海外大学・大学院の進学者87.6%に海外経験 JAOS調査から考える準備の時期

海外大学・大学院への進学者234人のうち205人(87.6%)に海外経験。内訳は家族旅行・観光66.8%など IB最新ニュース

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「海外の大学に進んだ人って、やっぱり小さいころから海外経験があるのかしら」「うちは海外旅行もほとんどしていないけれど、間に合うの?」。お子さんの進路に海外大学が浮かんだとき、そんな疑問を持つご家庭も多いのではないでしょうか。

2026年10月26日、一般社団法人海外留学協議会(JAOS)が、海外の大学・大学院に進学した人を対象にした調査結果を発表しました。分析の対象になった234人のうち205人、割合にして87.6%に海外経験があったという内容です。この数字だけを見ると、「早くから海外に連れて行かないと」と焦ってしまいますよね。

ただ、発表をよく読むと、海外経験のいちばん多い中身は家族旅行で、調査した側も「海外経験が進学を実現させる因果関係を示す調査ではない」とはっきり書いています。この記事では、発表の数字を正確に押さえたうえで、保護者が「いつ・何を」準備すればよいのかを一緒に考えていきますね。

ニュースの概要

調査を行ったのは、JAOSが2026年4月20日に設立した調査研究機関「JAOS留学総合研究所(JSARI)」です。英語名は JAOS Study Abroad Research Institute で、JAOSは「日本初の留学シンクタンク」と紹介しています。今回の発表は、プレスリリース配信サイトのvaluepressで公開されました。

項目 内容
発表主体 一般社団法人海外留学協議会(JAOS)。実施はJAOS留学総合研究所(JSARI)
発表日 2026年10月26日
調査名 海外大学・大学院への学位取得留学に関する調査
対象 海外大学・大学院の学位課程に在籍中、または2023年以降に卒業・修了した人
方法 Google Formsによるオンライン調査(44問)
回答期間 2026年7月8日〜7月28日
回答数 総回答1,484件、主分析対象234件

発表された主な結果は、次の4つです。

  • 海外経験:234人のうち205人(87.6%)に海外経験あり。205人の内訳(複数回答)は、家族旅行・観光66.8%、学校主催の短期留学・研修25.9%、個人参加の語学留学24.4%など
  • 最初のきっかけ:「海外体験・滞在」83人(35.5%)が最多。続いて「仕事・専門職での必要性」34人(14.5%)、「身近な留学経験者」31人(13.2%)
  • 意識した時期:学士課程への進学者では、中学・高校段階で学位留学を意識した層が約8割。大学院系では、大学在学中・社会人以降が約3分の2
  • お金の壁:進学先を選ぶ際の制約は学費68.8%、生活費58.1%、為替・円安38.5%。「あればよかった支援」は奨学金・経済的支援が60.3%で最多

海外経験の割合と内訳を、図1にまとめました。

海外大学・大学院への進学者234人のうち205人(87.6%)に海外経験。内訳は家族旅行・観光66.8%など
図1:海外経験の有無と内訳(JAOS留学総合研究所の発表より作成)

なお、対象には準備課程・オンライン課程に関する回答も含むとされていますが、総回答1,484件から主分析対象の234件をどう選んだのか、進学先の国や大学・大学院の人数の内訳は、発表文には載っていません。JSARIのページでは、調査研究のアーカイブで「JAOS留学白書」を2026年11月中旬に公開予定と案内されています。

背景と解説

「87.6%」をどう読めばいい?

まず押さえておきたいのは、ここでいう「海外経験」の幅がとても広いことです。内訳でいちばん多いのは家族旅行・観光(66.8%)で、短期研修や語学留学はそれぞれ2割台でした。つまり「9割近くが長期留学の経験者だった」という意味ではない、ということです。

発表は、海外経験が進学を考える入口の一つになっていることがうかがえるとしつつ、海外経験の有無と、留学を意識し始めた時期や学位段階との間には、強い結びつきは確認されなかったとも書いています。海外経験の機会を一律に増やすだけで学位留学者が増えることを証明するものではない、という説明です。

結果を読むときの注意:発表によると、この調査は無作為に選んだ人ではなく、答えてくれた人を集めた「探索的調査」で、日本人の学位留学者全体を代表するものではありません。留学を実現した人だけが対象で、あきらめた人との比較もありません。回答はJAOS会員などの留学事業者を含む複数の経路で集めていて、偏りが出ている可能性があるとも書かれています。

学士と大学院で「意識する時期」が違う

準備の時期を考えるうえで参考になるのは、むしろ「いつ意識したか」の結果です。海外の大学の学士課程に進んだ人では、中学・高校段階で学位留学を意識した層が約8割でした。一方、大学院に進んだ人では、大学在学中・社会人以降が約3分の2です。きっかけの1位が「海外体験・滞在」だったことと合わせて、図2にまとめました。

留学を意識したきっかけの上位3つと、学士課程・大学院で意識した時期の違い
図2:きっかけと意識した時期(JAOS留学総合研究所の発表より作成)

また、参考的な分析として、1年以上の長期高校留学を経験した25人では、早い時期の意識づけや学士課程への進学との関連が比較的大きく見られたそうです。ただし発表自身が「少数例であり、一般化や因果関係の判断はできない」としています。短期研修、語学留学、長期の高校留学などを分けて考えることが大切だ、というのが発表のまとめです。

国の目標と、日本人留学の今

文部科学省が2026年5月29日に公表した資料では、海外の機関が把握している日本人の留学者数(主に長期)は、2023年の統計で50,139人でした。多い順にアメリカ13,959人、台湾9,888人、中国6,140人です。文部科学省は「主に長期留学」の数と説明していて、学位取得が目的の人に限った統計ではありません。また、1年未満の留学などで数えられていない人もいるとされています。日本の大学などが把握する日本人学生の留学者は2024年度に91,054人で、そのうち60,301人は1か月未満の短期留学でした。

政府の教育未来創造会議が2023年4月27日にまとめた「J-MIRAI」(未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ)は、2033年までに日本人学生の海外留学者を50万人にする目標を掲げています。その中で、大学などでの学位取得などを目的とする長期留学者は6.2万人から15万人へ、高校段階の3か月以上の留学は0.4万人から1万人へ増やすとしています。

IBのディプロマ・プログラム(DP)を学んでいるお子さんの場合、IBO(国際バカロレア機構)公式サイトは、毎年110を超える国・地域の4,500を超える大学がIB生の成績証明書を受け取っていると説明しています。ただしこれは成績を受け取る大学の数で、入学を約束するものではありません。

保護者への影響と今できる対応

今回の結果がとくに関係しそうなのは、中学生・高校生のお子さんがいて、海外大学の学士課程を選択肢に入れているご家庭です。たとえば今(2026年度)中学1年生のお子さんなら、高校を卒業するのは2032年3月です。学士課程に進んだ人の約8割が中学・高校段階で意識していたという結果は、今回の回答者では、この6年間にあたる時期に海外大学という道を意識した人が多かった、ということになります。

海外に駐在中のご家庭では、お子さんはすでに海外で暮らしていますよね。それでも調査では、海外経験の有無と意識した時期・学位段階に強い結びつきは見られませんでした。海外にいること自体よりも、進学先の情報や費用の準備を別に進めておくことが大切と言えそうです。

ポイント:「海外経験の量」を増やすことより、経験の「中身」と、お金・情報の準備を並行して考えるのが、今回の発表から読み取れる姿勢です。家族旅行も短期研修もそれぞれ意味がありますが、それだけで進学が決まるわけではありません。

進学先を選ぶときにぶつかった壁は、学費・生活費・為替と、お金に関わるものが上位でした(図3)。

進学先を選ぶ際の制約は学費68.8%、生活費58.1%、為替・円安38.5%。あればよかった支援は奨学金・経済的支援60.3%
図3:経験した制約とあればよかった支援(JAOS留学総合研究所の発表より作成)

ご家庭で今から始められることを、チェックリストにしました。

  • 経験の種類を考える:旅行、学校の短期研修、語学留学、長期の高校留学では中身が違います。お子さんの関心に合うものを選びましょう
  • 費用の見通しを立てる:学費だけでなく生活費や為替の影響も含めて、早めに家族で話しておくと安心です
  • 奨学金・支援制度を調べる:「あればよかった支援」の最多は奨学金・経済的支援でした。高校生向けの制度もあります
  • 身近な経験者の話を聞く:きっかけの3位は「身近な留学経験者」でした。先輩や知人の話は、具体的なイメージづくりに役立ちます

高校生向けの支援の例:文部科学省の「トビタテ!留学JAPAN」は、新・日本代表プログラムの高校生等対象(第12期)で600名を募集し、返還不要の奨学金で留学を支援します。対象は活動期間14日以上1年以内の留学計画です。在籍校からの申請期間は、第一日程が2026年12月上旬(予定)〜2027年1月21日、第二日程が2027年4月1日〜4月21日。2026年度に中学3年生のお子さんも、2027年4月に高校へ進学する「新高校1年生」として応募できます。募集要項では、応募は在籍する高校、または入学予定の高校を通して行うとされ、新高校1年生が第一日程に応募する場合は、応募できるかを入学予定の高校に必ず確認するよう求めています。個人では応募できないので、校内の締め切りも学校に早めに確認してください。

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まとめ

  • 87.6%に海外経験:海外大学・大学院への進学者234人のうち205人に海外経験がありましたが、最も多い中身は家族旅行・観光(66.8%)でした
  • 因果関係は示していない:発表自身が、探索的調査で比較群がなく、海外経験が進学を実現させる因果効果は示せないとしています
  • 学士は中高で意識:学士課程の進学者は約8割が中学・高校段階で学位留学を意識。大学院は大学在学中・社会人以降が約3分の2でした
  • 最大の壁はお金:学費68.8%、生活費58.1%、為替・円安38.5%。奨学金・経済的支援を求める声が60.3%で最多でした
  • 今できること:経験の中身を選び、費用の見通しと奨学金の情報集めを並行して進めておきましょう

出典・参考リンク

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