2026年3月現在で265校です
- 今できること: 都道府県の高校改革計画や各校の特色化の中身、AIの扱い方を説明会で確認しましょう


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